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嫌いの比喩を使った文章の一覧(341件)
全身に火の棒をつめこまれたような思いを味わい
三浦哲郎 / 団欒 amazon
雨にうたれた猿のように疲れている
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
憑きものが落ちたようにあっさり諦める
丸谷 才一 / 年の残り amazon
倦怠の色が全身を薄雲のようにつつむ
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
凍てつく冷笑のつららが突き刺さる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
足が半生の石膏のように重く、持ち上げることが出来ない
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
百メートルくらい向うの崩れかけた廃墟を眺めるときのような目つき
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
ぐちゃぐちゃに溶けたキャラメルを口移しされたような不快な気持ち
山本 有三 / 波 amazon
あやつり人形が人形師の手を離れたように、身体中の力が抜けて行く
山田 太一 / 飛ぶ夢をしばらく見ない amazon
まわりがしんとなってしまうような荒々しい言い方
内海 隆一郎 / 人びとの情景 amazon
空き缶の中で石を転がすような空虚な含み笑い
山本 周五郎 / やぶからし amazon
エレベーターで四十階から急降下したときのような嫌な気分
宮部 みゆき / とり残されて amazon
泥田にはまりこんだときのように、体だけが前にのめるばかりで足は少しも動かない
山本 有三 / 波 amazon
口振りに棘が埋まっている
黒井 千次 / 群棲 amazon
心労と塵労が全身にかさぶたのようにかぶさる
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
憎むべき下劣な奴を、自動車もろ共、崖の下に叩きおとして、蛆(うじ)虫のように押しつぶしてやれねばならぬ
南条 範夫 / いつかあなたが amazon
重荷を背負わされた老婆のように顔を皺寄せる
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
手足がだるく、立ち停まればすぐにも鉛になってしまいそうな重さ
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
重荷を背負わされた老婆のように顔を皺寄せる
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
疲れが、じくじく水を吸うよう海綿のように僕の内部でふくらむ
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
トウガラシを食べたサルのような顔
灰谷 健次郎 / ひとりぼっちの動物園 amazon
目の前にこまかい虫でもうるさくちらちらしているように顔をしかめる
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
無理に隅っこから引っ張り出される猫のように迷惑そうな顔
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
朝から真夜中まで、からだがコンニャクのようになるほど駆けずり回る
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
自分自身の身体の重みが枷のように歩みに抗う
三田 誠広 / 僕って何 amazon
細い穴を通る風のようにやや甲高く嗄れた息
村松 友視 / 由比正雪 amazon
平家蟹のような難しそうな顔をする
北村 薫 / 水に眠る amazon
髭づらが苦痛にゆがみ、目は血走って、凶暴な風貌が、なおいっそう鬼の面のように見える
杉本 苑子 / 今昔物語ふぁんたじあ amazon
ぬれた綿のように重くぐったりした躰
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
身体が濡れ雑巾のようにクタクタ
高橋 三千綱 / 涙 amazon
硬直した木ぎれのようなからだを、木ぎれを投げるようにしてフトンの上に放りだす
小島 信夫 / アメリカン・スクール amazon
乾からびた茸のような疲労を覚える
北 杜夫 / マンボウ響躁曲―地中海・南太平洋の旅 amazon
言葉の一つ一つに水晶の珠を截(き)るようなきびしさがある
永井 路子 / 朱なる十字架 amazon
朝の礼拝堂に糞尿の気が流れてきたよりも、もっと興ざめなこと
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
草のような息をひとつ吐く
中上 健次 / 枯木灘 amazon
ぶよぶよの水母(くらげ)のような無力感
福永 武彦 / 草の花 amazon
牢獄を出たばかりのようなみすぼらしい疲れ
川端 康成 / 掌の小説 amazon
雪を食った高下駄を穿いて歩くような不自由さ
川端 康成 / 掌の小説 amazon
洪水のように疲れが躰(からだ)の中へ流れこむ
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
声が自信と憎悪で西瓜(すいか)の切り口のように赤く濡れる
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
硝煙と血潮の中で兵隊を叱咤する鬼将軍のような声
椎名 麟三 / 深夜の酒宴・美しい女 amazon
氷が裂けるように、表情にゆっくりと亀裂が走る
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
忘れていた畏(おそ)るべき古代の魔人の名でも口にするように、苦りきって答える
