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服装・身なりの比喩を使った文章の一覧(149件)
差し込んでくる光を受け、ネクタイの木目の模様が水に浮く油のように変化してゆく
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
水晶の念珠が真ん中から二つに切れ、珠が霰(あられ)のように戛然(かつぜん)と四方へ飛び散る
芥川 龍之介 / 邪宗門 (1977年) amazon
生き物のようにあやしくおどり上がる裾さばきが乱れ
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
いもりがはらわたをだしたような洋服
坂口 安吾 / 中庸 amazon
前の割れた光った薄いローブをうろこのようにきらめかせる
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
雲母を薄く引き延ばしたような、光った白い衣装
原田 康子 / 挽歌 amazon
罪人のようにオーバーの襟に顔を埋める
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
蝶々の翅(はね)のような大きな襟
太宰 治 / 津軽 amazon
アストラカンの毛皮帽の渦巻き毛に氷の玉ができて、宝石をちりばめた王冠のよう
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
京都の舞子の帯のようにだらりと結んだ、赤い反幅帯
川端 康成 / 掌の小説 amazon
しゅうしゅうと泣くように鳴る博多帯をきゅっと結ぶ
宮尾 登美子 / 楊梅(やまもも)の熟れる頃 amazon
帯の下の背縫いが、絹糸に錘(おもり)をつけて垂らしたようにぴんと一本の直線になっている
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
旅行用のトランクが貝のようにパックリと口をあけている
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
ドレスの裾がこうもり傘のように広がる
山田 詠美 / ハーレムワールド amazon
お釜を逆さに伏せたような山高帽子
胡桃沢 耕史 / ごきぶり商事痛快譚 (1) amazon
剃刀の刃のようにプレスしたズボン
三浦 朱門 / 犠牲 amazon
着物や帯を、自分の皮を一枚剥ぐような仕草で脱ぎ捨てる
梅本 育子 / 桃色月夜 amazon
にぶく光って美しさが遠くからやってくるような奥ゆかしい感じの首飾り
灰谷 健次郎 / 海になみだはいらない amazon
着物を何枚も重ねて着て、熊みたいにもこもこ膨れる
高井 有一 / 夜の蟻 amazon
クラゲのようにただよいついた半透明のビニール袋
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
三色アイスクリイムみたいな派手なスポオツシャツ
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
白い絹の部屋着が太股の上で渦を巻いて、菓子の上に飾られる薔薇の花のクリームを思わせる
山田 詠美 / ハーレムワールド amazon
死んだ蝙蝠(こうもり)の翼のように黒いショオルを長々と垂れる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
長い臑(すね)を包んだズボンが蝙蝠(こうもり)のように踊る
福永 武彦 / 草の花 amazon
真っ黒い喪服のスカートが、階段の暗がりで夜の波のように光る
石川 達三 / 花のない季節 amazon
着物の上前の裾が、蝶々のようにハタハタと跳ね上がる
谷崎 潤一郎 / 痴人の愛 amazon
今までしめていたネクタイは、テーブルの上に置いてみると、思っていた以上にくたびれて見えた。気がつかないまま続けていた不適切な習慣のようにも見える。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
これから吹雪の中に出ていく人のように、帽子をしっかりとかぶり直し
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
水着は小さなハンカチをいくつか結びあわせたみたいなワイルドな代物だった。強い風が吹いたら飛ばされてしまいそうに見える。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
抑圧された夢みたいに妙にリアルな非現実性を漂わせながら、僕の視界を右から左へとゆっくり横断して消えていった
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
僕は彼女のブラウスの襟もとのレースを眺めていた。それは上品な動物の清潔な内臓のひだのように見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
私にはこのダイヤが偽物とは信じられない。おどろくばかり美しい輝き。母の心が放射されて来るようだ。
石川 達三 / 神坂四郎の犯罪 amazon
垢染んだ着物の胸に、まっ紅な薔薇の花を徽章(きしょう)のようにくっつけて
上林 暁 / 薔薇盗人「昭和文学全集〈14〉」に収録 amazon
ダチョウのようにヒラヒラとお洋服をなびかせて
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
褌(ふんどし)ひとつの二人の姿は、老いさらばえた二匹の鬼が酒盛りをしているようにみえた。
田宮 虎彦 / 足摺岬 amazon
風祭警部は彼特有のセンスを存分に発揮した白いスーツ姿。警察官だからいいようなものの、もしもヤクザ社会なら、これは若頭のファッションだ。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで amazon
首に巻いた長すぎるマフラーの端を自分の足で踏みつけてしまい、「ぐえ」と窒息寸前のカエルのような呻き声。
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで 2 amazon
清潔で身だしなみは良いが、おそらく服装なんぞに興味がないことを世界に示すためだろう、常に似たような服しか着ない。ツイードのジャケットに、白のオックスフォード綿のシャツか淡いグレーのポロシャツ、ネクタイはなし、グレーのズボン、スエードの靴、それがユニフォームのようなものだ。色と生地と柄の大きさがそれぞれわずかに異なるツイードの三つボタンジャケットが半ダースばかり、丁寧にブラシをかけられ、自宅のクローゼットに吊されている光景が目に浮かぶ。見分けをつけるために番号だって振られているかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
