ひたむきに狂暴な欲念が胸の中でははち切れそうに煮えくり返っていた。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:19% 作品を確認(青空文庫)
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欲望・本能・欲求
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前後の文章を含んだ引用
......と思えば思うほど、その人が二人 の間にはさまっているのが呪 わしかった。たとい捨てられるまでも一度は倉地の心をその女から根こそぎ奪い取らなければ堪念 ができないようなひたむきに狂暴な欲念が胸の中でははち切れそうに煮えくり返っていた。けれども葉子はどうしてもそれを口の端 に上 せる事はできなかった。その瞬間に自分に対する誇りが塵芥 のように踏みにじられるのを感じたからだ。葉子は自分ながら自分の心が......
単語の意味
胸(むね)
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欲望・本能・欲求の表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ムウッと息がつまりそうなほど、男の性慾が渦巻いている
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
若い、溌剌として愛撫されたい慾望
宮本百合子 / 伸子
とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。とどきそうにない遠くのお星さまに向かって手を伸ばす、このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれない。みんなの欲しがる気持ちが競争を生み、切磋琢磨でより質の高いものが生みだされていくのですね。でも疲れたな。まず首が疲れた。だってずっと上向いてるし。いつからだろう、さらなる飛躍という言葉が階段を駆けのぼるイメージではなくなり、遠くで輝くものを飛び上がってつかみ取り、すぐに飽きてまるきり価値のないものとして暗い足元へ放る、そしてまた遠くへ向かって手を伸ばす、そのくり返しのイメージに変わってきたのは。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
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「胸で好意的に思う」の表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
淳が機嫌よくしている時は悠木の心は満たされた。だが、ひとたび淳が反抗の気配でも漂わそうものなら、胸に溢れ返る愛情は一瞬にして底知れぬ憎悪へと変化し、どこまでも冷淡に淳に当たった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
胸にのみしみじみと感ぜられるなつかしい季節
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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「お帰りなさい。」 「ただいま。」 どんなにありふれた言葉でも、純が口にすると耳の奥までしみ込んでくるような気がした。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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