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
言葉で謝罪の綾をつづる
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
独楽のようにいつも全速力で廻っていなければ倒れてしまう
中島 敦 / 牛人 amazon
不平の言葉が、抜き差しならない反逆の魂として転がる
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
苦虫を噛みつぶしたような、サギのような顔つき
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
殺意が朝の海風のように胸を吹き抜ける
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
殺意を財布のように胸のポケットに隠す
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
錆びついたロボットの足のように一歩一歩が固くなる
尾辻 克彦 / 父が消えた amazon
眉間に刀傷ほどもある皺を寄せる
島田 雅彦 / 未確認尾行物体 amazon
「迷惑」という字が刻み込まれているような皺を鼻の頭に寄せる
佐藤 愛子 / 窓は茜色 amazon
言葉の調子が、槍の穂先のような鋭さで胸許を深く突き刺して来る
井上 靖 / 風林火山 amazon
魂が抜けたみたいになって、喜びや悲しみの感情の動きに生気がなくなる
浅川 純 / 社内犯罪講座 amazon
袋に開いた小さな穴から水がこぼれるように、身体から力が抜け出ていった
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
その上に字が書けそうなくらいぽっかりとした白い息
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
まっすぐ延ばせば月にだって届きそうなくらい長く深い溜め息
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
彼女の笑顔が少しだけ乱れた。上品な静かな泉にビール瓶のふたを放り込んだみたいに静かな波紋が彼女の顔に広がり、そして収まった。収まった時、笑顔は以前のそれよりも幾分後退していた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
大きな地震で窓枠が歪むような(顔の)歪み方
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
胃の中にはたいしたものは入っていなかった。吐くべきものもろくになかった。どろりとした(先ほど食べた)チョコレートの茶色い液を吐いてしまうと、あとは胃液か空気くらいしか出てこなかった。いちばん苦しい吐き方だ。体が痙攣するだけで、何も出てこない。体がしぼりあげられているような気がする。胃がこぶしくらいの大きさに縮んでしまうように感じられる。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
ひどく疲れた顔をしていた。息が乱れ、肩が不規則に上下していた。まるで溺れかけたところを助けあげられたばかりの人のように見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
頭に溜まった吐気がまたスーッと降りていく時に、射精そっくりの快感があるのに気付いた
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
ジャマイカの土人達が好む皿と油で煮つめたスープのようなものが喉の奥に詰まっていて、それを吐き出したいと思う
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
私からその欲望を引き抜いてしまったら、あとにはくらげのようなものしか残るまい。
尾崎 一雄 / 暢気眼鏡 amazon
何かがあって顔をしかめると、青豆(人名)のそんなクールな顔立ちは、劇的なまでに一変した。顔の筋肉が思い思いの方向に力強くひきつり、造作の左右のいびつさが極端なまでに強調され、あちこちに深いしわが寄り、目が素早く奥にひっこみ、鼻と口が暴力的に歪み、顎がよじれ、唇がまくれあがって白い大きな歯がむき出しになった。そしてまるでとめていた紐が切れて仮面がはがれ落ちたみたいに、彼女はあっという間にまったくの別人になった。それを目にした相手は、そのすさまじい変容ぶりに肝を潰した。それは大いなる無名性から息を呑む深淵への、驚くべき跳躍だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
身体から、時間をかけて徐々に力が抜けていった。バスケットボールから空気が抜けるときのように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
話すに連れて、老婦人の顔が特殊な赤銅色の輝きを帯びていくのを青豆は目にした。それに連れていつもの温厚で上品な印象は薄れ、どこかに消えていった。そこには単なる怒りや嫌悪感を超えた何かがうかがえた。それはおそらく精神のいちばん深いところにある、硬く小さく、そして名前を持たない核のようなものだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
彼女が深く息を吐くと、それは狭い海峡を越えて吹き渡ってくる熱風のように天吾の乳首にあたった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
エネルギーの備蓄をすべて使い果たしたように、老婦人は椅子の中に深く身を沈めた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