タイトなミニスカートだったが、それでも時折下から吹き込む強い風にあおられてヨットの帆のようにふくらみ、身体が持ち上げられて不安定になった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
そのようなそぐなわさによって、彼女は自分なりの世界観を表現している
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
サラダボウルをふたつ並べたみたいな(大きな)ブラ
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
まるでできたてのほかほかみたいに見えた
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
教室の黒板のように広い
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
彼の着たグレーのスーツには無数の細かいしわがよっていた。それは氷河に浸食された大地の光景を思わせた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ネクタイの結び目は、まるでそこに存在しなくてはならないことの不快さに身をよじったみたいに歪んでいた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ネクタイの柄は、腕の悪い画学生が、素麺(そうめん)がのびてもつれたところを心象的に描写したものかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
ただ単に着こなしがひどいだけではない。そこには服飾という概念そのものを意図的に冒瀆(ぼうとく)しているような印象さえうかがえた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
洒落たカットの亜麻のジャケットは、風のない昼下がりに天国から降ってきた美しい織物のように見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
鎧をまとうように、隙のないビジネス・スーツに身を包んだ男
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女たちの身につけた小ぶりではあるけれど高価なアクセサリーは、血を求める吸血鳥よろしく、反射のための微かな光を希求している。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
いつ作られたのかは見当もつかないが、いずれにせよそれが作られたときから既に流行遅れだったのではないかとおぼしきウールのスーツには、防虫剤の匂いが微かに漂っていた。色はピンクだが、どこかで間違った色を混ぜ込まれたような、不思議なピンクだった。おそらくは品の良い落ち着いた色調が求められていたのだろうが、意図が果たせぬまま、そのピンクは気後れと韜晦(とうかい)とあきらめの中に重く沈み込んでいた。おかげで、襟元からのぞいている真新しい白いブラウスは、まるで通夜に紛れ込んだ不謹慎な客のように見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
微妙にサイズがあっていない。まるで限られた在庫品の中から、急いで間に合わせに選ばれたみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
身体には必要以上にきついブラとガードルが食い込み、その他の場所には押し出された贅肉がこれまた必要以上に盛り上がって、ほとんどタコ糸で縛られたボンレスハム状態@略@アレに似てたわよ。ミシュランのタイヤ男。
中村 うさぎ / 浪費バカ一代―ショッピングの女王〈2〉 amazon
西部劇から引っ張り出してきたかのようなテンガロンハット
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
シナ襟の黒いコートを着けていたから、こうもりのように見え
島尾 敏雄 / 死の棘 amazon
箍(たが)のようにきっちり締めつけたエナメルの黒いバンド
野上 彌生子 / 哀しき少年 amazon
ふとんが死んだ蛇のように、よじれたかたちでのべられてあった。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
紅い鼻緒の立った籐表の女下駄が、日ぐれどきの玄関のうす明りに、ほんのりと口紅のように浮んでいる
室生 犀星 / 性に眼覚める頃 amazon
頭から耳まですっぽりとかくれてしまう兜のようなシャッポをかぶって
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
人形のような花嫁ぶり
阿川 弘之 / 夜の波音 amazon
礼服とは、野獣を縛る縄、危険動物をおとなしくさせるための手かせ、足かせであるように見えてくる。
武田 泰淳 / 士魂商才 amazon
制服の垣(人名)は、有刺鉄線のように、ひきしめられ、とげとげしくなった。
武田泰淳 / 風媒花 amazon
兵児帯(へこおび)の結び目のよう
夏目 漱石 / 三四郎 amazon
白い画用紙を切り抜いたような麻のスーツ
永井竜男 / 永井龍男全集 5 長篇小説 1 amazon
涼しげな夏着にきかえた姉の美和子が、庭の芝生を横ぎって、白い帆のように駈けて来た。
野上 彌生子 / 哀しき少年 amazon
蜂の腹のようなだんだらの襯衣(しゃつ)
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
皮の大黒頭巾のような大きなハンドバッグ
獅子 文六 / てんやわんや amazon
向日葵のような大仰な帽子
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
太い棍棒のようなステッキをついて
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
竹骨に張った凧紙のようにしゃんと上衣を肩に張りつけ
岡本 かの子 / 鶴は病みき amazon
赤や青や黄のドレスの裾が蝶々のように翻って
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
帯の解かれるちょうど蛇の威嚇のような鋭い音と、やわらかな着物の崩れ落ちる音が近くでした。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
腕時計が、疣(いぼ)のように小さく見える魁偉な手首
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
