見覚えのある屋根、見覚えのある倉庫、かつて自分の住居であった海辺の朽ちた昔の家が、五年前の平和な姿のままだ。何もかも懐しい姿である。少女の頃に吸った空気、泳いだ海、恋をした山の寺、何もかも、逆もどりしているような気がしてならない。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:46% 作品を確認(青空文庫)
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生まれ育った土地
変わらない風景
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前後の文章を含んだ引用
......えた私は、当もなく、あの雑音のはげしい東京を放浪していたのだけれど、ああ今は旅の古里である尾道の海辺だ。海添いの遊女屋の行燈 が、椿 のように白く点々と見えている。見覚えのある屋根、見覚えのある倉庫、かつて自分の住居であった海辺の朽ちた昔の家が、五年前の平和な姿のままだ。何もかも懐しい姿である。少女の頃に吸った空気、泳いだ海、恋をした山の寺、何もかも、逆もどりしているような気がしてならない。 尾道を去る時の私は肩上げもあったのだけれど、今の私の姿は、銀杏返 し、何度も水をくぐった疲れた単衣 、別にこんな姿で行きたい家もないけれど、とにかくもう汽車は尾道......
単語の意味
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
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生まれ育った土地の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
僕は18年間、そこで実に多くを学んだ。街は僕の心にしっかりと根を下ろし、想い出の殆んどはそこに結びついている。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
なつかしい空気を吸う。
林芙美子 / 新版 放浪記
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変わらない風景の表現・描写・類語(家・建物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このあたりの閑静な住宅街のおもかげは、むかしのままのような気がする。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
大阪のどの町角、どの店にも、芝居の仕事をしていたころの自分の姿がしみついているようなおもいにさえとらわれる。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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林の中に立つ別荘群の中でも目立つ、小さいながらも派手なつくりの建物
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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