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粗末な建物の表現・描写・類語
二階がやわなので、地震のように、家がうごく。
吉川英治 / 治郎吉格子 青空文庫
土壁のないバラックで、昔は物置であったのかもしれない。
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
つただらけの壁。鉄の黒くて重い門、門灯は切れっ放しで、割れたガラスの破片をじゃりじゃり踏み越えて、枯葉に埋もれた石段を登ると、玄関へたどり着く。手入れをしていない庭はジャングルと化し、猫がたくさん住んでいた。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
離れは質素を通り越して見すぼらしかった。素っ気ないコンパクトな平屋造りで、止むを得ず渋々そこに建っているかのような気配を漂わせていた。その気配を覆い隠すためか、離れの周囲だけ、手入れをされていない樹木が伸び放題に茂っていた。玄関は日当たりが悪く、呼び鈴は壊れて鳴らなかった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
〈パール・ハイツ〉という、きれいなのは名前だけで外観はおんぼろの木造二階建てアパート
湊 かなえ / 罪深き女「ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)」に収録 amazon
このうち全部が陣内の手造りであることに気がついた。 天井も柱も 窓枠 も、材質寸法すべてバラバラなものを、つなぎ合せ、くくりつけて、何とか家の形につくりあげていた。ガラスも、一枚入るべきところに、明らかに厚みのちがう二枚が、裏表から、テープで支えあって入っていたし、ゆるんでブクブクの畳も、捨てたものを一枚、二枚と拾い集めてきたものとしか思えなかった。 家だけでなく、 鍋釜 から茶碗までみな拾ったもののようであった。
向田邦子 / 酸っぱい家族「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
二階で少し烈しく歩くと 家 が揺れた。そして誰か下の部屋で新聞でも 展 げていれば、その上にバラバラと音がして天井のごみが落ちて来た。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
押しつぶされたような家々の塊
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
青い雑草が壁の破れからつき出ている共同便所
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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