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ドリアンの味、おいしさを伝える表現・描写
部屋の中いっぱいにドリアンの匂いが立ち込めているのが分かる。まるで香水のビンの蓋を開けたまま放置したように、部屋中が香りで溢れている。芳烈そのもの。しかしネットリと豊満でありつつ、清涼もクッキリと含んでいる。
開高健 / 小説家のメニュー amazon
味にかけては素晴らしく甘いがその嫌な臭いがとてもたまらないので、大抵の人はしり込みする。しかし、辛抱して食べ慣れていくうちに、その悪臭までもがなくてはならないものになる。
薄田泣菫 / 春菜(日本の名随筆59 菜) amazon
臭いので名高いのはドリアンである。パイナップルのような大きさで、茶褐色の実の中に、カーキ色の生クリーム状のもので掩われた種がぎっしりつまっている。その一つ一つの大きさは、鶏卵ほどのものだったろうか。《…略…》舌にねっとりとしつこい味で、かすかに鼻を衝く匂があったが、私には嫌ではなかった。臭みを消すのには、中の堅い種を食べるといいといわれ、大いに通がって食べたりしたが、それはさほどおいしいものではなかった。
佐伯 彰一 / 作家の自伝 (109) amazon
かたい殻を削ってもらうと、中はみかん状のふくろになっていて、一ふくろの長さは十センチぐらいあり、フニャッとした、うすいみかん色のものなのだった。カラを削ったと同時に、一だんとくささが鼻をつき、食べられるというしろものではない。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
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