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瀕死・虫の息の表現・描写・類語
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断続の急な呼吸、糸のようなかぼそい生命(いのち)
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
心の上澄 みは妙におどおどとあわてている割合に、心の底は不思議に気味悪く落ちついていた。それは君自身にすら物すごいほどだった。空といい、海といい、船といい、君の思案といい、一つとして目あてなく動揺しないものはない中に、君の心の底だけが悪落ち付きに落ち付いて、「死にはしないぞ」とちゃんときめ込んでいるのがかえって薄気味悪かった。それは「死ぬのがいやだ」「生きていたい」「生きる余席の有る限りはどうあっても生きなければならぬ」「死にはしないぞ」という本能の論理的結論であったのだ。この恐ろしい盲目な生の事実が、そしてその結論だけが、目を見すえたように、君の心の底に落ち付き払っていたのだった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み 青空文庫
時々ものにおびえるように、しわがれた声で、うめいている。一時 の間 、ここにこうしているのか、それとも一年も前から同じように寝ているのか、彼の困憊 した心には、それさえ時々はわからない。目の前には、さまざまな幻が、瀕死 の彼をあざけるように、ひっきりなく徂来 すると、その幻と、現在門の下で起こっている出来事とが、彼にとっては、いつか全く同一な世界になってしまう。彼は、時と所とを分かたない、昏迷 の底に、その醜い一生を、正確に、しかも理性を超越したある順序で、まざまざと再び、生活した。
芥川龍之介 / 偸盗 青空文庫
形のない、気味の悪い「死」が、しんぼうづよく、丹塗 りの柱の向こうに、じっと自分の息をうかがっているのを感じた。残酷に、しかもまた落ち着いて、自分の苦痛をながめているのを感じた。そうして、それが少しずつ居ざりながら、消えてゆく月の光のように、次第にまくらもとへすりよって来るのを感じた。
芥川龍之介 / 偸盗 青空文庫
顔は、もう、あらかた血と、青い皮膚だった。
吉川英治 / 無宿人国記 青空文庫
血を流して横たわり、しだいに『もの』になって行く母の様子
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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