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食パンの表現・描写・類語
パンの中で、一番真面目なパンはどれか。 それはまちがいなく食パンである。 身辺を飾ることなく、虚飾を排し、自らは語らず、無欲恬澹、媚びず、へつらわず、ただこげ茶色に日焼けして静かに端座している。 その風貌は、まさにパン界の実直代表といえる。 他のもろもろのパンたちの、小賢しい小細工、おもねり、目立とう精神を一蹴して、威風堂々、自信に満ちあふれている。 奇をてらわぬ実質本位のその形からも、真面目ひとすじ、朴訥、愚直ともいえる生き方が感じられる。 〝食パン〟という名前もいい。 面白くもなんともないところがいい。 食パンの〝食〟は、主食の食である。 「箱形の型を使って焼いた主食用のパン」と広辞苑に出ている。 主食を担っている、という自信が、小賢しい細工を放棄させているのかもしれない。
東海林 さだお「タコの丸かじり (文春文庫)」に収録 amazon
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