日本語表現インフォ > 比喩表現の一覧 > 人物の比喩 > 性格・態度の比喩表現
性格・態度の比喩を使った文章の一覧(356件)
世の中の酸いも甘いも噛みわけたといった洒脱な風格を身につけている、娼婦あがりの女
吉行淳之介 / 原色の街 amazon
この人はもし地獄に落ちたとしても、こんな感じで精力的に毎日を過ごすに違いない
428 ~封鎖された渋谷で~ amazon
たとえば今私があなたに向かって苺のショート・ケーキが食べたいって言うわね、するとあなたは何もかも放り出して走ってそれを買いに行くのよ。そしてはあはあ言いながら帰ってきて「はいミドリ、苺のショート・ケーキだよ」とさしだすでしょ。すると私は「ふん、こんなのもう食べたくなくなっちゃったわよ」と言ってそれを窓からぽいと放り投げるの。私が求めているのはそういうものなの
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
私は自分自身に対してよりは他人に対する方がずっと我慢づよいし、自分自身に対するよりは他人に対する方が物事の良い面を引き出しやすいの。私はそういうタイプの人間なのよ。マッチ箱のわきについているザラザラしたやつみたいな存在なのよ。要するに。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
あの子一度怒っちゃうとなかなかもとに戻らないの。動物と同じだから
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
コンクリートのような気の毒な頭の役人
今 東光 / 東光金蘭帖 amazon
貴重品のような扱いを受けながら暮らす
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
死ぬのを待つような扱いを受ける
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
隣町へ入ったと思うや、たちまち国境侵犯者のごとき扱いを受ける
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
石を投げ打つよりも冷酷な仕打ち
三浦 綾子 / 続 氷点(上) amazon
ムシ歯の神経をじかにさわられるように、不当な仕打ちが全身にこたえる
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
使い古したハンカチでも棄てるように無造作に扱う
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
心を傷つきやすい、愕(おどろ)きやすい、無知の、ひよわい小鳥のように(丁寧に)扱う
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
弱き器のごとく妻を(大切に)扱う
川端 康成 / 掌の小説 amazon
ちょうど油の中へ水を一滴垂らしたように、どうにも周囲と密度が合わない
山本 周五郎 / 武道小説集 amazon
油のように滑りのよいやさしさ
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
子猫が親猫にじゃれるようにおとうさんに甘える
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
大きな鉄の錨(アンカー)のような硬い心
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
芯に冷たい鉄の棒みたいな意志を埋める
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
イタチのように何度も振り返って、確かめてから入る
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
身重になった妻を嘗(な)めるようにいたわる
菊池 寛 / 俊寛 amazon
いたわりの言葉が疲れを解きほぐすように染み込んでくる
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
真正直な、純白の絹糸をピンと張りつめたような心の持ち主
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
女の指は犬の尻尾のように正直
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
貴族のお嬢様が貧民窟を訪れたように威張り散らす
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
体に、抑えることの出来ない凶暴の血が焦(や)けただれたように渦をまく
徳田 秋声 / あらくれ amazon
神主が祝詞でも読むように恭しく巻紙をひろげる
永井 荷風 / おかめ笹 amazon
さながら王に対するような慇懃を払う
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
物思いに沈んだ人などと似通うような厳粛ともいうべき真面目さ
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
不器用で手の掛かる子供のように目の離せない夫
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
不安と怯えが背広を着て歩いているような男
宮部 みゆき / 我らが隣人の犯罪 amazon
稜線が丸みを帯びた女性的な景色
笹沢 左保 / 終りなき鬼気 amazon
無邪気そうに見える水仙のような女の子
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
連れ込み宿に連れ込まれた娘のようなぎこちなさ
中村 真一郎 / 女たち amazon
浅利(あさり)がものに触れたようにふっと口を閉じる
内田 百けん / 冥途 amazon
心の底にいくまでに、牡蠣の殻のような醜い殻をいくつもつけている男
