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時間・スピードの比喩を使った文章の一覧(115件)
遠い微かな穴の奥底のような昔
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
瞬時の火花のかわりに、油のような時間が流れる
立原 正秋 / 去年の梅 (1979年) amazon
蟻が塔を造るような遅々たる行動
幸田 露伴 / 観画談 amazon
進取の気性が時代の歩調としっかり手を取り合う
久間 十義 / ヤポニカ・タペストリー amazon
ゆっくりと無感動に、牛が草を食(は)むように仕事をする
向田 邦子 / 幸福 amazon
春と夏とが同時に押し寄せてきたかのように、季節が急速に進む
堀 辰雄 / 風立ちぬ amazon
手繰りきれない白い帯のような長い年月
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
鏡面のように静かになっている過去
連城 三紀彦 / 棚の隅 amazon
猫の眼のように、時代の推移に従って自己を変える
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
時代にささやかな杭を立てる
林 京子 / やすらかに今はねむり給え;道 amazon
時間が重い鎖をひきずるようにして通過する
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
緋鯉の稚魚のような敏捷さ
永井 龍男 / 青梅雨 amazon
暦をめくるように、季節で貌(かお)を変える庭木や下草
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
すばしこい魚のように敏捷
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
ずっと昔に死んでしまった時間の断片
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
実際には数秒足らずの時間が、長い時が音を立てて流れつづけたように感じられる
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
ほとんどまばたきするほどの時間だったが、停止したフィルムの場面の中にいるような気がする
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
緩やかな水の流れのように時が彼の体を通り抜けていく
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
澱みに広がる水の輪のように、緩慢で怠惰な時間が過ぎる
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
油のような時間が流れる
立原 正秋 / 去年の梅 (1979年) amazon
貴重な時間が血のように流出する
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
時間が蛇腹(じゃばら)のように、深いひだをつくって幾重にもたたみこまれている
安部 公房 / 砂の女 amazon
魔法使いの馬車が現れたような早さでタクシーが来る
萩原 葉子 / 蕁麻の家 amazon
長い退屈な映画を見ているような一日だった。時間を無駄に潰すというのもなかなか骨の折れるものなのだ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
午後は淀んだ深い川のように静かに流れていった
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
ゆっくりと空を流れる雲のように、五月が窓の外を過ぎ去っていった
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀(こおろぎ)が聞える。
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集 (第3巻)」に収録 amazon
翌日目が覚めたとき、世界はまだ無事に続いていた。そしてものごとは前に向かって既に動き出していた。前にいるすべての生き物を片端から礫き殺していく、インド神話の巨大な車のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ここから先は誰にとっても未知の領域だ。地図はない。次の角を曲がったところに何が待ち受けているか、曲がってみなくてはわからん。見当もつかない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
深い池に石を放り込む。どぼん。大きな音があたりに響き渡る。このあと池から何が出てくるのか、私たちは固唾を呑んで見守っている。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
永遠はどこまでも伸びる一本の長い棒だ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
ガラスの灰皿を手に取り、盲人が事物のかたちを詳しく確かめるときのように、長い指で注意深く表面を撫でた。@略@かたちを調べ終えた灰皿をテーブルに戻し、
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
時間は河口に近づいた河のようにゆるやかに流れていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
下痢したニワトリみてーに急いでいる
荒木 飛呂彦 / STEEL BALL RUN vol.15―ジョジョの奇妙な冒険Part7 amazon
視界に入るものはすべて──街行く人も、道路を走る車も──見える限りの世界が、まるでフィギュアで作られた世界であるかのように静止していたのだ。
水野敬也 / 夢をかなえるゾウ2 文庫版 ~ガネーシャと貧乏神~ amazon
車両の揺れが、相変わらず、木村を小突くようだ。忍耐の鎖を破るように唆してくる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
「きやあ。」と叫んで、あわてて湯舟から出た。すべてがちょうど金しぼりからとけたようなおかしな速度だった。
吉本 ばなな / 哀しい予感 amazon
雪の上を転がるように
深田 久弥 / 四季の山登り (1963年) amazon
蟬の命ほどもない、短い間
木村 荘八 / おはん amazon
時計の針がとまったように一向に夜が更けぬ。
森田 たま / もめん随筆〈続〉 amazon
尻尾をくわえた蛇のような長ったらしい告白
安部 公房 / 他人の顔 amazon
栗鼠(りす)のように敏捷(すばし)っこい記者たち
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
遠い遠い昔の、夢のように霞んだある日のお話でございます。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
日ごろ見かけたことのない男の子がひとり、ちょろちょろ、かけまわっているのを見たが、まるで、こてんぐみたいにすばやかったぜ。
小出 正吾 / 谷間の学校「小出正吾児童文学全集 (3)」に収録 amazon
時はあぶらの垂れるゆるやかさで過ぎた。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
まるで富士山から岩石でもころがすような急速度で
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
隼(はやぶさ)のような早い飛行機
志賀 直哉 / 暗夜行路 amazon
夢のような速さで、女にいろいろなものを着せた。
後藤 明生 / 吉野大夫 amazon
夏の夕べの蛾をはたき落す猫の如く、正確にして敏捷
森田 たま / もめん随筆 amazon
それからの展開は早かった。フィルムのコマ落としをした映像を見ているようだった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
鉛のように重苦しい集計時間が過ぎていく。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
時間は矢のように過ぎた
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
大勢の人間が限られた時間を共有して突っ走る。怒りも焦りも苛立ちも、ギロチンの処刑のごとく下される締切によって断ち切られる。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
手品みたいなスピードで
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
崖から転がり落ちるみたいに過ぎていく時間
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
鼠(人名)にとっての時の流れは、まるでどこかでプツンと断ち切られてしまったように見える。@略@切り口をみつけることさえできない。死んだロープを手にしたまま彼は薄い秋の闇の中を彷徨った。草地を横切り、川を越え、幾つかの扉を押した。しかし死んだロープは彼を何処にも導かなかった。羽をもがれた冬の蠅のように、海を前にした河の流れのように鼠は無力であり、孤独であった。何処かで悪い風が吹き始め、それまで鼠をすっぽりと取り囲んでいた親密な空気を地球の裏側にまで吹きとばしてしまったようにも感じられる。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ひとつの季節がドアを開けて去り、もうひとつの季節がもうひとつのドアからやってくる。人は慌ててドアを開け、おい、ちょっと待ってくれ、ひとつだけ言い忘れたことがあるんだ、と叫ぶ。でもそこにはもう誰もいない。ドアを閉める。部屋の中には既にもうひとつの季節が椅子に腰を下ろし、マッチを擦って煙草に火を点けている。もし言い忘れたことがあるのなら、と彼は言う、俺が聞いといてやろう、上手くいけば伝えられるかもしれない。いやいいんだ、と人は言う、たいしたことじゃないんだ。風の音だけがあたりを被う。たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
カー・ラジオは古い艶歌をがなり立てていた。はね上げ式の方向指示器くらい古くさい歌だった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
「大学でスペイン語を教えています」と彼は言った。「砂漠に水を撒くような仕事です」
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
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