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喜びの比喩を使った文章の一覧(372件)
まるで外国煙草の高い匂いを吸うているように愉しい
森田たま / 続もめん随筆
耳の端(はた)で万雷の拍手を聴いたように、町子は面眩(おもはゆ)く、面喰った。
獅子文六 / 沙羅乙女
風に流されるちぎれ雲のように軽い気持ち
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
寝足りた朝のように平凡な雑草まで眼をとめて眺めたい
横光 利一 / 厨房日記 amazon
いい男に足の裏を噛みつかれたみたいにいい気持ち
川端 康成 / 掌の小説 amazon
足取りが、緩やかな坂を下るように自然に早くなる
高井 有一 / 夜の蟻 amazon
アドバルーンになるんじゃないかと思うほど、心も体も軽い
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
幸福が、水の油を落としたように一面に広がる
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
テニス大会で優勝したダブルスのペアのように拳をぶつけ合った
七尾 与史 / 死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) amazon
頭の中で沸き返った凄い泡のようなものがようやく静まる
夏目 漱石 / 門 amazon
幻滅と絶望の果てに、最後に縋(すが)り付いたただ一筋の光
中島 敦 / 悟浄歎異 —沙門悟浄の手記— amazon
さんざん棒でなぐられた犬みたいに震えて射精する
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
体の芯がぼんやり光るように甘美にうずく
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
玉を転がすような笑い声
井上 靖 / 風林火山 amazon
生あたたかい波に揺られているような思い
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
背骨のあたりが甘だるく溶けそうになる
向田 邦子 / 隣りの女 amazon
目の前に桃色の瑞雲たなびく気分に到達する
宮尾 登美子 / 楊梅(やまもも)の熟れる頃 amazon
自らの描く遠い夢をうっとりと見やるような表情
村松 友視 / 由比正雪〈上〉 amazon
遠くの音楽に聞き入っているような心持ちでうっとりする
佐藤 春夫 / 佐藤春夫 amazon
笑顔が悪鬼のようにゆがむ
真継 伸彦 / 鮫 amazon
20ワットの白熱灯のような顔で笑う
鷺沢 萠 / 葉桜の日 amazon
ぱっと音を立てて朝開く花の割れ咲くような笑顔
横光 利一 / 微笑 amazon
十年来の友達にしか見せないような屈託のない笑顔
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
皮膚が輝き出すような柔らかい笑顔
大仏 次郎 / 冬の紳士 amazon
トラクターのエンジンがかかったような笑い声
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
歓喜が怒涛のように打ちつける
福永武彦 / 草の花
つかえていた澱が吐き出されるかのように、鬱病から抜け出す
萩原 葉子 / 蕁麻の家 amazon
野イチゴをつみに森へやって来た少女のように微笑みを浮かべる
大原 まり子 / イル&クラムジー物語 amazon
貝がらをすり合わせるような奇妙な声で笑う
五木寛之 / CM稼業 【五木寛之ノベリスク】 amazon
うっとうしい雲が晴れてゆくように表情が明るくなる
戸板 康二 / 家元の女弟子 amazon
太陽と友達にでもなったように晴れ晴れとした顔
徳永 直 / 太陽のない街 (1950年) amazon
夜光の球のように辺りを圧する顔
菊池 寛 / ある恋の話 amazon
驢馬のように満足し切った顔
福永 武彦 / 草の花 amazon
他所の家の火事を見るような加虐的な快楽
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
色彩感のある風が吹きつけたように華やいだ気分
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
凱歌をあげるような笑い声が廊下を遠ざかって行く
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
平家蟹のような人の好い顔つきで笑う
壷井 栄 / 大根の葉 (1960年) amazon
繊細な硝子細工のように、ひどく脆くて危険な微笑
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
体が枯れ木の束のように軽い
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
風に流されるちぎれ雲のように軽い心持ち
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