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
忘れた頃になって光が強くなる水銀灯のような男
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
皮膚の内がわに厚い層がこわばり始めたような、冷たくよそよそしい顔
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
金だらいの底を向けたような顔で訊く
高橋 三千綱 / 涙 amazon
自分の周囲に見えない垣根を張り巡らす
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
夢や幻想にとらわれず、造りのしっかりした古い家具のように、想像力よりも忍耐力に縁のある、安全な特質を持った心
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
目には見えない先生や友達の好意が、かげろうのように周囲に燃えたっている
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
菓子のように包みくるめた優しさ
松本 清張 / 空白の意匠―松本清張短編全集〈10〉 amazon
おとなしそうな表面に、いったんこうと決めたら梃(てこ)でも動かせない、石のような硬い芯が隠されている
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
石の地蔵さんに洋服を着せたようなわからずや
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
全身これエチケットの塊といった風で、固く構える
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
自ら好んで自分の廻りに夢想と孤独との壁を置く
福永 武彦 / 草の花 amazon
カメレオンみたいにその時々によって考えを変える
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
透きとおったガラスのような鋭く美しい処女の感情
石川 達三 / 花のない季節 amazon
花がはずかしそうに、うつむいたという風情の女性
戸板 康二 / 家元の女弟子 amazon
書物で壁を築いて、その中に立て籠もっていたような心
夏目 漱石 / こころ amazon
田舎の老爺(ろうや)が一心に思いつめたような頑なさ
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
ケヤキの巨木のように、どんな風が吹こうともびくともしない
臼井 吉見 / 自分をつくる amazon
糸をゆるめられた操り人形のように、急に軀(からだ)がぎごちなくなる
古井 由吉 / 杳子・妻隠 (1979年) amazon
手足をぎくしゃくとして、マリオネットになったよう
山田 詠美 / ハーレムワールド amazon
傷口をぐりぐりとメスでこじあけてしまうようなしゃべり方
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
性格にも考え方にも、製図で引くような四角四面な所がある
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
人の善さそうな顔をして、心は氷のようにきつい
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
路傍の人のように、むうっとそっけなく澄ましこむ
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
京人形のように澄まし込む
大仏 次郎 / 冬の紳士 amazon
妙に冷静ぶって理論的に人生を整理してしまったような、自身ありげな気取った文章
石川 達三 / 花のない季節 amazon
少年詩人のごとき気分屋
坂口 安吾 / オモチャ箱・狂人遺書 amazon
無愛想な所々に句読点のように小さく挟む優しさ
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
好奇心にかられた猫が獲物にじゃれるしつこさで聞きほじる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
机の上から叩き落されるゴミのように扱われる
宮部 みゆき / とり残されて amazon
若い雌鹿のような野生の塊
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
哲学者カントの如く時間に正確
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
飢え疲れた旅人の後をつける曠野(こうや)の狼のように、執念深く迫って来る
中島 敦 / 李陵 amazon
熊ん蜂のようにしつこい
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
好奇心にかられた猫が獲物にじゃれるしつこさで聞きほじる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
真正直な、純白の生糸をピンと張りつめたような心の持ち主
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
あふるる日光のうちに伸び伸びと育つ若木のようなまっすぐな善良さ
長与 善郎 / 青銅の基督 amazon
オゾン層の破壊と同じくらい真剣に受けとめる
ロナルド・マンソン / ファン・メイル (上) amazon
息を吹きかけると飛び散ってしまう微細なものを観察するかのように、慎重に相手の目をのぞきこむ
宮部 みゆき / とり残されて amazon
無邪気そうに見える水仙のような女の子
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
身を投げ出したように従順
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
