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緊張の比喩を使った文章の一覧(151件)
地獄の針の山を歩くように足が竦(すく)む
川端 康成 / 掌の小説 amazon
汗が額からまぶたに流れ落ち、真珠のようにぶらさがる
中上 健次 / 枯木灘 amazon
乱れた髪の毛ごとに伝いて落ちるかと思うように、汗が玉をなして垂れる
長塚 節 / 土 amazon
汗が背中をなめくじになって滑り落ちる
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
ポロシャツの裏の胸をくすぐって、幾匹もの汗の虫が気持ち悪く這い下りる
黒井 千次 / 群棲 amazon
空気に溺れる魚のように不快な汗をかく
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
包み紙の中でべたべたになる林檎糖のように汗をかく
ジュール・ルナール / にんじん amazon
裸体がしとどの汗に濡れ、水をかけられたよう
黒岩 重吾 / 背徳のメス amazon
試合後のボクサーみたいに髪も顔も汗でぐっしょり
七尾 与史 / 死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) amazon
鮑(あわび)の身のように体じゅうを引き締めて硬くなる
谷崎 潤一郎 / 猫と庄造と二人のおんな amazon
発情期の犬のように妙に上ずった声
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団 (〔正〕) (文春文庫 amazon
小太刀の先を当たられたように緊張して身動きもできない
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
乱れた髪がべったりと海藻のように、汗の滲んだ額にへばりつく
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
頭から水をかけられたように、急に顔をこわばらせる
長崎 源之助 / ゲンのいた谷 amazon
表情が石膏の仮面みたいに白く強ばりつく
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
見事に彫刻した顔を見るように、隙間のない極度にひき緊(し)まった表情
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
顔がお面のようにぱりぱりしている
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
言葉が急に固い木片にでもなったかのように咽喉につっかかる
黒井 千次 / 春の道標 amazon
サハラ砂漠のように口の中がカラカラ
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
焔のような警戒心を消さない
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
心がハリネズミのように警戒心の棘を張る
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
声が、氷を頬張ったように咽喉につかえる
泉 鏡花 / 高野聖・眉かくしの霊 amazon
額から黒い脂汗がコールタールのように流れる
木山 捷平 / 苦いお茶 amazon
断水になっていた水道の水が久しぶりに空気をおしのけて出てくるときのように、(言葉が)うまく出てくれない
小島 信夫 / アメリカン・スクール amazon
喋る言葉がぎごちなく、沈黙の中からそのつどどぎまぎと投げ出すよう
古井 由吉 / 杳子・妻隠(つまごみ) amazon
辺りの光をすべて拒絶でもするようなこわばった表情
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
お神楽のお面のようにこわばったご面相
小沢 昭一 / 美人諸国ばなし amazon
身に、眼には見えないこわばりの波が走る
黒井 千次 / 春の道標 amazon
緊張にしめ上げられて、全身の筋肉が古革のようにこわばり、首を動かしただけでも、ぎしぎし音を立てそうなほど
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
歯磨きのペーストが固まってこびりついているような、そんな感じのこわばり
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
胃の中にはたいしたものは入っていなかった。吐くべきものもろくになかった。どろりとした(先ほど食べた)チョコレートの茶色い液を吐いてしまうと、あとは胃液か空気くらいしか出てこなかった。いちばん苦しい吐き方だ。体が痙攣するだけで、何も出てこない。体がしぼりあげられているような気がする。胃がこぶしくらいの大きさに縮んでしまうように感じられる。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
頭に溜まった吐気がまたスーッと降りていく時に、射精そっくりの快感があるのに気付いた
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
ジャマイカの土人達が好む皿と油で煮つめたスープのようなものが喉の奥に詰まっていて、それを吐き出したいと思う
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
嘔吐感が、港一の荒くれ者の船に乗った時の五倍
又吉 直樹 / 火花 amazon
溜飲が起こって咽喉のところへ、大きな丸が上がってきて言葉が出ない
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
矢野正五郎の備えには殺気もなく、たとえれば春の野原に春風に吹かれている人間のような柔かさと和やかさが漂って
富田 常雄 / 姿三四郎 地の巻 amazon
いまにもこなごなに罅(ひび)割れしそうな緊張
古井 由吉 / 衣「古井由吉自撰作品 2 水/櫛の火 (古井由吉自撰作品【全8巻】)」に収録 amazon
二人の眼は犬のようにお互いを見ることを、警戒し合ったのだ
伊藤 整 / 氾濫 amazon
すっかり固くなり、兵隊のように、「はあ、はあ」と返事しているだけであった。
伊藤 整 / 氾濫 amazon
狐の通り道をかぎつけた猟犬のように身がまえる。
伊藤 整 / 火の鳥 (1958年) amazon
汗は澱粉(でんぷん)をまぶしたようにさらさらしていた。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
額から流れおちる滝のような汗
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
汗が体いちめんをゴム膜のようにおおっているのを感じていた。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
夜明けの寒気が彼の全身を感覚のない石のようにかたまらせていた。
坂口 安吾 / 白痴 amazon
一日中一滴の水も飲まずラクダのように行軍する
長谷川 四郎 / 鶴 amazon
栄養失調四度の患者が枯竹のような全身の最後の力をしぼり出した声で
北川正夫 / 苦力に変して―ソ満抑留記 amazon
ねばっこい油のような汗
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
ふいっとラムネの玉が咽喉(のど)につかえたように、そして身体中がかたくこわばって
吉屋 信子 / 妻も恋す「女の暦・妻も恋す (1951年) (傑作長編小説全集〈第6〉)」に収録 amazon
乾いた咽喉に貼りついた声を引き剥がすように呟く。
黒井 千次 / 群棲 amazon
ビールの汗で、私は湿ったオブラートに包まれたようにベトベトしていた。
葉山 嘉樹 / 淫売婦 amazon
棒のように佇(た)ち竦(すく)んだ。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
不自然な姿勢を動かすこともできず、背中は氷の板のように冷たく硬ばっていた。
山本 周五郎 / 青べか物語 amazon
繃帯の隙間を、ねばねばした汗が、虫のように這いずりはじめる。
安部 公房 / 他人の顔 amazon
大きな汗がにじんで、頬の方に玉のように流れ落ちていた。
阿部 知二 / 冬の宿 amazon
登は喘(あえ)いで、口の中が枯草をいっぱい押し込まれたように乾ききって、答えることができなかった。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
金縛りの術にかかったように、膝を崩そうとしない。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
君は、ともすると古木の皮のように固まってしまおうとする私を真向から叩き壊し
鈴木 藤太郎 / 子供記 amazon
肺腑が雑巾のように搾られている感じがした。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
緊張し始め、足と手がバラバラに動く、できそこないのロボットのよう
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
Tシャツの胸の辺りは汗染みで赤ん坊の涎掛けのよう
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
パンの先を一かけらちぎって口に押し込み、ほとんど嚙みもしないで飲み込んだ。そして喉につかえると、缶入りのスポーツドリンクを、ほんの少しだけ嫌そうに飲んだ。その姿は、とても食事風景には見えなかった。何か不可思議な、まじないか修行のように見えた。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
汗だけが小さな生き物のように皮膚の上をじりじりと移動をする。これの感触はかゆみに近しいな。
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
雌ヒョウの群れに襲われたロバにようにおどおどする
中勘助 / 銀の匙 amazon
その他の感情を表す比喩表現
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