日本語表現インフォ > 比喩表現の一覧 > 感覚の比喩 > 状態・状況の比喩表現
状態・状況の比喩を使った文章の一覧(171件)
灰色のしみが雨雲のようにべったりはりつく
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
先の尖った棒で蜂の巣みたいな穴をあける
宮本 輝 / 夢見通りの人々 amazon
むじなみたいに穴に入る
司馬 遼太郎 / 殉死 amazon
ダンプカーが通り抜けられるくらいの大きな穴
ロナルド・マンソン / ファン・メイル (上) amazon
底無しの井戸みたいに、まっさかさまに落ちてゆく穴
ピート ハミル / ブルックリン物語 amazon
全てを呑みこんで陥没させたかのような、道路に掘られた深い穴
鷺沢 萠 / 葉桜の日 amazon
性根の悪い色をした青黒い水が、油のようにむうと流れる
内田 百けん / 冥途 amazon
火の燃えるような勢いに乗じて、新館建て増しにかかる
泉 鏡花 / 高野聖・眉かくしの霊 amazon
燎原の火のように全国に広まる
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
季節の変わり目のように厳粛な事実
竹西 寛子 / ひとつとや amazon
疾風が枯れ葉を吹き捲くかのような情勢
山田 美妙 / あぎなるど―フィリッピン独立戦話 amazon
水の底で海草にからまれたような始末の悪さ
安岡 章太郎 / ガラスの靴
神がしつらえたような偶然の機会
畑 正憲 / 天然記念物の動物たち amazon
祈っていた機会が指の間からすべり落ちる
ウィリアム・アイリッシュ / 黒いカーテン amazon
爪を磨(と)ぎすました野獣のように、機会を根気よく待つ
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
機械のごとく渾身の力を入れて槌をあげ、渾身の力をもって降り降ろす
菊池 寛 / 恩讐の彼方に amazon
艙口(ハッチ)が、足もとの地面が左右へ割れたような大きな暗い口をひらく
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
積まれた材木が、港に折り重なって睡(ねむ)る舟のように静か
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
白い砂が指の間からこぼれ落ちていくかのように、つかみかけた幸せが逃げていく
森 瑶子 / 風物語 (角川文庫 amazon
方向感覚を失った人のように、つくる(人名)は同じ場所をただぐるぐると巡回していた。ふと気がつくと前と同じ場所に戻っていた。やがてそのうちに彼の思考は、頭の溝がつぶれたネジのように、前にも後ろにも進めなくなった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
事実というのは砂に埋もれた都市のようなものだ。時間が経てば経つほど砂がますます深くなっていく場合もあるし、時間の経過とともに砂が吹き払われ、その姿が明らかにされてくる場合もある。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
封を切ってしまった商品の交換はできない
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
頭の中に記憶された世界中の物事や事象が一瞬にしてばらばらにほどけてしまったような気がした。すべてが細やかな断片として砕け、飛び散っていった。@略@この何ヶ月の間に僕の中に漠然と形成されていたある種の体制をばらばらに吹き飛ばしてしまったのだ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
(わざと問題を起こして、その成り行きを見守る)挺子(てこ)を使って大きな不吉な岩を持ち上げ、そこに太陽の光をあて、岩の下から何が這い出てくるか見届けようと待ち構えている。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
今日一日でいくつかのものごとがしっかりと前に進んでしまった、と青豆は思った。歯車がかちんと音を立ててひとつ進んだ。一度前に進んだ歯車があとに戻ることはない。それが世界のルールなのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
砂糖壷に潜り込もうとする蟻のようにあっさりとつまみ出される。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼の思考は、迷路のすべての出口をふさがれてチーズの匂いだけを与えられた気の毒なネズミのように、同じ道筋をぐるぐる行き来しているだけだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼女の頭はひとつのサーキットの中をぐるぐると回り続ける。どこにも出口がみつからない。どうすればいいのだろう?
