日本語表現インフォ > 感情表現 > 悲しみ > むなしい・虚無感
むなしい・虚無感の表現・描写・類語
彼の体の内を風が吹き抜けるように、空虚さが通った。
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
満喜江と寝ている事に何の感動もなかった。《…略…》汽車の時間を待ち合わせているような空虚な時間が過ぎて行くだけだ。
林 芙美子 / 牛肉「林芙美子傑作集 (1951年) (新潮文庫〈第201〉)」に収録 amazon
無限の薄闇に堕ちるような虚無
芝木 好子 / 隅田川暮色 amazon
たまらないほどの虚脱感が彼を襲った。辛うじて身をひとつに寄せ合っていた様々な意識の流れが、突然それぞれの方向に歩み始めたようでもある。何処まで行けばそれらの流れがまたひとつに巡り合えるものか鼠(人名)にはわからない。いずれは茫漠とした海に流れこむしかない暗い川の流れだ。二度と巡り合うこともないのかもしれない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
エーテルのように風景に拡がってゆく虚無
梶井基次郎 / 冬の日 青空文庫
ぼくの心は白々とむなしかった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
彼の胸や腹のなかは、先ほどまでいっぱいつまっていた生ぬるい温度につつまれた期待や抵抗や欲望や不安などが、一挙にどこかへ退いて行ったため、全く空虚で、がらんどうで、空のブリキ缶がそこに入れられているかのようにも思っていた。
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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