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スープの味、おいしさを伝える表現・描写
いいスープは、しみじみと味わっているうちに、出来のいいワインように、いろいろな味が次から次へと少しずつ染み出してくる。原材料の味、スパイスによって引き立てられる味、煮ている間に出てきた味、スープとなって完成してから出てきた味、とさまざまである。つまり、スープは決してソロではなく、シンフォニーなのだ。そのポリフォニックな味こそ、スープの魅力だといえよう。
開高健 / 小説家のメニュー amazon
日本的な汁ものや中華風では、やはりごはんがほしくなるので、西洋風なスープにパンがよい。 スープといえばきこえはよいけれど、要するにありあわせのものを何でも入れて、ぐつぐつ煮こんだものをたべるのだが、野菜でも、ハムや肉を使う場合でも、あう、あわないがあることに気をつけないと失敗する。大根、かぶ、白菜などは、西洋風のスープにはなんだか向かない。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
(ミネストローネ)玉ねぎ、人参、セロリの小さく切ったのに、いんげん豆などを入れて、ごとごと煮こんだ、ちょっとにごったスープだ。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
スープといっても、上から下まで実に千差万別のスープがあるものだ。数十時間、二日がかりで肉汁をとる本格的コンソメもスープなら、三十秒でとける固型スープもスープだ。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
コンソメスープほどコックの腕のわかるものはない。《…略…》コンソメスープこそ、コックの腕のみせどころではないかと、思っている。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
(鳥ガラのコンソメスープは)味は牛よりおちるが、さっぱりした味で、きれいに澄んでるからご馳走にみえる。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
(チキン・チャプスイ)鶏とタマネギ、ジャガイモなどの野菜が入った実だくさんのスープといってよい。煮出汁はセロリと鶏とガーリックであって、これまた、めずらしく、いかにも栄養が躰中へみなぎってくるようだ。
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
皿の中で冷えかけて膜が張ったクリームシチューを見る。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
グリンピースのポタージュは温かく滑らかで、浮かんだ生クリームの模様は芸術的でさえあった。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(コンソメスープ)トマトと玉ねぎが浮かんだ透明のスープはすっきりとして飲みやすい。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
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