従順一点張りの灰色の幕のような女
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
神経が荒縄でできている
田辺 聖子 / 休暇は終った amazon
火にあぶったスルメのようにふんぞり返る
山本 有三 / 波 amazon
深海へ下降する潜水艇ほどにも、重圧によくもちこたえる精神
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
自分がたちの悪い特殊な病原菌の保持者になったような気がした
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
ひどくシャイな性格で、三人以上の人間が居合わせる場所では、いつも自分が実際には存在しないものとして扱われることを好んだ
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
才能というのは容器と同じだ。どんなにがんばって努力しても、そのサイズはなかなか変わらない。そして一定の量を超えた水はそこに入らない
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
おれは冷静でもなければ、常にクールに自分のペースを守っているわけでもない。それはただバランスの問題に過ぎない。自分の抱える重みを支点の左右に、習慣的にうまく振り分けているだけだ。他人の目には涼しげに映るかもしれない。でもそれは決して簡単な作業ではない。見た目よりは手間がかかる。そして均衡がうまくとれているからといって、支点にかかる総重量が僅かでも軽くなるわけではないのだ。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
ときどき品の良いごみ箱みたいに扱われる。いろんな人間がいろんなものをそこに投げ込んでいく。投げ込みやすいんだ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
空気を明るくしてくれる人の周りには人は集まるもんやで。街灯に虫が集まるみたいにな。
水野 敬也 / 夢をかなえるゾウ amazon
病的になっていたひろ子の神経は、その萩の花の大きいゆれをわが魂の大ゆれのようにはっと感じた。
宮本 百合子 / 風知草 amazon
蝋細工のようなもので、暑さに対してはからきし意気地がない
安部 公房 / 他人の顔 amazon
全身欲望の結節でぐりぐりになり、ぼくは瘤だらけの老木さながらになっていた。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
自分の扉のことしか考えない、巻き貝のようなあなた。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
目の悪い人が眼鏡を外すことができなくなるみたいに、映画に出てくる殺し屋が手もとから拳銃をはなせないみたいに、僕はカメラのファインダーが切りとる彼女の空間なしには生活していくことができなくなっていた。
村上 春樹 / 回転木馬のデッド・ヒート amazon
彼女らの本性は生活の享楽的な部分にのみ生える草花のようで
横光 利一 / 無礼な街「定本横光利一全集 (第1巻)」に収録 amazon
一と晩骨のそばで通夜をして、それからすぐ忘れて、さっさと自分の任務にかえってゆくであろう。みんなはつよい。昆虫のような強靭さを持っているように、自分には見える。
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
石のように非情な人間
中山 義秀 / 碑「厚物咲・碑―他六篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
型に押し込まれて、自由を奪われてしまった去勢された馬のように、感受性を失って
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
昔の侍のように、かたく口をつぐんで、しゃべらなかった。
宇野 浩二 / 子を貸し屋 amazon
他人から木の端のように取り扱われる
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
「切って投げ出されれば、投げ出された部分だけの根を土におろして、結構生きて行ける人なのだ。」「まるで仙人掌(さぼてん)だな。」
真山 青果 / 玄朴と長英 他三篇 amazon
未婚の若い女をみれば、やたら犬みたい尻ッ尾振り振り、そのあとをつけ廻す
川崎 長太郎 / 伊豆の街道 amazon
あの御仁は人間の皮を着た蝮(まむし)だ。
井上 ひさし / 腹鼓記 amazon
顔の表情が極端に乏しいところにあった。堅く閉じられた唇は、よほどの必要がなければ微笑みひとつ浮かべなかった。その両目は優秀な甲板監視員のように、怠りなく冷ややかだった。おかげで、彼女の顔が人々に鮮やかな印象を与えることはまずなかった。多くの場合人々の注意や関心を惹きつけるのは、静止した顔立ちの善し悪しよりは、むしろ表情の動き方の自然さや優雅さなのだ。 おおかたの人は青豆(人名)の顔立ちをうまく把握できなかった。いったん目を離すともう、彼女がどんな顔をしていたのか描写することができない。どちらかといえば個性的な顔であるはずなのに、細部の特徴がどうしてか頭に残らない。そういう意味では彼女は、巧妙に擬態する昆虫に似ていた。色やかたちを変えて背景の中に潜り込んでしまうこと、できるだけ目立たないこと、簡単に記憶されないこと、それこそがまさに青豆の求めていることだった。小さな子供の頃から彼女はそのようにして自分の身を護ってきたのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
「君が本来書くべきものは、君の中にしっかりあるはずなんだ。ところがそいつが、深い穴に逃げ込んだ臆病な小動物みたいに、なかなか外に出てこない。穴の奥に潜んでいることはわかっているんだ。しかし外に出てこないことには捕まえようがない。時間をかければいいと俺が言うのは、そういう意味だよ」
