カレーはインド料理である。だから強い辛さにはぱさぱさした向こうの米がおいしく感じる。

黄色くてどろりとしたソースと、真っ白くて粘り気のあるご飯

（激辛三十倍カレー）辛さは、食べ進むにつれて倍加していくようだ。 　全員茹だったような顔になり、思考力は半減し、一種の酩酊状態に陥る。 「味はどうか」といわれても困る。味などまるでわからぬ。かすかな酸味と、凶暴な辛さと、嚙みしめると歯に残ってキシキシと感じる香辛料の残滓が印象に残っているだけだ。確かに人間の食べものではないのかもしれない。 　辛さを耐えしのぐには、氷の入った水がいちばん有効である。ビールは意外に頼りにならない。

暑くて食欲のない時でも、辛いカレーなら食べられる。辛味が消化器の粘膜を刺激して、中枢神経の働きが高まる。消化器へ送られる血液の量は増え、消化液や唾液の分泌も促進し、食欲を増大させる。

肉も野菜もすべてカレーソースへ溶かし込んで形をとどめない独自のカレーライスだ。

おいしいお米は炊いてるときの湯気の匂いから違う。炊き上がってふたを開け、しゃもじでかき混ぜていると昔の炊き立てのご飯を思い出す

ハマグリ飯は、ハマグリの風味がご飯と混合した初春の味覚

魚介類と肉と米をサフランで煮込んだパエリアは日本の混ぜご飯に似ていてなかなかうまい

茹でた大豆を擂鉢で摺って、吐瀉物のような粥をこしらえ

糊代りに使った飯粒