春の表現・描写・類語
春たけなわの生き物たちの命の息づかいとうごめきが草地一面に満ちる
柴田錬三郎 / 南国群狼伝 amazon
岸に近い海面が春の海藻の丹の色に染まる
三島由紀夫 / 潮騒 amazon
ちかちか輝く薄緑のレースで飾られる美しい春の森
松谷みよ子 / オバケちゃん amazon
季節が緑と花の洪水になって氾濫する
伊藤 整 / 青春 amazon
山に紅い煙りのような山桜が咲く
獅子 文六 / てんやわんや amazon
地面からも、屋根からも、春の記憶を新たにすべき湿気がむらむらと立ち上る
夏目 漱石 / 門 amazon
トルーマン・カポーティの文章のように繊細で、うつろいやすく、傷つきやすく、そして美しい四月のはじめの日々
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
春の空気は漠然と重く、そして皮膚をむずむずとさせた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
春の柔らかさが風景をすべて包んでいた。庭の隅に押しやられている壊れた自転車でさえ、穏やかな風に吹かれていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
予感をたっぷり溶かしこんだ春の空気
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
春が一番だ。春のわくわくするような気持ちと、花や土や水の香りがまじりあった空気の甘さに、かなうものはない。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
天心に近くぽつりと一つ白くわき出た雲の色にも形にもそれと知られるようなたけなわな春が、ところどころの別荘の建て物のほかには見渡すかぎり古く寂 びれた鎌倉 の谷々 にまであふれていた。重い砂土の白ばんだ道の上には落ち椿 が一重 桜の花とまじって無残に落ち散っていた。桜のこずえには紅味 を持った若葉がきらきらと日に輝いて、浅い影を地に落とした。名もない雑木 までが美しかった。
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
春にしては風のある寒い日である。けれども長堤も対岸の丘もかなり青み亘 り、その青みの中に柔かいうす紅や萌黄 の芽出しの色が一面に漉 き込まれている。漉き込み剰 って強い塊の花の色に吹き出しているところもある。川幅の大半を埋めている小石の大河原にも若草の叢 の色が和みかけている。
岡本かの子 / 雛妓 青空文庫
大根の花も莢 になっている時分であった。
岡本かの子 / 東海道五十三次 青空文庫
南より北へ歩みを運ぶ春
森鴎外 / 阿部一族 青空文庫
桜が咲き始める季節だった。ぬくもりを帯びた風が頰を撫でていった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
山に遅い春が来て、裸の木々が一斉に芽吹くとき。その寸前に、枝の先がぽやぽやと薄明るく見えるひとときがある。ほんのりと赤みを帯びたたくさんの枝々のせいで、山全体が発光しているかのような光景を僕は毎年のように見てきた。山が燃える幻の炎を目にし、圧倒されて立ちすくみながら、何もできない。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
春めいた 長閑 な日だった。前の石垣の間から、大きな 蜥蜴 が長い 冬 籠りの大儀そうな 身体 を半分出して、 凝然 と日光をあびている。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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