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
この世界は自分が中心になって動いていると思っている。自分がいなければ地球はうまく動かないだろう。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
私が生まれてこのかた辿ってきた人生の合法的な部分だって、お世辞にもまともとは言えない。汚れた洗濯物を押し込めるだけぎゅうぎゅう押し込んだトランクみたいなものだ。その中には、一人の人間を精神異常に追い込むに足る材料がじゅうぶんに詰め込まれている。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
(学生時代、)彼女は強風に吹き飛ばされそうになっている人が柱にしがみつくみたいに、その競技にしがみついて生きた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
前後の事情をよく頭に入れて、細かく観察すれば、彼の動きがなかなか綿密に計算されたものであることがわかる。将棋でいえば数手先まで読んでいる。奇策を好むのは確かだが、しかるべきところに一線を引いて、そこから足を踏み出さないように気をつけている。どちらかと言えば神経質な性格と言ってもいいくらいだ。彼の無頼的な言動の大半は表面的な演技に過ぎない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
下手に深入りしたところで足元の梯子を外されたりしたら、たまったものではない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
あゆみは大きな欠落のようなものを内側に抱えていた。それは地球の果ての砂漠にも似た場所だ。どれほどの水を注いでも、注ぐそばから地底に吸い込まれてしまう。あとには湿り気ひとつ残らない。どのような生命もそこには根づかない。鳥さえその上空を飛ばない。何がそんな荒れ果てたものを彼女の中に作り出したのか(。@略@)彼女はその致命的な欠落のまわりを囲うように、自分という人間をこしらえてこなくてはならなかった。作り上げてきた装飾的自我をひとつひとつ剥いでいけば、そのあとに残るのは無の深淵でしかない。それがもたらす激しい乾きでしかない。@略@その無は定期的に彼女のもとを訪れてきた。@略@そんなとき、彼女は誰でもいい誰かに抱かれないわけにはいかなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
毎日父親の部屋を訪れるようになると、看護婦たちは前より心もち優しく、親しみを持って彼に接するようになった。まるで放蕩息子の帰還を穏やかに受け入れる家族のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼らは牛河の顔と服装を一見しただけで、ろくすっぽ相手にもしてくれなかった。雨に濡れた疥癬病みの、尻尾のちぎれた犬がドアの隙間から入り込んできても、もう少し温かく扱われるのではないかという気がしたくらいだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
豊かな才能は、豊かな水脈と同じように、様々な場所に出口を見いだすものなのでしょう。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
そうすんなりとは心を開かなかったでしょう。岩に張りついた牡蠣が簡単には殻を開かないのと同じように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
途端、直にさびしさに触れた。その清水のような新鮮な冷たさに身震いがした。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
断崖に向かって走るレミングの群のように、私の買い物は破滅に向かって突っ走るのだ。
中村 うさぎ / ショッピングの女王 amazon
飛行機が揺れるたびに、(抱えた)ワインが小さな悲鳴をあげているような気がして、仕方ないのだ。
林 真理子 / てるてる坊主「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
不二雄の性格を評して、おれはよくこう言った。「強と弱しかスイッチのない扇風機」 中間のレベルというものが不二雄にもさやかにもない。あいまいなグラデーションのようなものが一切ないのだ。切り捨てるか、熱烈に受け入れるか。愛するか無視するか。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
めったに心を開くことはなかった。彼は狂犬病のような男で、彼が人間と関わるのはたいてい噛みつくときだった。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
初心者ドライバーが慎重に駐車をするかのように、おっかなびっくり
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
冷たいスプーンを思わせる無感情さ
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
仲の悪いバンドマン同士のような素っ気なさ
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
野火のように燃え上るかと思うと、野火のように消え沈む急角度な性格
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
虚弱児の兄は、卵のようなこわれものとして父母に扱われた。
平林 たい子 / 秘密 amazon
此の女は、何時まで昔の思い出を、金貸しのように責めたてるのだろう
林 芙美子 / 浮雲 amazon
磯に這う海胆(うに)を見ているように、まことにたよりない勝豊である。
林芙美子 / 羽柴秀吉
病院か図書館の門をくぐるような生真面目さ
曽野 綾子 / わが恋の墓標 amazon
彼の姿が、恐ろしく冷淡に見えた。――僕らの方へ向って、彼が背中を向けているように見えた。
