僕は目を閉じて、自分が死んでいくところを想像してみる。すべての肉体機能が停止し、最後の息がすうっと肺から出ていく。最後の息というのは、思っているよりもずっと硬い。まるで軟式のテニスボールを喉から吐いているみたいな感じがする。
村上春樹 / 遠い太鼓 作品を確認(amazon)
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死人・遺体
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単語の意味
肉体(にくたい)
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
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魚のように無表情な死骸
川端 康成 / 掌の小説 amazon
ネグリジェの中の体は冷えた粘土のように堅く、重かった。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
(娘の死体を見る)母親は自身とは急に遠くなった物でも見るような一種 悽惨 な 冷淡 さを顔に表わして見ていた。
志賀 直哉 / 正義派「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
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眼の小さい、鼻の上を向いた、どこかひょうきんな所のある老人
芥川龍之介 / 運
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巻かれていた時計のねじがだんだん緩んで、モーメントが限りなくゼロに近くなり、やがて歯車が最後の動きを止め、針がひとつの位置にぴたりと停止する。沈黙が降りる。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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