苦い薬を目の前に出された小さな子供のような顔をした。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女は大きく顔をしかめた。顔中の筋肉が極限近くまで引き伸ばされた。そして彼女の顔は別の人間の顔のようになった。これ以上はしかめられないというところまで顔をしかめ、それをいろんな角度にねじ曲げてから、青豆はようやく顔を元に戻した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
顔中の筋肉が思い思いの方向に伸び、そこにある造作は見事なまでにほどけてばらばらになってしまう。世界中のあらゆる感情がそこに奔出する。美しいも醜いもない。それはある角度からは夜叉のように見え、ある角度からは道化のように見える。ある角度からはただの混沌にしか見えない。顔をしかめるのをやめると、水面の波紋が収まっていくように筋肉は徐々に緩み、もとの造作に戻る。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
目と目のあいだに二本の深い縦皺を寄せている。そんなに簡単に額面通りものごとを真に受けないぞという顔をしている。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
私は自分が苦痛に似た、灼熱した鉄棒のように固い一本の憎悪に化していくことがわかった
山川 方夫 / 海岸公園 amazon
嘔吐感が、港一の荒くれ者の船に乗った時の五倍
又吉 直樹 / 火花 amazon
今年の冬はとても寒いよね、とどうにもならぬ気候の観察記録を述べるのにも似ていた。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
知らぬうちに零した溜め息が足元に積もっているように感じ、足が抜けなくなるのではと不安を覚える。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
西嶋の発言は、女性陣の士気を、ずいぶんと下げた。合コンの雰囲気を海だとするならば、鳥井や長谷川さんが苦労して、波を起こし、砂浜近くにまで海面を引き寄せていたのに、西嶋の、「歴史を変えようがとにかく抗生物質をばんばん使えばいいじゃんか」論が、一息に台無しにした。水の枯れた地面を指し、「ここは昔、海だったのです」と懐古するように、僕たちの座卓に対して、「こう見えても、この合コンも昔は盛り上がっていたのです」と懐かしむこともできるくらいだ。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
胸にどんと重石を抱えたような、居心地の悪さを覚える。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
声は、自信と憎悪で、西瓜(すいか)の切り口のように赤く濡れていた。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
深夜の便器のような長嘆息
開高 健 / 飽満の種子「珠玉・花終る闇 (開高健全集)」に収録 amazon
表情は石膏像のように冷やかだった。
横山 美智子 / 朝「静かなる奔流 (1947年)」に収録 amazon
嫉妬そのものが、権利だけ主張して義務は認めようとしない、愛玩用の猫ていどの代物
安部 公房 / 他人の顔 amazon
泣きも笑いもしていない。憎悪だけが静かにアルコオルのように完全燃焼する。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
訪問先きで主人の居ない部屋に知らぬ人達と長い間坐っているのは、お医者さんの待合室で顔見知りの知らない人と向きあっているのと同じようで、へんに気づまりな、足の裏がむずかゆいような心地である。
森田 たま / もめん随筆 amazon
棒杭のように身体を投げ出し
火野 葦平 / 麦と兵隊 amazon
妬みと惜しみと悔恨(くやみ)との念が一緒になって旋風のように頭脳の中を回転した。
田山 花袋 / 蒲団 amazon
長い長い不愉快な旅の後、漸く自家に帰って来た旅人の疲れにも似た疲れだった。
志賀 直哉 / 和解 amazon
油紙に水を注ぐように、跳ねつけて
二葉亭 四迷 / 浮雲 amazon
一刻の休息もなく癌のように増殖しつづける嫉妬の自家中毒
安部 公房 / 他人の顔 amazon
気の短い父が癇癪をおこして噛みつくようにいう。
中 勘助 / 銀の匙 amazon
心はさあっと、水をかけたように冷たく冴えかえって来ました。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
疲れが濡れて重い外套(がいとう)のように躰を包む
大江 健三郎 / 死者の奢り amazon
塩菜のようにぐったりしていた。
野間 宏 / 真空地帯 amazon
殺気と闘志に包まれて、触るれば火を発しそう。
富田 常雄 / 姿三四郎 上巻 amazon
ゲジゲジのように嫌われて
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
心には羨望の漣漪(さざなみ)が立った。
夏目 漱石 / 明暗 amazon
張り詰めていた彼の昂奮も急に吸われるように醒めて来た。
横光 利一 / 悲しみの代価「日本の文学〈第37〉横光利一 (1966年) 悲しみの代価 日輪 上海 他」に収録 amazon
今までの積み重なッた不平不愉快が一時に爆発し、洪河の決潰する勢いをもって暗雲に純之助に喰ってかかった。
内田 魯庵 / くれの廿八日「くれの廿八日 他一篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
嫉妬はまるで女の皮膚のようなもので、あらゆる女は子供の時からそれをみがきたてながら成長するのである。
森田 たま / もめん随筆〈続〉 amazon
不快感がまだ澱のように沈んでいた。
藤沢 周平 / 榎屋敷宵の春月「麦屋町昼下がり (文春文庫)」に収録 amazon
今しがたまで身を沈めていたあの満足の余奮から、突然、つき飛ばされたように醒めていく
