店・施設の比喩表現の例文 一覧

勢いよく飛び込んだ。しぶきが跳ね、管楽器が奏でる華やかなファンファーレのような音が室内プールに反響した。

ブランコの軋り音（ね）は、たえず歯ぎしりのように

頭の上に、びっくりするほど巨大なガスタンクが青白い照明を浴びて、気球のように浮かんでいる

プールが午後の日射しに雲母をちりばめたように光っている

ラッシュ時の駅のホームのように学生がひしめくキャンパス

鮮やかな服を着て飛び回る少女のような明るさと新鮮さがあるホテル

人里離れた奥深い渓谷の底にしっかりへばりついた、執拗な貝殻のかたまりのような旅館

埠頭に並んでいる巨大なガントリーグレーンの列も、夢の地平線上に立ったまま死んだキリンの骸骨の列のようだ。

小石のようにゴタゴタ打ち並んだ客

ホステスのように店員目当ての客がかなりついている

寒暖計の目盛りのように、乗客がホームにいくつかの列を作る

潮が引くように賑やかさの終わろうとしている夜の公園

疲労した巨大な河馬のように横たわった大工場

光と音楽とざわめきの洪水を掻き分けて表へ出る

山中のように静寂が深い神社

ウィッチがたくさん棲んでいそうな中世の古城のようなホテル

変電所の鉄塔群が蜃気楼のように見える

ボーイはにっこりして、賢い猫のようにそっと部屋を出て行った。

秒単位で発着する長い列車は、よく訓練された我慢強い家畜のようにシステマティックに人々を吐き出し、そして吸い込み、ドアを閉めるのももどかしく次の駅へと向かう。

松本行きの特急列車はプラットフォームを離れた。彼はベンチに座ったまま、その明かりが線路を遠ざかり、スピードを上げながら夏の夜の奥に消えていくのを最後まで見届けた。最終列車の姿が見えなくなってしまうと、あたりは急にがらんとした。街そのものが輝きを一段階落としたようにも見えた。芝居が終り、照明が落とされた後の舞台のようだ。

昼ご飯の時間が澄んですぐの教室は、誰かのお弁当の具だった酢豚の匂いと春の暖かい陽気がこもっていてまるで人間の胃の中のようである。

暗い廊下の奥に羊の剥製やら、埃だらけの毛皮やら、黴臭い資料やら、茶色く変色した古い写真やらが積みかさねてある（略、）果たされざる想いが乾いた泥のように隅々にしっかりとこびりついているようなホテル

見るからにホテル・ビジネスのプロという雰囲気の男だった。@略@彼らは大体いつも笑みを浮かべているのだが、状況に応じて笑顔を二十五種類くらい使いわけられるのだ。丁寧な冷笑から、適度に抑制された満足の笑みまで。その笑顔のグラデーションには全部番号が振ってある。ナンバー１からナンバー２５まで。そういうのを、彼らは状況に応じてゴルフ・クラブを選ぶみたいに使いわける。そういうタイプの男だった。

「スター・ウォーズ」の秘密基地みたいなあの馬鹿気たハイテク・ホテル

その音はすごく遠くから聞こえるようでもあり、近くのようでもあった。僕の知らないうちに地球がいくつもの行き来できない細かい絶望的な層に分かれていて、その近接した層のどこかからもれ聞こえてくるような感じの音だった。物哀しくて、手が届かなくて、そしてリアルだった。

ここでは人々があらゆる手段を使って人間の自我や感情や誇りや信念を圧殺しようとする。目に見える傷が残らないように心理的にこづきまわし、蟻の巣のような官僚的迷路を引きずり回し、人が抱く不安感を最大限に利用する。

煙草臭くて暗くて、ヘビの穴みたいな取調室

店内はラッシュアワーの秋葉原駅みたいに混乱してごった返している

有刺鉄線に囲まれ湯気を上げ喘ぎ震えている変電所

太いコイルが渦を巻き張り巡らされた金網に、切り立つ崖のような鉄塔

規則正しく並んでいる机と椅子は、無名戦士の共同墓地を思わせる

見下ろす水面は、波と波紋が交錯し、ちょうど番組が全て終了した後のテレビそっくりに、雷を反射して光り輝いている

半透明のゼリーに見えるプール

工場の外の壁には無数のパイプがまとわりつき、体内の筋肉を這い回る血管を思わせる

工場の外の壁には無数のパイプがまとわりつき、体内の筋肉を這い回る血管を思わせた。しかも、表面を覆う無数のイルミネーションは夜光虫に似て、グロテスクな景観も見ようによっては美しい。

