「神様が戯れに折って投げた紙ひこうきみたいな才能」というのは、いつか蒔野の音楽を愛聴するようになった頃に彼女の抱いた印象だったが、その孤独な飛翔は、今はまた新しい景色の上空へと 颯然 と抜け出しつつあった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:97% 作品を確認(amazon)
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能力・才能・資質
天才・秀才
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前後の文章を含んだ引用
......感情を搔き立てられた自分を、洋子は懐かしく思い返した。 コーヒーカップを皿に戻そうとして、彼女は自分の手が、目で見てはわからないほど微かに震えている音を聞いた。「神様が戯れに折って投げた紙ひこうきみたいな才能」というのは、いつか蒔野の音楽を愛聴するようになった頃に彼女の抱いた印象だったが、その孤独な飛翔は、今はまた新しい景色の上空へと颯然と抜け出しつつあった。そして彼女は、その軌跡の美しさだけでなく、澄み切った先端の繊細な震えまでをも知っているだけに、一層、彼の音楽に深い感動を覚えていた。 ただ、素晴らしいという言葉......
単語の意味
景色(けしき)
上空(じょうくう)
景色・・・風景。眺め。とくに、自然の眺め。
上空・・・空の上の方。また、ある地点の上に広がる空。
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能力・才能・資質の表現・描写・類語(性格・態度のカテゴリ)の一覧 ランダム5
優れた才能は、いつでもどこにいても、遅かれ早かれ認められずに終わることはない
塩野 七生 / ロードス島攻防記 amazon
才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
(生まれつきの才能)訓練を積んだ訳でもなく、特別な労力を使っている訳でもなく、ほとんど無意識のうちにできてしまうので、長い間、誰もが普通に備えている能力だと思っていたらしい。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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天才・秀才の表現・描写・類語(才能・技量のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼は単に才能に恵まれただけでなく、数ある才能の中でも、特に 良いもの に当たったのだった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
他人との違いが、嫌でも 優劣 として際立ってしまうような、真の才能に恵まれた人は、凡庸であることにこそ切実に憧れるものなのだ
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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「才能・技量」カテゴリからランダム5
白痴に近い天性を持って生まれた彼女
芥川龍之介 / 偸盗
頭の発達が幼稚
夏目漱石 / 吾輩は猫である
有島武郎 / 或る女
「性格・態度」カテゴリからランダム5
野菜炒めと餃子を注文した後で、すぐにバッグから小説を取り出して読む態勢をとる。本は隠れ蓑 だ。ページに視線をつなぎとめている限り、周囲の人間が十和子を見逃してくれるような安心感がある。透明人間でいたい、それが外での十和子の基本的願望だ。透明性を保ち、誰の注意も惹かないでいるための仕草がおのずと身についている。機械的に文字を追ううち、だが、すぐに餃子がくる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ケヤキの巨木のように、どんな風が吹こうともびくともしない
臼井 吉見 / 自分をつくる amazon
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