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密度・集団の比喩を使った文章の一覧(82件)
溶けたチョコレートみたいにしっくりと混じりあって、ひとつのイメージとして分離不可能になっていて
村上春樹 / 今は亡き王女のための「回転木馬のデッド・ヒート」に収録 amazon
雑踏が、古い色あせた壁の無数の亀裂に浸み込む雨水のように、地面にしがみついた低い屋根の盛り場に浸み込んで行く
柴田 翔 / 燕のいる風景 amazon
アメーバのように増殖を続ける人間の塊が一斉に動き出す
荻野 アンナ / 背負い水 amazon
子どもたちが、アリが餌を運ぶようにぞろぞろ坂をのぼってくる
長崎 源之助 / ゲンのいた谷 amazon
蟻が小さな穴に群がり入るように、押し倒し押し返し入り口になだれ込む
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
穴ごもりの樹を逸した蟻のような人々の群れ
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団 (〔正〕) (文春文庫 amazon
蟻の甘きにつくごとく押し寄せる
里見 トン / 極楽とんぼ amazon
せきとめられた人の流れが、港内の泡のようにゆっくりと動く
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
黒い潤いのある瞳が嵐のように渦を巻く
高橋 三千綱 / 涙 amazon
軍勢が雲霞のごとく、城をめがけて殺到する
柴田 錬三郎 / 南国群狼伝 amazon
せまい小舎がはちきれるほど大勢の人で埋まる
水上 勉 / 越前竹人形 (1980年) amazon
わいてくるもののように大勢の人間がうごめく
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
巣箱に群がる蜂のように大勢の人間が行き交う
ロナルド・マンソン / ファン・メイル (上) amazon
放浪人が落ち葉のように吹き寄せられる
林 芙美子 / 林芙美子文庫〈〔第9〕〉松葉牡丹 amazon
修学旅行の少女たちが白い花びらのように群れる
原田 康子 / 挽歌 amazon
ひっそりとした群衆が三々五々、影絵のように闇の中に散り始める
福永 武彦 / 草の花 amazon
百年の仇敵に会えるがごとくに詰め寄る
坂口 安吾 / 中庸 amazon
先を争う人間がひと塊になって、泥をかくようにしてなだれ寄る
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
体が御輿(みこし)のように揉まれる
獅子 文六 / てんやわんや amazon
小さく固まって身を護ろうとする雑草の株のように、互いに寄り添って暖かみをを分かち合う
有島 武郎 / 小さき者へ amazon
満員の浴場のような混雑
田辺 聖子 / 返事はあした amazon
見物人が、石榴(ざくろ)の実を割ったようにいっぱいに詰まる
内田 百けん / 冥途 amazon
潮のように八方から人が流れ込む
中河 与一 / 天の夕顔 amazon
まさに迷宮だ。通勤ラッシュの時刻にはその迷宮は人の海になる。海は泡立ち、逆巻き、咆哮し、入り口と出口をめがけて殺到する。乗り換えのために移動する人々の流れがあちこちで錯綜し、そこに危険な渦が生まれる。どんな偉大な預言者をもってしても、そのような荒々しく逆巻く海を二つに分かつことは不可能だろう。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
彼らは、嵐に追ッ立てられる襤褸(ぼろ)っ屑のように、事務所へ殺到した。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
フリーのライターだかジャーナリストだかが、血の臭いを嗅ぎつけた鮫みたいにうようよ集まってくる。小さなボートが鮫の群れに取り囲まれている情景を、天吾は頭の中で想像した。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
ペンギンの集団を思い出す
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
あっという間にホームが人で溢れる。乾いた地面を狙い、流れる水が湿らせていくかのように、空間が埋め尽くされていった。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
大森海岸あたりの、古下駄とか猫の死骸とかゴム製品とか、そんなような汚いものを一面に浮べた真黒な波が退くような感じで、二階の一団は稽古をすませて去って行った。
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
このごろのお座敷ときたら、そういっちゃ悪いけど、縁台将棋のコマをぶちまけたようなお客ばっかり。
永井竜男 / 風ふたたび「永井龍男全集 5 長篇小説 1」に収録 amazon
雪崩れ込んだ避難民が@略@煙脂煙管(やにぎせる)のごとく、ぎっちり詰って動けなくなった。
里見 トン / 美事な醜聞「初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
すきやき鍋のようにごった返している
小松 左京 / 時の顔 amazon
彼女達は薔薇の花壇の中を旋回すると、門の広場で一輪の花のように輪を造った。
横光 利一 / 花園の思想 amazon
鮨(すし)のように押しつめられてる
夏目 漱石 / 明暗 amazon
蠅のように風琴のそばに群れて
林 芙美子 / 風琴と魚の町「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
掘割(ほりわり)にあふれた雨後の水のように、駅から工場正門まで流れつづく通勤労働者の群
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
群集は、小学生が使ったケシ護膜(ごむ)の痕のように、まだ、小汚なく、十字路
のあちこちに落ち散っていた。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
ごみごみした、玩具箱をひっくり返したような桟橋
林 芙美子 / 浮雲 amazon
歯の抜けた痕のように、元木武夫の席が空いていた。
本庄 陸男 / 白い壁 amazon
勤め人の群れが、同じ思想と同じ目的を持っている人形のように
伊藤 整 / 氾濫 amazon
風に逐(お)われた紙ッ屑のように、露地から転がり出し、表通りをつつ走って、群集は王子の街全体に散らかった。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
夜、十二時の浅草はしめったオブラートより寂しい。
サトウハチロー / 浅草悲歌
僕は体じゅうの傷を二人に見せた。傷のカタログのようなもんだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
マンションや飲食店が立ち並んでいる場所から、店の方へ歩いていくにしたがって、オフィスビルしかなくなっていく。 その、ゆっくりと世界が死んでいくような感覚が、心地いい。
村田 沙耶香「コンビニ人間」に収録 amazon
診察室をのぞくことができた。先生も看護婦もいなかった。そこは放課後の理科室のように薄暗かった。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
製氷機の出口のように人がざくざくとあふれてくる化粧品売り場
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
わっとやってきて、わっと去っていく。イナゴの大群のようなものか
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
その他の感覚を表す比喩表現
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