教室の中は、蜂の巣をつついたような騒音に満たされていた。

店の中には煙草とウィスキーとフライド・ポテトと腋の下と下水の匂いが、バウムクーヘンのようにきちんと重なりあって淀んでいる。

ぬくもりをおびた人工の闇を、襟巻のようにしっかり掻き合わせていた。

旅館の中庭に、萩が絵のように咲き乱れていた。

野薔薇の花が星のように咲く古城の壁

さすが床屋のねこだけあって、そのぴかぴかつやのいいこと、香水でもふりかけたよう

鮪（まぐろ）は計画を貯えた砲弾のように落ちつき払って並んでいた。

病舎では一疋の蠅は一挺のピストルに等しく恐怖すべき敵であった。

改札口からあふれてくる人の波が彼の眼の前でどっと散りみだれた。瓢吉の眼には波がしらのような顔の渦が勢いよく彼に向って殺到してくるような気がした。

サルのように鉄棒に掴まる

(フランス料理のメニュー表を見る)あゆみは腕きき弁護士が重要な契約書を読むときのような鋭い目つきで、メニューに書かれている内容を隅々まで二回ずつ読んだ何か大事なことを見落としていないか、どこかに隠された巧妙な抜け穴があるのではないか。そこに書かれている様々な条件や条項を頭の中で検討し、それのもたらす結果について熟考した。利益と損失を細かくはかりにかけた。

本館のロビーは広々として天井が高く、ほの暗く、巨大で上品な洞窟を思わせた。ソファに腰をおろして何ごとかを語り合う人々の声は、臓腑を抜かれた生き物のため息のようにうつろに響いた。カーペットは厚く柔らかく、極北の島の太古の苔を思わせた。それは人々の足音を、蓄積された時間の中に吸収していった。ロビーを行き来する男女は、何かしらの呪いで大昔からそこに縛りつけられ、与えられた役割をきりなく繰り返している一群の幽霊のように見えた。

光景にはそれなりに幻想的なものがあった。そこは都市の生活を地下で支える冥界のような場所なのだ。

煙突の林が夜の闇の中にそびえ、まるで蛇が長い舌を突き出すように赤く火を吐いていた。

窓の外には防風の役目を果たす松林が広がっている。密に茂った松林はその療養所を、活気のある現実の世界と隔てる大きな仕切り壁のようにも見えた。

水銀灯の光が（夜の）小さな児童公園の風景を青白く照らし出している。その風景は青豆に夜の水族館の無人の通路を連想させる。目に見えない架空の魚たちが樹木のあいだを音もなく泳いでいる。

無人の滑り台は氷河期に死滅した大型動物の骨格のように見える

世界の終わりを何度となく照らしてきたような水銀灯がひとつ

厳しい夜間の単独飛行を終えた飛行士のように、いかにも寡黙に滑り台を降りた。

いつのまにか雪が降り始めていた。滑走路のライトがあたる部分にだけ斜めに、白い雪が落ちていくのが見える。それだけ切り取られた、まるで芝居の書き割りのような雪景色だった。

バリウム検査は、ローリングするボードの上に寝て、さまざまな角度からレントゲン写真を撮る。この、うねうねとグラインドする床部は、遊園地の機械仕掛けの装置のようでなかなか楽しい。@略@ラブホテルの回転ベッドによく似ている。

番台ではしおれたじいさんが、つまらなそうに小型テレビを観ている。番台の横に置いてあるアサガオまで、じいさんの真似をしてしおれている。

小さい湯舟の湯は、薬湯になっており、アオミドロやクンショウモなどが浮遊している、季節はずれのプールみたいな色なので、底が全く見えずに、中央からは何やらポコポコと奇怪な気泡が発生していた。

不景気の大きな波が押し寄せる

ここは都会の片隅にポツリとたたずむバー。仕事に疲れた子羊達を暖かく迎え入れてくれるお店。

この小さな劇場では毎日のように、お笑いライブが開催されてきた。劇場の歴史分の笑い声が、この薄汚れた壁には吸収されていて、お客さんが笑うと、壁も一緒になって笑うのだ。