時ならぬ歓呼の声が、打ち上げ花火のように、春の潮のどよめきのように起こる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
花にむらがる夏の蜂のように、一斉にワアーッと歓声を挙げる
中島 敦 / 悟浄歎異 —沙門悟浄の手記— amazon
暗黒な前途を照らす光明のよう
森 鴎外 / 阿部一族 amazon
行き詰まりだと思っていた眼前に、ほっと灯がともったよう
黒井 千次 / 春の道標 amazon
生活がほっかりと夜明けの光を見る
長塚 節 / 土 amazon
目の前の厚い壁が急に取り払われて、空が明るくなったような気がする
石川 達三 / 独りきりの世界 amazon
ユーモアを讃えるオホホ笑いの霧がたちこめる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
笑い声が銀の弓弦が鳴るように胸を震わせる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
口もとを般若のように裂いてにんまりと笑う
真継 伸彦 / 鮫 amazon
雲間から再び太陽が顔を出したような感じで、晴ればれと温かく屈託のない微笑
森 瑤子 / 風物語 amazon
瞼(まぶた)が見たこともないほど華やかな桜の花でいっぱいになる
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
茨に刺された傷の痕を、親切な手でさすってもらってでもいるような心地よさ
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
花びらの中に包み込まれたように心地よい
泉 鏡花 / 高野聖 amazon
母親の手の動きに身を任せきっている心地よさ
三田 誠広 / 僕って何 amazon
身もこころもほんわかと湯気になって昇っていきそう
飯田 栄彦 / 昔、そこに森があった amazon
一斗の溜飲を吐いたようにいい気持ち
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
ゴムのように伸びた笑みを浮かべる
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
ひ、ひ、と猿のような笑い
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
歓呼の声が春の潮のどよめきのように起こる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
精神にシャワーを浴びているような快さ
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
大きな鳥が翼を羽ばたかせたように、ズボンが空中に舞い上がる
福永 武彦 / 草の花 amazon
そこには彼がこれまで感じたことのない激しい心の震えがあった。長いあいだ暮らしていた家屋に、実は秘密の小部屋が存在していたことを教えられたような気持ちだった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
それは素晴らしい音楽と同じように心を慰撫し、肉を優しくほぐし、時の感覚を麻痺させた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
チェシャ猫みたいな幅の広い微笑
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
力なく微笑んだ。木の葉の間からこぼれる夏の夕暮れの最後の光のような微笑みだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
体の中心をきり揉みされるような快感が下半身に起こる。渦を巻いて頭まで昇り詰める。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
巡る血液と一緒に鋭い快感が全身を駆け、顳顬(こめかみ)に溜まっていく。一度からだに起こりこびりついた快感はどこにも出ていかない。火花に触れて火傷する皮膚と同じに顳顬の裏側の頭蓋に貼りつく薄い肉の層が音をたててただれる。そのただれに気付き快感をそこに集中すると、体中が全て巨大なペニスになったような錯覚に陥いる。女の中に入り込み、全身で暴れて女を歓ばせる小人になったみたいだ。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
柳絮(りゅうじょ、泥柳の花)は@略@ゆらりゆらり、お転婆娘が遊びに行くように、空気の中を舞って
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
便器は、蓋をとると、蠅が勢いよく、胡麻を撒いたように舞い上った。
平林 たい子 / こういう女・施療室にて amazon
普段は開けることのない抽斗(ひきだし)の奥からひっぱり出してきたような微笑みだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
微笑みを浮かべるときのように口の両端を少し横に広げたが、実際には微笑みは浮かばなかった。その暗示のようなものがあっただけだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
公のアルバムに載せるために撮られた写真のように