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
ゲームのサーブ権はこちらにある。こちらからは自由に連絡が取れるが、そちらからは取れない。我々が誰かということすらあんた方にはわかっていない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
にな川が一歩踏み出すと、すぐに壁ができた。スタッフの壁だ。背中に社名の入ったTシャツを着ている彼らは、プリントの点線部分を鋏で切っていくように、にな川とオリチャンをきれいに、すっぱりと分けた。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
名画の上から、色んな絵具足し過ぎて、もう元に戻れんようになって、途方に暮れてる状態
又吉 直樹 / 火花 amazon
ドラえもんが僕の机から出てこないかな、ってのと一緒
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
山をトロッコが下るように、勢いをつけて進む。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー 角川文庫 amazon
エレベーターなしの高層ビルで、引越し屋のバイトをやるくらいには大変なんだ
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー 角川文庫 amazon
風で揺れるカーテンが、室内を舐める舌のように、はためいている。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
自分の荷物が、何か言いたげにベッドの下に置かれている。
中村文則 / 教団X amazon
面白半分に、釣り糸を垂れてみたら、ぞっとするほど魚が食いついてきて、自分が水中に引きずり込まれる。そういう恐怖を感じた。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
誰も彼れも、扇の骨のように離れてばらばらに成って来ている
大仏 次郎 / 宗方姉妹 (1954年) amazon
展覧会に工場が競うて製作品を出品するように、あることないことの限りを捏造して語りあっている
前田河広一郎 / 三等船室「現代日本文学大系 (59)」に収録 amazon
赤茶けた畳には煮しめたような汚点(しみ)がついている
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
黒い旗片(はたびら)は闇の中で、大きな蝙蝠のように羽ばたいた。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
何もかもが白紙へつく墨のように目新しい経験
平林 たい子 / 鬼子母神「筑摩現代文学大系 (41) 平林たい子・円地文子集 地底の歌 こういう女 嘲る 盲中国兵 鬼子母神 私は生きる 花散里 ひもじい月日 くろい紫陽花 男のほね 妖 二世の縁 他」に収録 amazon
木の実を嵌めたように固い、きびしい目附で見まもっていた。
大仏 次郎 / 帰郷 amazon
左右からサンドイッチのように挟まれていた
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
まるで薬物中毒になって禁断症状をおそれてでもいるように、つづけざまに(映画を)見るのである。
吉行 淳之介 / 海沿いの土地で「吉行淳之介全集〈第2巻〉全短篇2」に収録 amazon
全く抵抗できない糸で引き寄せられるようにして、足が向いてしまう
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
蜘蛛の巣のように評判が八方へ。
泉 鏡花 / 高野聖 amazon
ゲジゲジのように嫌われて
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
一寸指先を動かせば、それですんでしまう些事かもしれなかった。
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
太陽の光りのように明白過ぎる事実
長与善郎 / 陸奥直次郎 amazon
乾物のようにぺしゃんこになった
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
赤や青や黄のドレスの裾が蝶々のように翻って
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
チガイ棚の上にきちんと屯営の整理棚を見るような奇妙な丹念さで片づけている。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
空想はさらに電波のように拡がって
稲垣 足穂 / 弥勒 amazon
悪評が、夏雲のようにまたたくまにひろがり
壷井 栄 / 裲襠 amazon
屋上から飛び下りて蛙のようにペシャンコになって死んだ。
村上 春樹 / 風の歌を聴け amazon
三年前の情事がもはや太古の恋物語のように、へだたってしまった
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
手もとの燐寸(まっち)箱を卓のむこうへ片寄せるぐらいの労力しか要さないものかもしれなかった。
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
僕に物を書けというのは、死者に踊れというようなものではあるまいか。
森 鴎外 / 追儺 amazon
この小説は村八分のふしだら娘のように、ほとんどあらゆる批評家から嫌悪されていた。
大江健三郎 / 〈われらの時代〉とぼく自身
流行感冒のように、到るところに伝播していた。
黒島 伝治 / 渦巻ける烏の群 amazon
あだかも燕が同じような勢揃いで、互いに群れをなして時季を違えず遠いところからやって来るように、
島崎 藤村 / 千曲川のスケッチ amazon
旱魃(かんばつ)に滋雨を得た百姓のような喜び
広津和郎 / 神経病時代 amazon
材木の上を縄渡りのようにタッタッと走る
林 芙美子 / 風琴と魚の町 amazon
油が乗ったように威勢よく
長塚 節 / 土 amazon
風が強いので疲れたネクタイが眼の前を鰻のような皺の寄りかたで泳いでいた
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
この際の訪問者はまるで助け舟のように嬉しく
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
ひらひらと動きながら老人らと一つに私語(ささや)くように見えた。
長塚 節 / 土 amazon
髑髏(どくろ)の眼窩(がんか)のような、不気味な感じを与える穴。
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
袖を通していない白い上着が肩のうえで翼のようにひらひらしながら
中村 真一郎 / 遠隔感応 amazon
弾かれたように、彼から身を離した。
横山 美智子 / R夫人のサロン「静かなる奔流 (1947年)」に収録 amazon
一中絶は丹念に巻きたる糸の鞠を落すが如し。一度にして労を失うこと何尺なるを知らず。
佐々木 邦 / 奇人群像 amazon
先刻はいた痰が腐った牡蠣のように床に付着している。
梅崎 春生 / 日の果て amazon
洟(はな)をかむように、こちらから何げなく名乗りをあげてやろう
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
