駅前の表現・描写・類語

（渋谷）駅前の交差点では大勢の人が行き交っていて、一秒たりとも風景がじっとしていることがない。まるで街が生きているように見える。人間の身体で例えれば、渋谷駅は心臓だ。文化村通りやセンター街など、あちこちに延びた道路は血管で、道行く人たちは血液にあたる。心臓は今日も大量の血液を街の隅々にまで送り出す。

列車が着くたびに猫の額ほどの駅前広場が人波で埋まる

国立駅前はロータリーから放射状に延びる三本の通りが有名だが

渋谷駅前は幾つかの巨大スクリーンから流れる音が激突しては混合し、それに押し潰されないよう道を行く一人一人が引き連れている音もまた巨大なため、街全体が大声で叫んでいるように感じられた。

地下鉄、国電、私鉄、市電、バス、扇の要のように、この大阪駅へ、群衆は、押し寄せては、また、四方へ流れ出てもいる。

待ち合わせであちこちに立っている人々。文庫本を読んだり、道行く人を眺めたり、待ち合わせの相手を発見して駆け寄ったりしている。

人通りが多いのになぜかひっそりとして感じられる駅前、絵画みたいに 虹色 をした噴水と、ロータリーを通りすぎたあたり。

駅のまわりではいつも車が渋滞している。一回の青信号の間に、後から後からこれでもかというほどの人間が車道に溢れ落ち、むせ返るような排気ガスのなかを、右から左へ、左から右へ、まっすぐに、斜めに、車の間を縫って黒っぽい液体のように道路にひろがっていく。

駅前を行き交う人々は、いずれも額に汗を浮かべている。目の前には、客待ちのタクシーの並ぶロータリーがあり、斜め左側にビジネスホテルが見えていた。