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
老人はそう言うと、口を開けずにコゲラのような声で笑った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
女教師は満足そうに微笑んだ。小さな瞳の中で何かが陽光を受け、遠くの山肌に見える氷河のようにきらりと光った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
男がちゅっと時子の白い足袋の先を吸った。「ああ」 時子の血液ばかりかすべての液体は、その足袋の上の続いて交差するところに流れるかのようだった。
林 真理子 / エンジェルのペン「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
カイジの頭の中を幾度と無くカードが交差する。その無限の交差の中、編み込まれて行くある思考。そしてその思考によって解きほぐされていく心理という名の結び目。
重く錆び付きとても開そうになかった勝ちへの扉が今きしみつつ動き出した。扉は開かれたのだ、そしてそこから一条の光、その光はさながらカイジらを生き残りへと導く細い綱、天が垂らした救いの糸、光明、勝ちへのタイトロープ
福本 伸行 / 賭博堕天録カイジ 1 amazon
私は爽快で、ひどく晴ればれとしていた。透明な、自分がからっぽになったような澄んだ気分のまま、私は、まるで一箇の荷物のようにバスの振動に揺られていた。
山川 方夫 / 海岸物語「海岸公園 (1961年)」に収録 amazon
闇に包まれた前途に、一点の灯りをみたような気持ちを覚える
萩原 葉子 / 蕁麻の家 amazon
転校した友人から便りがあったかのような喜びを覚える。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
無邪気な、見ているこちらの胸に日が射すような、あどけない笑みを浮かべ
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
顔のなかをお祭りでも通ったみたいに、にやにや笑ってる。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
手足が軽くなったように、ひとりではしゃぎ廻り
川端 康成 / 二十歳 (1948年) amazon
切ない胸の中が、もうからりと晴れるよな心持
宇野 千代 / おはん amazon
大物を射止めた猟師のように、小躍りして帰って来る。
外村 繁 / 澪標 amazon
妃殿下の如く優雅な気分で
高森 和子 / 母の言いぶん amazon
娘の頬に涙のようにおれの精液がとび散って光っている
大江 健三郎 / セヴンティーン「性的人間 (新潮文庫)」に収録 amazon
よろこびが、からだじゅうにしみこむような気がした。
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
女がとろける様な笑いを目もとに湛えて
内田 百けん / 東京日記「東京日記 他六篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
「あはははは」としゃぼん玉のような笑い声を真正面から浴びせた。
十一谷義三郎 / あの道この道
体中がやさしく柔らかに、手足のはしばしまで、溶けてゆくような幸福感が湯のように流れている
大原 富枝 / 婉という女 (1961年) amazon
全身の疲労を洗い落されるような気持
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
おののくような喜ばしさが、甘美に、種村恭助の全身を、電流のように通り抜けた。
伊藤 整 / 氾濫 amazon
一月の元旦の朝のようにあらたまった気分
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
大きな、厄介な仕事をなし遂げたあとのような不満のない心境
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
顔をあげて微笑む。ほほが夕陽に輝き、それは、まるで一刻ずつ姿を変えてゆくまぶしい夕空のようにはかない笑顔だった。
吉本 ばなな / TUGUMI(つぐみ) amazon
甲高く鳥の叫ぶような声が切れ切れに聞こえた。女の笑い声のようだ
日野啓三 / 夢の島 amazon
彼はその喜びを少しでも失わないように、何か壊れ物を抱いている時のような気持ちで歩いていった。
横光 利一 / 悲しみの代価「日本の文学〈第37〉横光利一 (1966年) 悲しみの代価 日輪 上海 他」に収録 amazon
まるで飼犬のようにいそいそと庭に出て離れの方に行こうとする。
有吉 佐和子 / 恍惚の人 amazon
まるで鳩がパタパタと飛び立つようにすがすがしい
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
お玉杓子のような頭と尾を持った精虫の群
藤枝 静男 / 犬の血 amazon
お祭の日の子供のように狂喜しました。
宇野浩二 / 蔵の中 amazon
霰に打たれるような、冷い、眩しい快感が間崎の五感を斜に駆けめぐった。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