広津 和郎 / 波の上―短篇集 amazon
蛇のような執拗さで間がな隙がな追究しずにはいられなかった。
嘉村 礒多 / 業苦 amazon
俎上(そじょう)の鯉のように、いさぎよい態度
丹羽 文雄 / 顔 (1963年) amazon
侍女のように忠実な態度を示した。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
乞食にでも物を言う時のような横柄な態度
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
四竹を鳴らして説経を唱(うた)っていた娘が、三味線をひいて流行唄(はやりうた)を歌う姉さんになったのは、孑孑(ぼうふり)が蚊になり、オボコがイナになり、イナがボラになったと同じで、これは自然の進化である。
永井 荷風 / ぼく東綺譚 amazon
棒切れに突かれた蝸牛(かたつむり)みたいに恐ろしく引込み思案を初めた
相馬 泰三 / 六月 amazon
猫が鼠をじらすような、残酷な気持ちが、美種子夫人の胸の中に
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
母は答えない登の無礼も咎めず、油のような滑りのよいやさしさを自由に保った。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
巌石の一群のような頼もしさ
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
魚の肌のように、底意地の冷い
林 芙美子 / 浮雲 amazon
障子の穴から覗くように他人の噂を拾い集めて吹聴する
牧野 信一 / 鬼涙村 amazon
白い蛾(が)のように歓喜の乏しい人だ。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
性格は大昔の農夫のように穏やかで気がやさしい
椎名 誠 / 長く素晴らしく憂鬱な一日 amazon
表面(うわべ)はビロードのようにやさしい
平林 たい子 / 施療室にて「こういう女・施療室にて (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
不純な呼びかけを霧のような静けさで黙殺した。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
少女が、仔猫のように駈けよってきて
安部 公房 / 他人の顔 amazon
心のなかに噴きあげるような侮辱を感じて
林 芙美子 / 浮雲 amazon
持前の勝気な気性が蛇のように頭をあげて来た。
織田 作之助 / 夫婦善哉 amazon
煙を立てるようなおせっかい
川端 康成 / 千羽鶴 amazon
「やさしさ」が陽に透けて落とした花びらのシルエットのような陽子ちゃんの人柄
吉本 ばなな / TUGUMI(つぐみ) amazon
空気のような執拗さで人々を浸し始めていた。
佐多 稲子 / くれない amazon
率直な話ぶりまでも、まるで将軍のように立派であった。
石川 達三 / 蒼氓 amazon
育ちざかりの七面鳥のように眼をむいてがつがつ食いまくる
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
排他的な、陰微で卑しい黴(かび)みたいな、ネチネチとした嫌なものがある
藤枝 静男 / 犬の血 amazon
生一本でお人好な性格が、金槌で打ちこむように胸の奥深いくらがりに確実な地積を占有し
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
向日葵(ひまわり)のような明るい娘
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
お民婆やは買いたてのゴム毬のように、一向ヘコまなかった。
獅子 文六 / 胡椒息子 (1953年) amazon
蜘蛛が餌食を巻き締めておいて咽喉(のど)を食い破るような残忍的な考えが閃めいたのだ。
嘉村 礒多 / 業苦 amazon
わたくしの魂の底にひっそりと棲みつづけていた。沼に沈んだ兇器のように鈍く光りながら
大原 富枝 / 婉という女 (1961年) amazon
火にあぶったスルメのように、ふんぞり返ってしまって
山本 有三 / 波 amazon
人間は竹のようにまっすぐでなくちゃ頼もしくない。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
原始人のような単純な感情や態度
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
全身が弾機(ばね)でできているような不可思議なほどの働き者
司馬 遼太郎 / 国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 amazon
死体は荷物のように扱われ
島木 健作 / 癩 amazon
その貧相な体躯がそのまま煙草の脂(やに)のようなある粘っこい卑劣さの凝固したもののような印象をあたえた。
平林 たい子 / 大草原「日本の文学〈第48〉平林たい子,大原富枝 (1969年)地底の歌・秘密・桜・他 婉という女・大草原・他」に収録 amazon
病いのように彼女にとりついたその強情なもの
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
胸もとに手を入れるような無遠慮さで、ぬけぬけといった。
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
幼女のような無垢なものが感じられる。
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
外国遊覧に行く財産家のように泰然として
石川 達三 / 蒼氓 amazon
彼はまるで顎を上へあげて、子供のようにいばりちらしだしそう
野間 宏 / 真空地帯 amazon
まるで掌をたたくような陽気さで返答した。
