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秋の比喩を使った文章の一覧(66件)
カラマツの落ち葉の雨が、ちかちかと陽をはじきながら降る
三浦 哲郎 / モーツァルト荘 amazon
稲の絨毯が燃え上がるように輝き、そのうえをトンボの群れが不規則な軌跡を描いて飛行する
奥泉 光 / 石の来歴 amazon
稲を刈った後の切り株が、タワシを並べたように整然と田の中に浮いて見える
水上 勉 / 越前竹人形 amazon
黄葉しかけた樹々が細密画のようにくっきりと見える
五木 寛之 / ワルシャワの燕たち amazon
朽ち葉が露をふくみ、物のけの眼のようにあやしげな光を発する
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
茵(しとね)のような落ち葉の上にすわる
森 鴎外 / 山椒大夫 amazon
秋の終りの黄色く乾燥した野と、色ガラスのような張りつめた青い空
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
木の葉が高く大空に舞うて、小鳥の群れの如く遠く飛び去る
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
桜や若葉が、死魚の浮く池水のように生彩を失う
円地 文子 / 朱を奪うもの amazon
初秋の黄昏は幕の下りるように早く夜に変った。
永井 荷風 / すみだ川 amazon
秋の夜の空気は清冽な水のように胸にすがすがしい
森田 たま / もめん随筆 amazon
奥入瀬(おいらせ)の流れを吹く風が、一晩で積った落葉の上を、まるで箒で片寄せるように、あっちこっちへ小さい吹き溜りをつくっていった。
林 芙美子 / 山中歌合「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
街の灯がうすい靄(もや)につつまれて、秋の夜風が腸(はらわた)にしみるようだ。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
十月の空はすとんと気が抜けてしまいそうに高く青く広がって
椎名 誠 / 犬の系譜 amazon
秋の陽は水のように澄んでいた。
獅子 文六 / 胡椒息子「胡椒息子 (1953年) (角川文庫〈第668〉)」に収録 amazon
静かな慰めるような秋の日光が樹木の間に差し込んで
長与 善郎 / 陸奥直次郎 (1950年) amazon
枯草が乱れ髪のように吹き靡かされていた。
石川 達三 / 日蔭の村 amazon
薔薇色の交った緑色のリボンの様な長い(麦の)葉
小林 秀雄 / ゴッホの手紙 amazon
血の滴るような真赤な山の紅葉
太宰 治 / 富嶽百景 amazon
それぞれに燃えたつばかり。凋落の時まであと幾日かと思えば、こちらまで染まりそうな色にもひとしおあわれが添うようでした。
竹西 寛子 / 天馬の丘「長城の風」に収録 amazon
宮地家の墓地を囲む満天星(どうだんつつじ)は、花のようにがっちりした赤を、澄んだ秋の空気の底に沈めていた。
大岡 昇平 / 武蔵野夫人 amazon
光った土の上へ、飛白(かすり)のように落葉が乾いて散らかっていた
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
朝日に霜の融け掛かる茵(しとね)のような落葉
森 鴎外 / 山椒大夫 amazon
石だたみの上には鉄屑のようなすずかけの落葉が風に吹きよせられている。
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
蝕まれて繊細なレース編みのように葉脈だけになった葉
森 敦 / 月山 amazon
小さな葉っぱが海苔巻のように巻かれたまま落ちています
堀 辰雄 / 美しい村 amazon
黄色に染まった空から黄金色の枯葉を雨のふるように落していた。
阿部 知二 / 冬の宿 amazon
庭一ぱいの腐った朽葉が雨水にしめって眼のように光っていました
島尾 敏雄 / 島の果て amazon
山に降りそそぐ秋の日光そのもののようで
川端康成 / 雪国 amazon
籾殻は丈夫に、まるで羅紗の外套でも着たみてえに厚く出来るんだぞや。
和田伝 / 篤農伝
杉林の前には、数知れぬ蜻蛉の群が流れていた。たんぽぽの綿毛が飛んでいるようだった。
川端 康成 / 雪国 amazon
漆のような真黒な羽のひらひらする、繊(ほそ)く青い、たしか河原蜻蛉(かわらとんぼ)とも言った
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
中空には生徒の数に劣らない沢山の赤トンボが、まるでなにかの図案のように群れ飛んでいた。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
絣(かすり)のように群がり光る赤トンボ共
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
朱ザヤのような照りのある、小がらの赤トンボ
山本 有三 / 波 amazon
赤蜻蛉の羽がまるで銀の雨の降るように見えたんです。
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀(こおろぎ)が聞える。
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集 (第3巻)」に収録 amazon
雑木の紅葉の沁み入るような美しさ
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
刈田は青黴(あおかび)の色に見えた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
落ち続ける桜の葉が地面に落ちきる音さえ聞こえるような、晩秋の夜の静寂
連城三紀彦 / 形見わけ「棚の隅」に収録 amazon
空の天井が抜けたような秋
倉橋由美子 / ポポイ amazon
遠くへ行くさびしい旅人のように、秋の雨が通り過ぎる
佐藤春夫 / 田園の憂鬱 amazon
途方もなく大きな友禅染の布を広げたような台地
高橋治 / 石の微笑み「女たち」に収録 amazon
どんよりと物悲しい秋の日が、朝だというのにまるで夕方のような侘しさをたたえる
山本周五郎 / 菊屋敷 amazon
何もかもがすきとおってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日
村上春樹 / 1973年のピンボール amazon
庭の朝顔の葉が弱まった日差しにカサカサと鳴って、秋の音を伝えだす
連城三紀彦 / 十三年目の子守唄「恋文」に収録 amazon
葉の裏にそれとなく漂っている冷気が季節の秋を吐き出している
本庄陸男 / 石狩川 amazon
芳醇な酒のような秋の日光
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
その他の風景を表す比喩表現
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