咲(え)み割れるような、今の女中の笑い声が揺れて来る。
徳田 秋声 / 新世帯 amazon
空気をひっかくような甲高くかすれた笑い声。
日野 啓三 / 夢の島 amazon
「きききき」と夜行性の動物が鳴くような声で男たちの笑う声が聞こえた。
椎名 麟三 / 美しい女 amazon
ちょうど快癒期にある病人のような淡い快さ
志賀 直哉 / 暗夜行路 amazon
ある種の鳥類のような笑い声
堀田 善衛 / 鬼無鬼島 amazon
固い頬の肉で蒟蒻(こんにゃく)のように笑った。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
すばらしい富籤(とみくじ)を引き当てたかのように、溢れる喜びを押しかくすことが出来なくて
立野 信之 / 軍隊病「軍隊病―兵士と農民に関する短篇集 (昭和4年) (日本プロレタリア作家叢書〈第5篇〉)」に収録 amazon
嬉しくて、宙に浮いているような気持
尾崎 一雄 / まぼろしの記 amazon
人なつかしげな笑いが波紋のようにひろがって
池波 正太郎 / 剣客商売 amazon
一重の皮を剥がれて、そのあとの生々しい肉が空気の中に浮き出されたような清爽な感じ
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
よろこびが次第に水を浴びるような感じで全身の隅々に伝わったのだ。
井上 友一郎 / ハイネの月「日本の文学 64 井上友一郎」に収録 amazon
潮の鳴るような歓呼のさけび
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
旱魃(かんばつ)に滋雨を得た百姓のような喜び
広津和郎 / 神経病時代 amazon
体内には光のように峻厳(しゅんげん)な充実感がみなぎっていった。
檀一雄 / 花筐「花筐・光る道 他四編」に収録 amazon
あの人懐こく温かな笑顔に接している間、たしかに彼女は太陽の明るい陽ざしの下にいるような快さを感じた。
藤沢桓夫 / 君に告げん
昼とをとりちがえたような浮かれぶり
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
ロケットの発射とか花火とか、そんなものに似て、射精はお祭りのようなものだ。
村上 龍 / 受話器「トパーズ (角川文庫)」に収録 amazon
二人の胸の中に、次第にお父さんの帰ってくる喜びが、水のようにわいて来た。
坪田 譲治 / 風の中の子供 amazon
ホトトギスの声をもっと陽気にしたような声で笑って
木山 捷平 / 長春五馬路 amazon
試合に勝った野球選手のような、とてつもない明るい笑顔
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
全身がわき立つような快感をおぼえた。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
歯を剥き出して狂犬病の犬の如く笑う
島田 雅彦 / 聖アカヒト伝「ドンナ・アンナ (新潮文庫)」に収録 amazon
陽炎のような希望の色が燃えた。
福永 武彦 / 草の花 amazon
真っ黒の顔の中の赤い唇がにこにこ動いて、泥田の中にぱっと蓮(はちす)がはころびたような印象を与えた。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
この男の射精には何の興奮もなかった。自動販売機のようだと思った。
村上 龍 / 受話器「トパーズ (角川文庫)」に収録 amazon
五月の朝そのもののような
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
風を受けた花が揺いで匂うように、左衛子は急に笑顔をひらいた。
大仏 次郎 / 帰郷 amazon
何者か快いものに吸い込まれて行くような恍惚とした気持ち
長与善郎 / 陸奥直次郎 amazon
フフフフと、木を磨り合せるような短い笑い声を洩らした。
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
気をゆるめればすぐにも外にはじけて出そうな喜び
藤沢 周平 / 麦屋町昼下がり amazon
吹き零(こぼ)れるような悦びを、抑えることができない。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
初めて見る大歌舞伎に、官能をくすぐられて、まるでいいお酒に酔ったように恍惚とした。
小島政二郎 / 大月雪
はじめて鎖を解かれた、犬のようなはしゃぎよう
安部 公房 / 他人の顔 amazon
ぱっと音立てて朝開く花の割れ咲くような笑顔だった。
横光 利一 / 微笑 amazon
天井を打ち貫(ぬ)くような鋭い笑声をあげた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
「支倉常長という男を知っていますか?」 「おお、ハセクラツネナガ」日比野が嬉しそうな声を上げた。地元のプロ野球選手を誇るような笑顔だ。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
笑うと目尻がゆるんで、日なたのこもれびみたいに周りが暖かく明るくなる
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
