看板はがたがた音を立てて揺れ、若葉に 彩られた枝も音を立ててずらりとなびいていた。歩道をゆく人々はみな、ごうごう吹き荒れる風に顔をしかめたり、髪を押さえたりしていて、やたら落ち着かなかった。青い空だけがじっと動かずにそういう世間を見ていた。体重が軽い私も、風に押されて飛んでゆきそうなので、必死だった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 ページ位置:95% 作品を確認(amazon)
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強風・暴風
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前後の文章を含んだ引用
...... その日は春を感じさせる生温かい陽気で、とても風が強かった。 すかっと晴れた真昼の街を、突風が吹き荒れていた。私は学校帰りでひとり、並木道の大通りを歩いていた。看板はがたがた音を立てて揺れ、若葉に彩られた枝も音を立ててずらりとなびいていた。歩道をゆく人々はみな、ごうごう吹き荒れる風に顔をしかめたり、髪を押さえたりしていて、やたら落ち着かなかった。青い空だけがじっと動かずにそういう世間を見ていた。体重が軽い私も、風に押されて飛んでゆきそうなので、必死だった。そうして戦うように苦労して、スカートを押さえながらもふと前方を見ると、まるで風など全然吹いていないかのようにただひとり平然と歩いてくる、しかめ面の大男を見つけた......
単語の意味
靡く(なびく)
若葉(わかば)
靡く・・・1.草や藻、布などの長くて軟らかいものが、水や風の流に従って横に動く。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
若葉・・・芽を出したばかりの葉。とくに、初夏の木々のみずみずしい葉。新葉(しんば)。
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吹きつけて来る風に面と向かうと、鋭い刃物を当てられたように痛い
新田 次郎 / 芙蓉の人 amazon
外ではほんとうにひどく風が吹いて、林はまるでほえるよう
宮沢賢治 / 風の又三郎
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誰かが教室のドアを開けた。冷たい空気が、愛子の頰を叩く。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
少し開けた窓から、涼しい風が入ってきていた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
ヒューヒューと風の叫び
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
寒さが、戸のすきから縦に細長く葉子を襲った。
有島武郎 / 或る女
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