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
もうとぐろをまいてしまってからだの一部に化成してしまっている
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
固まっていた物が融けて行くように、立ち据わる力がなくなって
岩野 泡鳴 / 耽溺 amazon
熱情は、その瞬間に灰をかぶったように暗澹となり
佐多 稲子 / くれない amazon
考える力を喪失した、いわば動物園の檻のけもののようであった。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
泥のように疲れて眠っている。
林 芙美子 / 松葉牡丹「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
酢をのんだような顔で
司馬 遼太郎 / 国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 amazon
青年の顔は悪い硝子を透してみるように歪んだ。
堀 辰雄 / ルウベンスの偽画 amazon
幻滅が、再び季節風のように心に吹いて来た
林 芙美子 / 風琴と魚の町/清貧の書 amazon
眉間に蜘蛛の巣状の皺を寄せ
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
この小説は村八分のふしだら娘のように、ほとんどあらゆる批評家から嫌悪されていた。
大江健三郎 / 〈われらの時代〉とぼく自身
マクロのようにのびてしまう。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
いい気持の溜息を、鯨のように吹き上げて
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
くたくたに疲れて、空気を抜かれたような軀を、ぶらぶらと無意識に駅へ運んでいる。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
角のトゲでもつかえたような顔
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
養殖真珠が天然の真珠に感じるような耐えがたい嫉妬
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
唇を鳥の肛門のようにとがらせ
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
死んだようにぐったり
林 芙美子 / 浮雲 amazon
渋を飲んだような顔をして
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
流しすぎた涙のために、力を失って、死んだ鶏のようになっていた。
三島 由紀夫 / 美徳のよろめき amazon
恋愛の雰囲気のなかに、なにが不調和だといって、およそ金銭の話に超すものはあるまい。それは朝の礼拝堂に糞尿の気が流れて来たよりも、もっと興ざめなことに違いない。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
塩を噛んだような苦い顔
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
翻弄されているような気がした。鼻先を爪ではじかれたような思いだった。
槇村 浩 / 愛の歌「間島パルチザンの歌―槇村浩詩集 (1964年)」に収録 amazon
体の芯がなにか媾後のようにぐったり疲れて
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
力以上にはりきって居た凧の糸がフッツリ断れたように生存の意志を喪失した老将軍
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
褌(ふんどし)のようにバカ長い嘆息を洩らさざるを得なかった。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
ひどい疲労から小石のように眠りに落ちた。
堀 辰雄 / 恢復期 amazon
何か懸案の大仕事をなし遂げた時のような快い疲労
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
古草履のように疲れ果てた我等
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
自分の体が、キルク(=コルク)が水に浮いているようで
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
希望と闘志が影のようにうすれて行った。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
疲労から、やどかりのようにとじこもって殼のなかでぐったりしてヘンリー・ミラアを読んでいた。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
ピケ隊員の殺気が爆風のように彼女を包んだ。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
彼女自身の地底の嫉妬が噴火したかのよう
川端 康成 / 千羽鶴 amazon
吐き出したいような自己嫌悪
宇野 千代 / 色ざんげ amazon
にがりを飲んだような顔で
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
波がひくように手足から力が抜けて行く。
島尾 敏雄 / 死の棘 amazon
肌にトゲを刺されたようなたまらない嫉妬
林 芙美子 / 骨「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
焙豆(いりまめ)の豆が顔にぴんと痛く弾きかかったように癪(しゃく)にさわって小憎らしくなった。
