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唇の比喩を使った文章の一覧(81件)
唇は最大限にとがりました。鴨の嘴(くちばし)を薬品でふやかしたように見えました。
阿部公房 / 壁(S.カルマ氏の犯罪) amazon
小さくつぼんだ唇はまことに美しい蛭(ひる)の輪のように伸び縮みがなめらかで
川端康成 / 雪国 amazon
唇は今つくったばかりっていった具合に小さくて柔らかそう
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
月光の角度のせいで、彼女の唇の影が誇張されていた。そのいかにも傷つきやすそうな影は、彼女の心臓の鼓動かあるいは心の動きにあわせて、ぴくぴくと細かく揺れていた。それはあたかも夜の闇に向かって音のない言葉を囁きかけるかのように。
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
唇を壁土のように固くさせる
ジュール・ルナール / にんじん amazon
蟹が泡をふくように小さく唇をふるわせる
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
女の唇がどす黒い赤色に塗られ、灰色の沼の表面に金魚が下腹を出して浮いているよう
池田 満寿夫 / 10フランの恋人 amazon
固く引きむすんだ唇が、金属の細い線になったかのように見える
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
腐敗した肉のように黒く紅い唇
野間 宏 / 暗い絵 amazon
小さな朱の唇が緋牡丹の蕾を置いたように美しい
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
熟れた杏のような肉厚のぽってりした唇
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
唇がゴムのように色を失う
小池 真理子 / 窓辺の蛾 amazon
唇が、花びらをくっつけたようにつやつやとする
石森 延男 / コタンの口笛 第2部 amazon
唇が、濡れた爬虫類の脇腹のように光る
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
固くむすんだ唇が、金属の細い線になったかのよう
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
憂国の士のように唇をへの字に結んで首を振る
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
色の悪いまぐろの刺身のような唇
林 芙美子 / 晩菊・水仙・白鷺 amazon
鳥の臓物の心臓のような口紅
獅子 文六 / てんやわんや amazon
口紅の先端が、ユリの雌蕊(めしべ)のようにどす黒い赤い色
池田 満寿夫 / 10フランの恋人 amazon
唇は穏やかな海がなめらかな岩を舐めるようにペラペラと動く。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
Oの音を発音するたびに肛門のように唇をつぼめる。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
二枚の唇がかたくりの花のように開いていった。
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
唇がぬれたように紅い。
池波 正太郎 / 剣客商売 amazon
囗は二片の紅棒(べにぼう)を重ねたように、無心に並んでいるだけ
大岡 昇平 / 逆杉 amazon
唇を鳥の肛門のようにとがらせ
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
ハートのAのような鮮かな唇
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
熟した李(すもも)のように色の褪め変った女の口唇
島崎 藤村 / 新生 amazon
焼きたての腸詰(ちょうづめ)のような唇
安部 公房 / 他人の顔 amazon
唇は裂けたザクロのように割れていた。
田宮 虎彦 / 絵本 (1954年) amazon
唇が血を吸ったように紅く光っている。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
唇は鍛え抜かれた陸上選手の太もものように、たくましく動く。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
唇の両端にあたる筋肉が声に出ない言葉の符号(シンボル)の如く微かに顫動する
夏目漱石 / 行人 amazon
曼珠沙華のように紅い唇の女
宮部みゆき / おたすけぶち「とり残されて」に収録 amazon
その他の人物を表す比喩表現
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