吹き抜ける風の中で吹き上げられ舞っている紙屑のように自分の行方のつかめぬまま
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
数珠玉のようにつながって老婆の口からほとばしり出る意味の分らない言葉
竹西 寛子 / 少年の島「兵隊宿 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
夏の夕べの蛾をはたき落す猫の如く、正確にして敏捷
森田 たま / もめん随筆 amazon
清の注文どおりの手紙をかくのは三七日の断食よりも苦しい。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
会社の仕事を中途半端に止めてでも早く家に帰ろうとする男たちを、静香は信じられなかった。現在地点を確認もせずに、眠りこける兵士と似ている、と内心で嘲笑した。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
その死体を穴に入れた。土の零れる音がした。そこでようやくまわりの者たちの出番になった。全員がこぞって、靴や手を使い、土をかけはじめる。土の降りかかる音は乱暴ではあったが、まるで雨が降るような趣も感じられた。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
人生に抵抗するのはやめた。世の中には大きな流れがあって、それに逆らっても結局のところ押し流されてしまうものなんだ。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
波に乗るような自然な流れで恋愛が結婚に行き着く
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
初回原稿は、第二社会面に回されて惨めな姿を晒していた。@略@今さら一面に復活させることもできない。連載企画は、いわば「死産」してしまったようなものだった
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
櫛の歯が抜けるように記者が辞めていった
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
景気が回復したの、就職状況が上向きだの、明るい話題はなかなかあたしたちのところまで降りてこない。はるか頭上をすーっと流れていく。それこそ雲みたいに。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
金持ちになるには少しばかり頭が要るけどね、金持ちであり続けるためには何も要らない。人工衛星にガソリンが要らないのと同じさ。グルグルと同じところを回ってりゃいいんだよ。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
鼠(人名)はおそろしく本を読まない。@略@僕が時折時間潰しに読んでいる本を、彼はいつもまるで蠅が蠅叩きを眺めるように物珍しそうにのぞきこんだ。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
「なおさないと損するわよ。」 「多分ね。でもね、ポンコツ車と同じなんだ。何処かを修理すると別のところが目立ってくる。」
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
時が来ればみんな自分の持ち場に結局は戻っていく。俺だけは戻る場所がなかったんだ。椅子取りゲームみたいなもんだよ。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
まるでずれてしまったトレーシング・ペーパーのように、何もかもが少しずつ、しかしとり返しのつかぬくらいに昔とは違っていた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
彼の生涯については誰も知らない。深い井戸の底のみずすましほどにしか知らない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
手のひらがママレードみたいにぐしゃぐしゃに潰れてたよ
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ワーゲンの後部座席には彼の息子がこすりつけたらしいミルク・チョコレートのしみが、まるで銃撃戦のあとの血痕のように一面にしみこんでいた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
それは象の墓場のようにも見えた。そして足を折り曲げた象の白骨のかわりには、見渡す限りのピンボール台がコンクリートの床にずらりと並んでいた。@略@台は同じ向きに八列の縦隊を組み、倉庫のつきあたりの壁まで並んでいた。まるでチョークで床に線を引いて並べでもしたように、その列には一センチの狂いもない。アクリル樹脂の中で固められた蠅のようにあたりの全ては静止していた。何ひとつぴくりとも動かない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
今に限らず、現実は、常に、見えにくい。複雑に絡み合っているが、それはバラバラになったジグソーパズルのように脈絡がなく、本質的なものを抽出するのは、どんな時代でも至難の業だ。
「文藝春秋 2016年 09 月号 [雑誌]」に収録 amazon
複雑な譲渡手続きに首を突っ込むのだけは止したかった。Aという書類を手に入れるためにはBという書類が必要で、Bを手に入れるためにはCとDが必要──ロールプレイングゲームのような煩雑さ
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
大きく広がる入道雲のような夢を描き
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
引き潮のように翳りゆく自らの人生
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
今喋ったことは、わたしがあなたに本当に伝えなければならないことの一番外側にある、頭蓋骨みたいなものです。問題の本質は、大脳の奥の小脳の奥の松果体の奥の髄に隠されているのです
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
熟れすぎたトマトのようにつぶれてしまった筋肉
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
丸かったしみがいつの間にかアメーバのようになって、頭の上に広がっていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
二十八日の周期でそれは定規で測ったみたいに正確にやってきて
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
股の部分についた血をぼんやり見ていれば、それはなんだか日本地図に見えないこともなく
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
地道(人名)が消えると、今度は柄の悪い男たちがやってきた。 まるで補欠のサッカー選手が、交代する選手の背中を叩いて、入れ違いにグラウンドに入ってくるようにだった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
林檎を齧るような自然さで
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
比喩表現のカテゴリ