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
少しずつちぎって捨てるような苦しい溜息をついた。
林 芙美子 / 下町「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
希望の後には宛(さなが)ら二番芽が吹くように諦めが吹くのである。
和田伝 / 沃土「和田伝全集 第2巻」に収録 amazon
ここまで書いてきて、婆やは、九段坂を車を曳いて上った人のように、草臥れた。
獅子 文六 / 胡椒息子 (1953年) amazon
熱狂はみるみる潮のように引いて
福永 武彦 / 草の花 amazon
口の粘くなるような不快さを感じながら、厭なものを見たと思った。
火野葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊 麦と兵隊」に収録 amazon
煮られたあとのようにくたくたな気持で
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集 (第3巻)」に収録 amazon
体は重たい泥のように弾力なく崩折(くずお)れてゆくのだった。
阿部 知二 / 冬の宿 (1948年) amazon
「この島に足りないものは何だ」と言ってきたのだ。錆びたナイフで、無理やり突いてくる印象がある。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
干された雑巾のようにくたびれる
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
彼女は敵意をき出しにしていた。@略@その身体に、見えない針が一斉に逆立つのが分かった。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
内心で暗い炎を燃やす
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
セクハラ上司に耐える新米女性社員みたいに、可憐で憂鬱そうなため息だった。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
どうでもよくなって、彼の顔が三割増しに粗く見える。ニのよく動く口が伸びちぢみする輪ゴム程度にしか見えない。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
愕然とした泰山の表情が、みるみる雑巾を引き絞るように歪み始めた。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
ハエでも追い払うように顔の前で手をひらひらさせる。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
苦い薬を飲み干した時のような顔
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
川島を見捨てていた。這い上がる意思のない人間に何本ロープを垂らしてやろうが無駄なのだ。意思ある人間はロープなどなくても必ず這い上がってくる。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
顔が露骨にゆがんだ。ものすごく嫌いな食べ物を無理やり口に押しこまれたような顔だ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
一時期は彼の中に激しく息づいていた幾つかの感情も急激に色あせ、意味のない古い夢のようなものへとその形を変えていった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ある日、何かが僕たちの心を捉える。@略@二日か三日ばかり、その何かは僕たちの心を彷徨い、そしてもとの場所に戻っていく。……暗闇。僕たちの心には幾つもの井戸が掘られている。そしてその井戸の上を鳥がよぎる。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
まるで蠟燭を吹き消した後に立ちのぼる一筋の白い煙のように、彼の心の中の何かが闇をしばらくの間漂いそして消えた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
天地を創造した神さまにも匹敵するくらいのエネルギーを使いました。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
重病人のようにベッドでぐったりして
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
求めてるのはわたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めてるの。ニ・ン・シ・ンなのよ。だからどうにもできないの」 @略@『妊娠』という言葉を、グロテスクな毛虫の名前を口にするように、気味悪そうに発音した。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
考えれば考えるだけの億劫と、重くのしかかるものが大阪、母子、を思うと、その字づらからその音からその方角から心象から、いつもわたしの背後に向かって一切の音のない、のっぺりとした均一の夜のようにやって来ては拭いきれぬしんどさが、肺や目をじっとりと濡らしてゆく思い。
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
顔が歪むのが分かった。心地よい言葉ではなかった。腐った林檎に齧りついたような感触がする。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
暗い冬の夕方あたりの空気よりももっと冷たくなって光を底に凍らせてしまった陶器の感覚
阿部知二 / 冬の宿 amazon
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