昆虫・虫の比喩表現の例文 一覧

黒いごま塩のような身体のアリ

蟻塚がうず高く積もり、蟻が吹き出すように溢れている

爆発したような勢いで蝉が鳴き始める

稲の絨毯が燃え上がるように輝き、そのうえをトンボの群れが不規則な軌跡を描いて飛行する

酸っぱいような蚊の唸り声

蝉の声が海のように鳴る

海老のような背をした、きたない蟋蟀（こおろぎ）

蝉が俗界の執念を奏でるように鳴きさかる

アブラムシが、バラの枝をぎっしり目のつんだ刺繍のように覆う

一枚の朽ち葉みたいになった蛾の死骸

小娘の息のようなふわふわした小さな虫

夢現（ゆめうつつ）のようないらいらしい心を責め苛むように耳につく蚊の唸り声

蛾が、檜皮（ひわだ）色の小さい羽毛のような触角を突き出す

蛾が木の葉のようにぱらりと落ちる

蛾の翅（はね）が、薄紙のようにひらひらと揺れる

熱した油で水滴がはじけたような暑苦しい蝉の合唱

麦藁のようなカマキリが、老いさらばえた躰（からだ）を引きずって、のろのとろ歩く

花にたわむれている蝶は粉雪のように軽い

蜘蛛が毬（まり）のようになってぶらさがる

電球が鳴きだしたかと思われるような、すがれた蟋蟀（こおろぎ）の声

ひしめく蠅が、漣（さざなみ）が渡るように揺れて動く

耳の底で潮騒のように鳴り響いている蝉の声

何万という虫の声が地鳴りのように湧き起こる草原や林

地から湧くような虫の鳴き声

糸の縫い目に、白い埃のように虱（しらみ）たちがじっとかくれている

虫が葉の表面を、針の先ほどの隙もなく覆う

ポプラの幹に止まっていた硬い殻を持った虫が、風で強められた雨に飛ばされて、流れる水に逆らって進もうとしている。@略@街灯に照らされたその背中を、最初ガラスの破片と見間違えた。