本当にイチが大好きだと痛烈に感じた日、いつもの学校の帰り道がちがって見えた。五感の膜が一枚はがれたように、いつも見ている電線ごしの青空が急にみずみずしく見え、家の近くのケーキ屋さんから流れてくるバターの溶けた甘いスポンジ生地の香りが鼻をくすぐった。一日分の教科書が入ったかばんはいつもより軽く、道路を駆けぬけてゆく車のスピードさえ心地良い。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
内臓が浮き上がるような快感
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
めったに見せない極上の笑顔だ。美咲のこの笑顔に接するたびに、あたしは花を見る。ほころびかけた小さな花の蕾だ。美しくて、清々しい。胸の奥が熱くなる。こんなふうに、花のように微笑むことのできる人を、あたしは美咲より他には、まだ知らない。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
あたしは美咲の笑顔に花を見る。花びらがはっきり分かれているものじゃなく、朝顔みたいに一枚に繫がっていて、ロート状になっている花。ふるっと揺れて、ねじった布が解けていくように、ゆっくり開花していく花だ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
くすくす笑いじゃなくて、胸の辺りから笑いの漣がこみ上げてくる感覚
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
唐突に噴き出した。硬い口の線や顎の輪郭が崩れて、くっくっと小刻みに揺れる。美咲の笑顔は美しい。普段のむっつりとした表情の崩れるさまが美しいのだ。 硬い殻を割ったら中から思いがけなく美しい珠が出てきた。そんな感じ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
まるでエンジンの故障した飛行機が重量を減らすために荷物を放り出し、座席を放り出し、そして最後にはあわれなスチュワードを放り出すように、15年の間僕はありとあらゆるものを放り出し、そのかわりに殆んど何も身につけなかった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
スコアは気球が最後の砂袋を投げ捨てるようにして六桁を越えた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
彼女は素晴しかった。3フリッパーの「スペースシップ」……、僕だけが彼女を理解し、彼女だけが僕を理解した。僕がプレイ・ボタンを押すたびに彼女は小気味の良い音を立ててボードに六個のゼロをはじき出し、それから僕に微笑みかけた。@略@ボールが彼女のフィールドを駆けめぐるあいだ、僕の心はちょうど良質のハッシシを吸う時のようにどこまでも解き放たれた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
性欲を解き放ったあとの男の人は、すさんでいる、とまではいかないけれど、ぶっきらぼうな、少年のころの瞳に戻る。男の人たち自身は〝賢者モード〟なんて呼んでおちゃらけているけど、じっさいはどんなときよりも、一匹で山を歩くおおかみみたいな顔つきをしている。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
詩の一行を読むような澄んだ意識の中
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
行き詰まりだと思っていた眼前に、ほっと灯りがともったよう
黒井千次 / 春の道標 amazon
恐怖もなく、自分の肉体までが水晶のように透き通っているような感じ
椎名麟三 / 永遠なる序章 amazon
子供のような笑顔も見せた。生きていると面白いことがある、という風に
永井龍男 / 永井龍男全集〈1〉(「あいびき」から) amazon
酒でも飲んだような愉快な気持ち
宇野浩二 / 蔵の中
その笑顔をたとえるなら、冬の湖の空にちらりと太陽が光を落としたように思える
木山捷平 / 河骨 amazon
大黒天のように、幸福な顔つきをした老人
岩田豊雄 / 岩田豊雄創作翻訳戯曲集(東は東) amazon
テレたような、だまってオナラした人がするような笑いをうかべた
安岡章太郎 / ガラスの靴 amazon
遠くでお祭りがはじまっているような、にこやかな顔
椎名麟三 / 自由の彼方で amazon
何もかもがすきとおってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日
村上春樹 / 1973年のピンボール amazon
人の心持ちを何でも下等に浅薄に解釈して一人見抜いたような得意の薄笑いを浮べ
長与善郎 / 青銅の基督 amazon
窓のブラインドを上げるように表情が明るくなる
宮部みゆき / 気分は自殺志願「我らが隣人の犯罪」に収録 amazon
胸に凱歌のような明るい光が満ちる
椎名 麟三 / 永遠なる序章 amazon
胸に喜びが兆し、次第に強固な根を張る
三島由紀夫 / 金閣寺 amazon
その他の感情を表す比喩表現
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