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刃物で人を切る(刺す)の表現・描写・類語
銃剣の先が胸に入る。先端が肋骨のあいだへ喰いこんだ。力をこめた。数センチのめり込む。筋肉がショックで縮み、刃先が前へ進まない。強引に突き続ける。ここで断念するわけにはゆかない。ねじり込むように体重をかけて数ミリずつの感じで進めた。不意に敵の抵抗がゆるむ。銃剣が相手の体内に、チーズに突き立てた果物ナイフのように、奥深くめり込んでいった。
拓殖久慶 / ラオス内戦 amazon
突如、光秀は脇腹に火のような疼痛が走るのを覚えた。光秀は自分の胴丸の横に何か突き刺さっているのを知った。
井上靖 / 幽鬼「異域の人・幽鬼」に収録 amazon
太刀が身に食い入るたびに、まりをたたくような、まるくこもった音が立つ
司馬 遼太郎 / 最後の将軍 amazon
ばったばったと人を大根みたいに斬りまくる
今 東光 / 東光金蘭帖 amazon
刃先が、男の首の皮膚に刺さった。肉に食い込み、頸動脈を切り、骨を割るのが、感触として伝わってくる。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
男の背中から包丁の柄が突き出している。後ろから刺されたようだ。肉体から工具が生えているようだった。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
ただ、一突き――あの赤く皮のたるんでいる頸 を、ただ、一突き突きさえすれば、それでもう万事が終わってしまう。突き通した太刀 のきっさきが、畳へはいる手答えと、その太刀の柄 へ感じて来る、断末魔の身もだえと、そうして、また、その太刀を押しもどす勢いで、あふれて来る血のにおいと
芥川龍之介 / 偸盗 青空文庫
(刀は)かつんと、仁吉の膝がしらに、石でも割れたような音がした。
吉川英治 / 治郎吉格子 青空文庫
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 青空文庫
風を切って――横に。
吉川英治 / 無宿人国記 青空文庫
蓑を刎 ねた浪人者の顔を、酉兵衛は、あっと、一眼見たきりだった。ずばっ――と片手なぐりに、肋骨 へ斬り下げられて、 「ウーム……」と、真ッ赤なものを吐く爬虫類 みたいに、手も足も縮め込んで、雨の中を、転がった。
吉川英治 / 無宿人国記 青空文庫
くすんだ茶のセーターの、肩甲骨の膨らみの真ん中あたりを狙って刃を突きたて、肉の内部に消えた刃先をじっと見つめている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ナイフを離そうとするが、柄に接着剤がついているみたいで指がほどけない。ナイフにも手にも、人間の身体を刺した感触がはっきり残っている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
後ろから近づきながらナイフを取り出し、何も考えずに刺した。血濡れた刃を抜いてもう一度、夢でないことを確かめるためだけに何度も何度も……。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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