司馬 遼太郎 / 国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 amazon
女は鉛か銅で作り上げられているように、人間のあったかさを三年ばかりまるで知らないでいた
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
うす汚い乞食坊主のように、かしこまって
伊藤 整 / 灯をめぐる虫「伊藤整作品集〈第7巻〉火の鳥,灯をめぐる虫,たわむれに,生きる怖れ (1958年)」に収録 amazon
教師の講義をきく学生のような従順さを示した。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
無口な、無感情な、石のような性格
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
継っ子(ままっこ)みたようにかしこまって
久保田 万太郎 / うしろかげ「市井人・うしろかげ (1950年)」に収録 amazon
父親のように甘やかし可愛がってくれる
円地 文子 / 女坂 (1961年) amazon
従順一点張りの、灰色の幕のような女
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
栗鼠(りす)のように神経質
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
仏像のように頑固に、口をつぐんでしまう。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
通り魔のようにそれ(感情)はすぐに去って行った
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
従順という言葉にオッパイとお尻をくっつけたような、今のこの国じゃほとんど無形文化財に近いいい子だ
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
僕の言うままになって、人形みたいな女だった
阿部 知二 / 冬の宿 (1948年) amazon
意識の隅々にまでモルタルを流し込んだような、毅然とした態度
安部 公房 / 他人の顔 amazon
一種岩石のように頑固そうな顔つき
上林 暁 / 薔薇盗人「昭和文学全集〈14〉」に収録 amazon
片意地の欠点が、家庭生活の中に、電気のコードを引きずっているようなめざわりさで考えられてくる。
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
まことによく節子をいたわり、こわれやすい繊巧な硝子細工を扱うように扱った。
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
自分の妻ながら、きれいな心に僕は洗われるようであった。
上林 暁 / 聖ヨハネ病院にて amazon
テレビでも観るかのように傍観者を決め込んでいる。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
忘れ去られた黒子のごとく
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
「あの堅物さはどこから来るんだ? 曲がった壜の蓋よりも固い」
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
あの変人ぶりは、異様に長い雨季のような、自然界の違和感に近かった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
泥棒に入る時には、家の中に誰もいないかを充分に確認する必要がある。これに神経を傾けない奴は、戦場で無闇に銃を乱射して、居場所を知らせてしまう兵士と同じだ。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
私たちの怒鳴り声が聞こえているにもかかわらず、まったく知らないふりをして、今日だけで同じ光景を三回は見かけたと言わんばかりに普通に通り過ぎた。
綿矢 りさ / 仲良くしようか「勝手にふるえてろ (文春文庫)」に収録 amazon
女王様然とした美しさを纏った女
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
鏡のぞきこんでるだろうが。白雪姫の意地悪継母みたいにさ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
完璧、無視する。実際、網戸の隙間から蚊が入ってきたほどにも感じなかったのだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
背筋に、黒く冷たい水のような感情が広がった。
羽田 圭介 / 一丁目一番地「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
気持ちがいっきにしぼみます。@略@見えない鎖にがんじがらめになり、動けなくなるのです。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
むしゃむしゃ馬みたいに食べたい
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
唇は鍛え抜かれた陸上選手の太もものように、たくましく動く。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
催眠術にかかったかのように従順
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
舞台上の魔術師のように愛想がいい
大原まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
欲望を公然と認めて生きることは、夏の海に輝く太陽のように明るい
柴田翔 / されどわれらが日々‐ amazon
その他の人物を表す比喩表現
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