何が欲しいと聞かれると、とたんに、何も欲しくなくなるのでした。どうでもいい、どうせ自分を楽しくさせてくれるものなんか無いんだという思いが、ちらと動くのです。
太宰治 / 人間失格 ページ位置:9% 作品を確認(青空文庫)
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興ざめ・白ける
欲がない・無欲
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前後の文章を含んだ引用
......の答をいちいち手帖 に書きとめるのでした。父が、こんなに子供たちと親しくするのは、めずらしい事でした。 「葉蔵は?」 と聞かれて、自分は、口ごもってしまいました。 何が欲しいと聞かれると、とたんに、何も欲しくなくなるのでした。どうでもいい、どうせ自分を楽しくさせてくれるものなんか無いんだという思いが、ちらと動くのです。と、同時に、人から与えられるものを、どんなに自分の好みに合わなくても、それを拒む事も出来ませんでした。イヤな事を、イヤと言えず、また、好きな事も、おずおずと盗む......
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興ざめ・白けるの表現・描写・類語(嫌いのカテゴリ)の一覧 ランダム5
幻滅をたっぷり含んだ息を吐き出す。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
一時期は彼の中に激しく息づいていた幾つかの感情も急激に色あせ、意味のない古い夢のようなものへとその形を変えていった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
朝の礼拝堂に糞尿の気が流れてきたよりも、もっと興ざめなこと
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
まるで悪い暗示にかかってしまったように白 じらとなってしまう。
梶井基次郎 / ある崖上の感情
(心は)結婚詐欺 をしているちんぴらのように寒々しかった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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欲がない・無欲の表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
女は僕の手をとって、彼女の陰部につけた。彼女のヴァギナは暖かく湿っていたが、そのことも僕の気持をひきたててはくれなかった。ただほんの少し不思議な気持になっただけだった。
村上春樹 / 双子と沈んだ大陸「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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「嫌い」カテゴリからランダム5
いや、という漢字には厭と嫌があって厭、のほうが本当にいやな感じがある
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
一度顔をしかめると、もとの表情を回復するのに手間がかかるのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
句読点を打つように短いため息をついた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
「退屈」カテゴリからランダム5
最初は居心地よく感じられたアパートメントも、趣味の悪い田舎じみた部屋のように見えてくる。いろんなものが最初の輝きを失っていく。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
どういうわけか水島は今ようやく石段の一段目に足をのせようとしている。数秒の時間が逆に流れたとしか思えない。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
老人はとつぜん、「ああ、ああ」と夜鳥のやうに大声を出して長い欠伸(あくび)をした。
丸谷 才一 / 横しぐれ amazon
「その他の気分」カテゴリからランダム5
僕はずいぶん長いあいだそこにじっとしていたのだと思う。どれくらいの時間その金網にもたれかかっていたのか、僕にはわからない。僕はひどく眠くて頭がぼんやりとしていたし、殆んど何も考えずに鳥の石像の影のあたりをじっと眺めていたからだ。 あるいは僕は何かを考えていたのかもしれない。しかしもしそうだとしても、その作業は僕の意識の領域から外れた場所で行われていた。現象的には僕は草の葉の上に落ちた鳥の影をじっと見つめていただけだった。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
岡本かの子 / 金魚撩乱
(数学も難問に取り組む)朝、目覚めるとまず、〝1+2+3+……9+10=55〟の式が視界に飛び込んできて、一日中居座り続けた。影のように網膜に染み込み、拭い去ることも無視することも不可能だった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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