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見るの比喩を使った文章の一覧(112件)
僕の目をぼんやり見ていた。彼女は動作している途中で電源を抜かれてしまった機械みたいに見えた。彼女の目はまるで不透明な薄膜をかぶせられているようにかすんでいた。
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
彼女はちょっと顎を引いて、唇を曲げたまましばらく僕を上から下まで眺めまわした。今にもポケットから巻尺をとりだして体の各部のサイズを測りはじめるんじゃないかという気がするくらいだった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
古い楽器を点検するみたいにじっと眺める
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
悪夢の真っ只中にいるかのように、観続けたくもないのに眼をそらすことが出来ない
松浦 理英子 / 親指Pの修業時代 上 amazon
目が油をさしたようにどんよりする
宮本 輝 / 星々の悲しみ amazon
暗い雨の夕闇につつまれた町すじを、猟犬のような眼つきで見まわす
池波 正太郎 / 鬼平犯科帳〈1〉 amazon
猟犬のような目になって、くどいほど確認を繰り返す
内田 康夫 / 釧路湿原殺人事件 amazon
光景が、スイッチを入れた(ブラウン管)テレビのように鮮やかに浮かんでいくる
佐藤 愛子 / 窓は茜色 amazon
鈍くひろがる視野の中に影のように移っていく姿
古井 由吉 / 杳子・妻隠 (1979年) amazon
水刷毛(みずはけ)でさっと撫でたようにおぼろげに霞んで見えない
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
眼の中が布を張ったように霞む
ジュール・ルナール / にんじん amazon
部屋全部が、夢の中の一室のように赤黒く霞んでいる
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
旅龍屋を烏のように覗き込む
泉 鏡花 / 高野聖・眉かくしの霊 amazon
体を突き通すほど鋭く見つめる
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
二人の視線が縄のように捩れて絡まる
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
ひび割れそうなほど渇いた水晶レンズが虚ろに宙を見つめる
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
文学趣味のある女秘書のような目で観察する
後藤 明生 / 関係 amazon
細かなところまで虫眼鏡で観察するように見る
谷村 志穂 / ハウス amazon
鮒(ふな)よりひどい近眼
宮沢 賢治 / 北守将軍と三人兄弟の医者 amazon
ケシ粒でもさがすように丹念に見つめる
壷井 栄 / 大根の葉 (1960年) amazon
お互いの視線が凍ったように止まる
泉 優二 / ブラインドコーナー amazon
相手の眼が、慕いよる子のように瞳の中へ飛びこんでくる
水上 勉 / 越前竹人形 amazon
この世の裏側に無理やり連れてこられた囚人のようにあたりを見回す
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
二組の男女の視線が十字にからんで浮いて揺れる
新田 次郎 / 縦走路 amazon
閉ざした暗い視界が瞼の中で糊状の闇を形づくる
野間 宏 / 崩解感覚 amazon
定規のようなしっかりした目を向ける
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
巨大な地震か、すさまじい洪水に襲われた遠い地域の、悲惨な有様を伝えるテレビのニュース画像から目を離せなくなってしまった人のように
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
彼は最初の五分の一秒くらいちらっと僕を見たが、僕の存在はそれっきり忘れられた。まるで玄関マットを見るときのような目付きだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
僕の顔を見て、僕の足元を見て、また僕の顔を見た。まるで足と顔の相関関係を捜しているみたいに。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
空の裂け目でも見るみたいに僕の顔をじっと見た
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
夏、砂浜に寝そべってナイロンのビーチパラソルを通して見る太陽みたいにオキナワ(人の名)の顔は輪郭がぼやけて歪んで見える
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
ちょうど海にもぐっていて、うす目で明るい水面を見あげるように頭上の空をぼんやり眺めていた。
野上 弥生子 / 野上弥生子短篇集 amazon
彼は長い間彼女を眺めていた。たとえば平素見馴れた漢字を、長い間見詰めていると、それがどこか間違った形をしているような、さらには全く見覚えのない形に見えてくる瞬間がある、それに似た心持
吉行 淳之介 / 吉行淳之介短篇全集〈第4巻〉青い花 (1965年) amazon
講演を終えて演壇に立ったまま、聴衆からの質問を待ち受ける人のような姿勢で、路上に隙間なく並んだ自動車を左から右に、そして右から左に見渡した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
天吾の顔を正面から見ているだけだ。見たことのない風景を遠くから眺めるみたいに。たいしたものだ、と天吾は思った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ふかえり(人名)は視線をそらすことなく、天吾の目をまっすぐに見ていた。窓ガラスに顔をつけて空き家の中をのぞくみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
男は何も言わず天吾の顔をただ見つめた。鋭い眼光というのではないが、隅々まで怠りなく見通す目だった。目はときどき細くなり、また大きくなった。写真家がレンズの絞りを調整するときのように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
男はただ彼女をひとつの客体として”視”ているのだ。ちょうど船の乗客がデッキから、通り過ぎていく島のかたちを見つめるみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
外の風景を眺め続けていた。遠くの丘に蛮族ののろしが上がるのを見逃すまいとしている警備兵のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
部屋の中を冷静に観察していた。彼は爆撃機の機関銃手のような、静かな一対の目を持っていた。孤独で、青い空を見続けるのになれている。目が空の色に染まっている。@略@どこまでも注意深い。敵の戦闘機の小さな機影を雲間に求めている。それは最初は芥子粒のようにしか見えない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
