(音楽鑑賞)ただその音楽とだけ一つになって、すべてから解放されたかった。時間と旋律とが、一切の過不足なく結び合って流れてゆく美に 融け入りたかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:15% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
音楽
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......哀楽の彼方に屹立するバッハの楽曲。蒔野のまだ若い、才能とのハネムーンを心ゆくまで楽しんでいるような演奏は、彼女の心をすべて受け止めて、まったく揺るぎなかった。 ただその音楽とだけ一つになって、すべてから解放されたかった。時間と旋律とが、一切の過不足なく結び合って流れてゆく美に融け入りたかった。 洋子は、向かい合って、正面から見つめた彼の笑顔を思い出した。 あの夜、ひとりでタクシーに乗らずに、朝まで一緒にいたいと言ったなら、どうなっていたのだろう? そ......
ここに意味を表示
音楽の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
山の流れが爽々と岩の間を流れてくるような、爽快な曲だった。
林 芙美子 / 林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 amazon
てのひらの上に載っているイヤフォンから音符がぽろぽろとこぼれている。
朝井 リョウ / もういちど生まれる「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
クリスマス・ソングのテープはそこで終わり、かたんという音ともに沈黙がやってきた
村上春樹 / 回転木馬のデッド・ヒート(タクシーに乗った男) amazon
このカテゴリを全部見る
「音の響き」カテゴリからランダム5
雨の降る音に似たせせらぎの音が、涼しい風とともに頬に当たる
伊集院静 / 皐月 amazon
聴くまいとするのに耳が起きている。時計が兵隊の行進のようだ。
幸田文 / 流れる amazon
同じカテゴリの表現一覧
音の響き の表現の一覧
感覚表現 大カテゴリ