雑巾のようにつぎの当ったあの三装略衣(さんぞうりゃくい)
野間 宏 / 真空地帯 (1956年) amazon
キャンディーの包装紙のような服を着た女の子
伊藤 整 / 火の鳥 amazon
土耳古(トルコ)の大官のようにぐるぐる巻きにした。
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
巨大な青虫のような、何でもかでも無造作につめこんだ合切袋
なだ いなだ / 童話ごっこ amazon
何度も水を潜って垢の噴き出たようなネルの単衣
林 芙美子 / 清貧の書 amazon
白木綿の肌襯衣(はだシャツ)をぴっちり肌につけ、だぶだぶの膝切りズボンを穿いて、手拭で頭を結んでいる娘たちは海鷗(うみがもめ)の並んでいるようである。
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
薄い霞(かすみ)のような衣服
永井 荷風 / あめりか物語 amazon
なんどもあらっていろがはげ、ガーゼのようにやわらかくなったゆかたのねまき
なかがわ りえこ / こだぬき6ぴき (大型絵本 amazon
昆虫の皮膚のように彼女の胴を、キッチリと細くしめつけているコルセット
伊藤 整 / 氾濫 amazon
白っぽい綿くずが埃(ほこり)のようにつもっている
野間 宏 / 真空地帯 (1956年) amazon
脱ぎすてられたそれらのものは、誉れの墓地のような印象を与えた。
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
糸のように細い金の首輪
川端 康成 / 眠れる美女 amazon
押し出してしまった後の絵の具チューブかなんぞのように、ピッタリ一重にくっついた
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
襤褸(ぼろ)っ屑の塊(かたま)り見たいな少女
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
新聞を並べた台の傍に、古ぼけた鳥打帽(とりうちぼう、ハンチング帽のこと)を被った爺さんが背中を丸めて坐っているのを見ると、何となく昔の倫敦(ロンドン)がぽつんとそこに残っているような気がする。
小沼 丹 / 椋鳥日記 amazon
ドラ焼を叩きつけたような帽子
獅子 文六 / てんやわんや amazon
風が強いので疲れたネクタイが眼の前を鰻のような皺の寄りかたで泳いでいた
林 芙美子 / 茶色の目「林芙美子全集〈第15巻〉茶色の目 (1952年)」に収録 amazon
里い山高帽、チョビ髭-まるでチャップリンが出世をしたような男である。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
洒落た壁紙のような花もようのワンピース
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
草履のようにすりへった下駄をひきずっている
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
蚊帳(かや)のように粗い法衣(ころも)
夏目 漱石 / 草枕 amazon
袖を通していない白い上着が肩のうえで翼のようにひらひらしながら
中村 真一郎 / 遠隔感応 amazon
貂(てん)の毛皮を、まるで愛犬の背でも撫でるようになでまわし
阿部 知二 / 冬の宿 amazon
紺色に細い白線がとびとびに飛んでいて、それを雨のようだといって彼女は「雨ふりの着物」などと手紙のなかで書いていた。
中野 重治 / 歌のわかれ (1950年) amazon
背中に手をまわすと、ランドセルはロボットのような感触で
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
釣鐘のような長い合羽(かっぱ)
夏目 漱石 / 明暗 amazon
白い上衣に汗と埃が木目のように手のこんだ縞をつけていた。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
羽衣のような、透けた水色のネグリジェ
富岡 多恵子 / 幸福「富岡多恵子集〈3〉小説(2)」に収録 amazon
まるでデパートの飾窓(ショーウインドー)から連れてきたような、豪奢な盛夏の粧いの夫人や、令嬢の姿も見られた。
獅子 文六 / 胡椒息子 (1953年) amazon
若布(わかめ)のようにさけたパンツをはき
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
女たちはたいてい、裾が地面とすれすれの、うしろが長く割れたコートを着てゐて、それは足の動きにつれて蝙蝠の翼のやうにひるがえる。
丸谷 才一 / 初旅「横しぐれ (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
相撲取りの化粧まわし見たような前掛け
柳田 国男 / 清光「柳田国男 (ちくま日本文学全集)」に収録 amazon
夜具をかついだような大きい着物を着て
永井 荷風 / すみだ川 amazon
衣紋竹(えもんだけ)を背負ってるように肩の張ったスプリングコート
獅子 文六 / てんやわんや amazon
しめなわのような浜縮緬の兵古帯(へこおび)をした男
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
古いマントを蝙蝠(こうもり)のように動かした。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
焦茶のレエスの手袋が、枯れた杉の葉を束ねたように丸めてある。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
ところ剥げのしたニッケルの大きい金具のついた袋のようなカバン
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
黒い折り鞄(かばん)は、仔豚ほどにいつもふくれ上っている。
永井 龍男 / 朝霧「朝霧・青電車その他 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
破けた女の靴足袋(くつたび)が腐った蛇の死骸みたようにだらりと横たわっている
永井 荷風 / あめりか物語 amazon
薬指には婚約指輪が、バスの窓からの陽を受けて、溶けかかった雪のように輝いています。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
バスの車掌のような黒い革の鞄
中島 京子「小さいおうち (文春文庫)」に収録 amazon
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