重い冷たい潮霧 が野火 の煙のように濛々 と南に走って、それが秋らしい狭霧 となって、船体を包む
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:40% 作品を確認(青空文庫)
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霧・かすみ・もや
船・ボート
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前後の文章を含んだ引用
......ていた。背羽根の灰色な腹の白い海鳥が、時々思い出したようにさびしい声でなきながら、船の周囲を群れ飛ぶほかには、生き物の影とては見る事もできないようになっていた。重い冷たい潮霧 が野火 の煙のように濛々 と南に走って、それが秋らしい狭霧 となって、船体を包むかと思うと、たちまちからっと晴れた青空を船に残して消えて行ったりした。格別の風もないのに海面は色濃く波打ち騒いだ。三日目からは船の中に盛んにスティームが通り始め......
単語の意味
濛濛・朦朦・濛々・朦々(もうもう)
狭霧(さぎり)
濛濛・朦朦・濛々・朦々・・・煙・霧・ほこりなどが、視界が悪くなるほど立ちこめるさま。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
狭霧・・・霧のこと。
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霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
村に、焦臭 い靄が低くこめる。山裾の町の電燈が、点々と燦き出す
宮本百合子 / 伸子
凍ったような層の厚い靄が、いく手の道路を黝(くろ)ずんだ灰色に暈(ぼか)す
野上 弥生子 / 真知子 (1951年) amazon
風が霧の流れを幕のようにはためかせて傍若無人に吹きちぎっていく。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
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何隻かのうす汚れた貨物船がうんざりしたように浮かんでいる
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
船が水鳥のように真白でこぢんまりしている
曽野 綾子 / 遠来の客たち amazon
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細い髪の毛のように雨がまっすぐに天から垂れてくる
倉橋 由美子 / ポポイ amazon
薄い海霧 が一面に――然 しそうでないと云われれば、そうとも思われる程、淡くかかった。
小林多喜二 / 蟹工船
窓の外には細かい雨が降っていて、部屋の中は水族館みたいにひやりとしていた。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
「乗り物」カテゴリからランダム5
汽車は目まぐるしいほどの快速力で走っていた。
有島武郎 / 或る女
(ロケットエンジンの燃焼テスト。ロケットエンジンの)銀色のスカートが、轟然と噴き出した白煙と炎にまみれたのはそのときだ。 モニタが映し出しているその光景は、無音だ。その中でエンジンだけが生命を吹き込まれ、猛然と炎を噴出し、巨大なエネルギーを消費している。無声映画を観ているような不思議な光景の中で、燃焼時間の自動カウントだけが続いていた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
荒く組んだ筏
岡本かの子 / 河明り
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