柱に蛾が止まっている。最初染みかと思ったが、じっと見ていると、かすかに位置をずらした。灰色の羽に薄すらと産毛が生えている。

蜜蜂を迎え入れた夏菊の花が、それ自身、黄いろい豪奢な鎧を着けた蜂のようになって

虫類は嫌いであり、この手懐（てなず）ける術のない、えたいの知れぬ一味は、高圧線のように怖っかなかった

目の前の外の日向を、青く光った虫が、青い糸を引くように筋を附けて飛んでいる。

この虫の、灰色の統絹（ぬめぎぬ）のような毛の一面に生えた、妙に小さな頭

それらの虫どもは、夏の自然の端くれを粉にしたとも言いたいほどのごく微細な、ただ青いだけの虫

茶褐色の虫が、スースーという老人の寝息のような羽音をたてて

眉の形をした、また櫛の歯のような形でもある

竹棹の先で彼（マツケムシ）を刺戟すると、怒って、しまいに枝から跳ねる。釣り上げられた小魚のように@略@跳ね落ちる。

無数のはね虫が火花のように光って飛ぶ。

頭に白い羽毛をつけ、銀粉を全身にぬって片脚をかるく上げて、今、空中に飛び上ろうとする美しい踊子を想わせた。

ロバみたいに大きな蝶

白い蝶のむれは白い花畑のように数を増して来た。

黒い蝶は、その子の胸にとまり、ぴたりと、はねをとじました。悲しいしるしのように－－。

メラメラと紙のように焼けていく（蝶の）羽

弓弦のように引きしぼった大きな（蝶の）羽

二本の触角だけが絹糸のように白かった。

物凄く叫び立てている群集のように騒々しく不安に狂いまわった。

拳でどんと叩くと、木の葉のようにぱらりと落ちて

枯葉のように散ってゆく蛾もあった。

自動車のヘッドライトに明るく照し出された道の方へ、紙片を散らしたように、白い蛾が群れだって寄って来た。

秋風が来ると、その（娥の）翅は薄紙のようにひらひらと揺れた。

ぶ厚い四翅をばさばさと打ちふるたびに、綿の実のような鱗粉が片々と乱れ

風にながされる花びらのように、クラリネットからながれていく音楽にのって、フワーッとながれていった。

飾り玉のようにまん丸に蜜蜂が群れて止まっていた。

けし粒ほどの小蟻

病舎では一疋の蠅は一挺のピストルに等しく恐怖すべき敵であった。

便器は、蓋をとると、蠅が勢いよく、胡麻を撒いたように舞い上った。

眼の大きな一疋の蠅だけは、薄暗い廐の隅の蜘蛛の網にひっかかると、後肢で網を跳ねつつ暫くぶらぶらと揺れていた。と、豆のようにぽたりと落ちた。

腹のふくれたぐみのような蚊

黒胡麻のような水すまし

羽全体が植物の芽生えに髣髴（ほうふつ）していた。

犬のようなカマキリ

枯葉色の小さな楯のような形をしたカメ虫

カメ虫はいずれも死んだともみえぬ姿で、かえってこれが永遠のいのちだといわんばかりに干からびて

黒い羽根がおちょこの傘みたいにそっくり返ってる

頭に虱が霜の降ったほどにたかっていて

杉林の前には、数知れぬ蜻蛉の群が流れていた。たんぽぽの綿毛が飛んでいるようだった。

漆のような真黒な羽のひらひらする、繊（ほそ）く青い、たしか河原蜻蛉（かわらとんぼ）とも言った

中空には生徒の数に劣らない沢山の赤トンボが、まるでなにかの図案のように群れ飛んでいた。

絣（かすり）のように群がり光る赤トンボ共

朱ザヤのような照りのある、小がらの赤トンボ

赤蜻蛉の羽がまるで銀の雨の降るように見えたんです。

透明な大きな翅を背負うた青い小娘の息のようにふわふわした小さな虫

鼈甲（べっこう）のような色沢（つや）の長い足を持った女郎蜘蛛

一筋二筋と糸のように残って聞えた虫の音

虫の音の雨のようにみちた一夜

何かが湧いてくるように虫が鳴く

そとでは虫が織るようにないている

まだ早い蟋蟀が一匹、ひそひそと青白い糸を引くように鳴いている。

季節と季節を繋ぐ糸は断ち切れても、なお一筋二筋、かすかに秋を繋ぎ止めているとでもいうような鳴き声で蟋蟀（こおろぎ）が聞える。

雄の、羽根を擦り合せている音は、まるで小声で女を呼ぶような甘くて物悲しいものであった

あの鳴き声（蝉）は、いやですねえ。何だか人間の声のようじゃないですか。

蝉のトンネルとでも云いたいほど、騒々しく鳴きしきる

池のまわりの木立から蝉の声が遠い海鳴りのように巨大なかたまりになってかれらにおしよせてくる。

裏の丘陵は一ぱい蝉時雨で、丘が動き出しそうだ。

降るような蝉の鳴き声

何かが燃え出しでもしたかのように、蝉がひねもす啼き止まなかった

油を焦がすようだった蝉の音も次第に消えて行く

油蝉が油を煮るように喧しくなき出した。

熬（い）りつけるような油蝉の声

あぶら蝉があつさをかきたてるように鳴いている

裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。

鼻のつまったようなみんみん蝉の声

遠い林の中でニイニイ蝉が痺れるような声で鳴いている。

つくつく法師が、地獄の使者のような不吉な韻律を響かせながら

寄せてはまた打ち返す波のようなその（ヒグラシの）声

どこからともなく蜩（ひぐらし）の声が金鈴の雨を聴くように聞えて来る。

暗い土の上に水のような色でも広がるように、じいいという煙のような声が立ち浸みている。

蜘蛛は巣をかけ始めた。偶然の風に乗って、糸をかけ、その糸を足場に魔法のように機（はた）を織る。

つららのように下っている蜘蛛の巣

蜘蛛は枝のつけ根に紙の袋のような巣を構えていた。

蝶がふらふらと宙をさまよってきて、彼女の青いワークシャツの肩にとまった。@略@蝶は恐れることを知らないように、そこで眠り込んだ。

初めも終わりもない意識の流れを区切る束の間の句読点のように、あちこちに見え隠れしていた。

皆が沈黙している時に誤って鳴いてしまった気まずきは、人間界でいうなら卒業式の時に「卒業生起立つ」のかけ声で、思わずつられて立ちあがってしまった在校生の心境とかなり近いものがあると思われる。

小さな、赤い身体が可愛らしく、星のような黒い印はそれぞれが小宇宙にも思え、さらには、不運に満ちている七尾からすれば、ラッキーセブン、七つの星は憧れの模様と言っても良かった。

爪の先ほどの小さな、スポイトから垂らした水滴にも似た、てんとう虫がいた。赤い滴の上に、筆の先を尖らせ、墨汁で斑点をつけたような繊細なその殻

蚊に喰われ、手や顔や足がツベルクリン反応をしたようになって

満天の星空みたいに、壁にゴキブリがびっしりと

それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。 　そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。

蟬が雨降りみたいに鳴きまくり

彼女の背後にはバッタが一面に舞っていて、木の車が軋むような音が、ひっきりなしにしていた