ハエでも追い払うようにダメダメという仕草

私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。《…略…》（こんな街、大嫌い） 　心の中で呟くと、また自分が鮮明になった気がした。 　皆がわくわくしているものを、こっそりとけなすと、なんだか自分がすごく特別な女の子みたいだ。

「マニアって変だよねえ」とマニアックという点に関しては引けを取らないような彼が言うのは、気の利いた二重否定にも聞こえた。

頑固（がんこ）に首を振って

運命をひたすらに黒く塗ってみたり

他人との間に本能的に緩衝スペースを設けてしまう

あなたはついさっきまでとてもきちんと話をしていたのよ。象の話になるまではね。でも象のことになるとなんだか急にしゃべり方がおかしくなっちゃったわ。何を言おうとしているのかよくわからないし、いったいどうしたの？　象のことで何かまずいことでもあるの？

親しげに片手を上げて合図をしあう

邦彦に手を合わせて頭を下げた。

狡猾（こうかつ）になるのも卑劣になるのも表裏二枚合せの護身服を着ける