なぜか目の焦点をあわせることができない。なんらかの作用によって、左右の視力が突然大きく異なってしまったみたいだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
意識を集中し、公園の監視を続ける。高いマストに一人で上り、広大な海原に魚群やら潜望鏡の不吉な影やらを求める見張りの船員のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
石碑に鑿で刻まれた文字を何歩か退いて確かめるような目つきで、天吾をひとしきり眺め、
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
感情を欠いた視線をただ揺るぎなく牛河に注いでいた。星明かりが名もなき岩塊を照らすように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
坊主頭は小松の目を深くのぞき込んだ。彼はそこにある何かの奥行きを測っているみたいに見えた。部屋のある空間に特定の家具が収まるかどうか目測している人のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
氷河の奥に閉じこめられた古代の小石のような目でじっと小松を見つめた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼女は自在に頭の中をからっぽにできる。目は公園を怠りなく監視している。とくに滑り台の上を。しかし何も考えていない。いや、おそらく意識は何かを思っているのだろう。しかしそれはおおむねいつも水面下に収められている。その水面下で自分の意識が何をしているのか、彼女にはわからない。しかし意識は定期的に浮かび上がってくる。ウミガメやイルカが、時が来れば水面に顔を出して呼吸をしなくてはならないのと同じだ。そういうときに彼女は、自分がそれまで何かを考えていたことを知る。やがて意識は肺を新鮮な酸素で満たし、再び水面下に沈み込んでいく。その姿は見えなくなる。そして青豆(人名)はもう何も考えてはいない。彼女は柔らかな繭に包まれた監視装置となり、滑り台に無心の視線を送っている。彼女は公園を見ている。しかし同時に何も見ていない。何か新しいものごとが視野に入れば、彼女の意識は即座にそれに対応するはずだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
まるで鏡にでも見入るようにそのはがきを見つめ
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
清彦の顔を刺し通すように見つめながら
曽野 綾子 / たまゆら amazon
鏡でも見るようにつくづくと見た。
島崎 藤村 / 嵐 amazon
彼の推察は月の暈(かさ)のように細君の言外まで滲み出した
夏目 漱石 / 道草 amazon
波の上を旋回する鳥のように眼を光らせて
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
じっとこちらを見ていた。その眼はねずみを襲う猫の眼のようであった。
三浦 朱門 / 冥府山水図 amazon
美しい頂上、山ひだの一つ一つをなめるように見まわした。
大岡 昇平 / 俘虜記 amazon
鷹のような据わった眼差し
筒井 康隆 / 夢の木坂分岐点 amazon
まるで細い鞭をふりおろすような素早い一瞥
森瑤子 / シルキーな女
遠い水平線上の一点の船影のように見つめていた。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
寛子の顔が、生首のように覗いて
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
肖像でも描こうとするかのように、熱心に彼を見つめていた。
堀 辰雄 / 聖家族 amazon
ぱあっと反射燈を顔に当てられたように判然(はっき)りする
林 芙美子 / 浮雲 amazon
目を射るようにはっきりと白く見え出した。
長塚 節 / 土 amazon
眼はまるで釘づけにされたよう
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
東山は白い靄に包まれて清水の塔が音羽山の中腹に夢のようにぼんやりと浮んで見える。
近松 秋江 / 黒髪 amazon
犬のようなとげとげしい眼を光らせていた。
中野 重治 / 歌のわかれ (1956年) amazon
ちらりと電光のように時雄の顔色を窺った
田山 花袋 / 蒲団 amazon
兵士が両手をうしろに組んで檻の中の動物のように往復していた。
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
眼が植わったように直視していた。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
僕が時折時間潰しに読んでいる本を、彼はいつもまるで蠅が蠅叩きを眺めるように物珍しそうにのぞきこんだ。
村上 春樹 / 風の歌を聴け amazon
ちらっと刺すように島村を一目見た
川端康成 / 雪国 amazon
双眼は、じいッと糸を引いたようにその窓辺に注がれていた。
日本ロオレライ(井上友一郎)「現代日本文学全集〈第81〉永井竜男,井上友一郎,織田作之助,井上靖集 (1956年)」に収録 amazon
彼を見たにしても、その眼にはなんの表情もあらわれない、犬か猫でも見るような、まったく無縁な眼つきであった。
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
二人の眼と眼が結び合って、酸素熔接の火花のようなものを飛ばした。
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
開化した楊柳観音(ようりゅうかんのん)のように下を見つめていた。
夏目 漱石 / 草枕 amazon
自分のしかめ面が、鏡を見るように、あざやかに脳裡にうかんだ。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
生き別れた母親でもいるかのように鍋の中を覗き込んで
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
審査員の目つきで彼女をじろじろと眺め
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 amazon
カーティスの顔はまるで砂絵の砂が風に吹き飛ばされるように輪郭を失い、気づいた時、翔は薄暗い店内にいた。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
天井を見つめていた。 煙草の脂で黄ばんでいる。いや、視界そのものが黄色味掛かっているのかもしれない。@略@黄色いレンズを透かして物を見ているような感覚はまだ続いていたし
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
二匹の猫は夢のかけらでも眺めるように僕の姿をじっと見つめていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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