勢い良く通っていく。　川の堰が切れて濁流が流れていくような、騒々しさだった。激流が、目前を通過していく。

生まれたばかりの亀の子供さながらに、海を目指して駆ける。

黒く錆び果てた巨大な金無垢の碇のように沈んでいた。

夜桜を見る人で山の上は群がった蛾のように賑わった。

船のような大きな賽銭箱（さいせんばこ）

地鳴りのように、ものうい、ジャズの音色が、そのキャバレーから響いていた。

玉の井停車場の跡が雑草に蔽われて、こなたから見ると城址（しろあと）のような趣をなしている。

黒い田を越して法隆寺の伽藍が灰屑のように淡く望まれた。

病院の窓々にはうるんだ灯がともり、港にはいる満艦飾の船のように見えた

納屋は南向きの一面の日なたに、万石や唐箕や殻臼（からうす）などこれから使う農具を、まるで臓物のように孕んでいるのであった。

質屋の利息だけは、暴君に年貢を収めるように、毎月三日までには必ず収めるのを怠ったことがありません。

美容院の前を通ると、女たちが白い兜のようなドライヤーをかぶっている。

白い角砂糖のような病院の建物

ブランコの軋り音は、たえず歯ぎしりのように、東屋へ昇ってきた。

金閣そのものも、時間の海をわたってきた美しい船のように思われた。

錐（きり）も立てられぬほどの賑わしさ

行く手には監獄が壁のように立ち塞がっている。

夏というのに白々と雪をおいたかと思われるほど、結（ゆわ）えられる限りの場所に無数に残された古いおみくじの残骸

注文が殺到し、金が洪水のようにはいって来る

巨大な鋼鉄製の軍艦のように武装した工場

ホテルは新式の建築で、道路に面した壁は、高い城壁のように窓のないものだった。

潮の満干のように、時々待合室の出入りが、激しくなる。

煎餅のような生木の薄いバラック旅館

半分扉をおろしたようながらんとした静けさである。

枝々に紙がいくつも白い蝶のやうに結びつけられてゐる

町も破れるような繁昌（はんじょう）

水に放たれた魚のように、息をしやすいように感じるのだ。

白樺荘に移って来たと云うのは、驢馬（ろば）を豚に乗り替えたも同然

幼稚園の子どもたちが、まるでメダカか、オタマジャクシみたいに見える

夜更けの寄宿舎の中は朽廃したお寺のような感じだった。

金閣は、音楽の怖ろしい休止のように、鳴りひびく沈黙のように、そこに存在し、屹立（きつりつ）していたのである。

不器用な刈り方ではあったが、それでも頭のなかを風が吹き抜けてゆくような爽やかさである。

高柏寺の五重塔が森の上へ抜け出して針のようにとんがってる。

大地震からこちらへばったり火が熄（き）えたように寂れた。

行き届きすぎた衛生管理が@略@街全体を病院のような感じに変えていた。

まるで大きな墓みたいだ。

盛り場らしい騒音が、漬物樽（つけものだる）の中のように、あたりの空間を過飽和にちかい濃度で埋めつくしている

この大工場は、それ自身鳴動し・唸り・泣き叫び・怒号している一つの暗い宗教のように思われた。

折り曲げたナイフのような姿勢でそっと（プールに）飛び込み

お城だけに堅牢（しっかり）している。法文科見たように倒れそうでない。何だか背の低い相撲取に似ている。

堂内は、気味の悪い海峡のように、幾つもの暗流が、渦巻き流れていて

牢から出てきたばかりの今日の高杉は、まるで鞘からぬけでた瞬間の名刀のようだ。

地下鉄、国電、私鉄、市電、バス、扇の要のように、この大阪駅へ、群衆は、押し寄せては、また、四方へ流れ出てもいる。

映画館は、長い無限につづくトンネルのようだった。

粒子の荒い霧にさえぎられて、道路をへだてた商店街の裏は、黒々とした森のように見えた。

私の愛する着物が（質屋で）かくまで優待されているかと思って、ちょうど親たちが、養子にやった息子、嫁にやった娘がそれぞれ行く先で豊かに暮らしているのを見た時に覚えるにちがいない、それに似た満足を私は感じました。

ラーメンに入っているナルトみたいなデザインのネオンで目まぐるしく色を変えながら光っている観覧車

ジェイズ・バーは久し振りに客で込みあっていた。@略@まるで夏の盛りがもう一度巡ってきたような夜だった。

診察室をのぞくことができた。先生も看護婦もいなかった。そこは放課後の理科室のように薄暗かった。

泳げないわけですから、頼りなくうつろにゆらゆらと。@略@プールの底を死にかけた魚のように漂うか細い足

造船所の強力な光が城のように光る

波止場に停泊している船の灯かりが花のように煌いている

メリーゴーラウンドの電源が切れたことがあった。陽気な歌の中で動いていた木馬たちがカタン、カタンと命をなくすように動きを止めた。