雪の音かしら、窓に何かササササと当っている音がしている。

いつまでも雪を見ていた。北陸の暗い大気が横なぐりにゆっくり動いていた。

二度めの雪が降りはじめた。べっとりと湿ったみぞれが確かな氷片に変り、そして不透明な雪になった。最初のさらりとした雪とは違って、今度のは体にまつわりつくような嫌な雪だった。

窓の向こうで風に揺らめいている雪

雪は静かに降り続いていた。それは僕のコートに落ちて、しばらく戸惑い、そして消えていった。

無数の白刃を振り回すように雪が飛ぶ

だんだん雪に閉ざされてゆく家の中

柔らかな雪が無数は羽毛のように静かに降りつづく

雪のせいで街の音はいつもと違って聞こえていた

雲間を漏れる日の光が、地面の陰ひなたを銀と藍（あい）とでくっきりといろどっている。