晩冬・春先の表現・描写・類語
一面を覆っていた雪が溶けて、沢の水が音を立てて流れ始める春の日
永井路子 / 朱なる十字架 amazon
雪解けの清冽な水が土壌を洗う春
奥泉 光 / 石の来歴 amazon
しのびやかに軽くくすぐるように、一日ずつ近づいてくる春
森田 たま / もめん随筆 amazon
春がもう豹のような忍び足で訪れていはしたものの
三島 由紀夫 / 仮面の告白 amazon
この季節になると長く地の上を領していた冬が老いる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み 青空文庫
なんという美妙な美しい色だ。冬はあすこまで遠のいて行ったのだ。そう思うと、不幸を突き抜けて幸福に出あった人のみが感ずる、あの過去に対する寛大な思い出が、ゆるやかに浜に立つ人の胸に流れこむ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み 青空文庫
朝晩の凍 み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた金物がべたべたと糊 のように指先に粘りつく事は珍しくない。けれども日が高くなると、さすがにどこか寒さにひびがいる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み 青空文庫
春が間近で、高い山脈は寒い色をしていたが、近くの低地の林に薄い緑が乗った。風はまだ冷たかった。
松本 清張 / 青のある断層「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
街路樹の梢は、いつか靱 やかな撓 みを持ち始めた。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
三月は春ながらまだ底冷えが残っている。
岡本かの子 / 河明り 青空文庫
春が来ていた。 コートを着る回数が減ってゆくのと同じ速さで、空気が暖かくなっていく。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
街は寒く、人々はコートを着込んでいたが、陽ざしにはかすかな春の匂いがした。まるで何か新しくて甘いものみたいに、ほんの少しだけ光っていた。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
春、 未だ地面に雪の残っている頃だった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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