船・ボートの表現・描写・類語

（ボート）岸を離れるとモーターはびびびと震動を細かくする

船体が波を切る豪快な水音

ただ小さな蒸気船が石油くさい波を立てながら右往左往しているきり

油のような粘りを持った大きな波浪がゆったりと襲ってきては、船を山から谷へ谷から山へと運ぶ

イカダが矢がすりの模様のように、三つが互い違いにつなぎ合わせてある

水が板のような堅い感じを船底にぶつけ、そのたびに船が浮かび上がる

船が滑るように動き出す

風に追われて舟が押し流される

艦艇が小さく小さく、玩具のように海上に置かれている

ボートが、広い海の上に蚊のように小さく、ところどころに浮いている

錨が、錨穴のところに大きな黒い鉄いろの蟹のようにとりつく

口ばしのように突き出た船首

船が竿を弓のように張って流れを遡（さかのぼ）って行く

船が大きく揺れて、水しぶきが雨のように飛び込んでくる

水の中から流木が逆茂木（さかもぎ）となって船を邪魔する

釣りをするためだけに使う簡単なボート

カヤックが、大きなミズスマシのように音もなく通り過ぎる

沖から浜辺で燃える焚き火を見て、自分の位置を確認する

舷を乗り越して奔馬のような波頭がつぎつぎにすり抜けて行く。

急流の川がその上に筏を長々と浮べさせて押し合いながら荒々しい海の方へひしめき合って流れてゆく

（貨物船の）脇腹には病人のかさぶたのように貝殻がびっしりとこびりついている。

海に浮かぶ不夜城

汽船はゼンマイ仕掛のおもちゃのそれのようだった。

湖上にいくつかの船影を見たのですが、何かの念力にでもかかっているようで、私の目には微動だにしませんでした。

あたかも意地の悪い馬が馴れぬ乗手にするように、船体は猛烈にその背を振った。

米内火艇が引っかいたような水脈を曳いて疾駆していた。

（はしけ）ランチが、本船の周りを水蜘蛛のようにグルグル廻りながらついて来た。

深夜の水平線上を左右から匍（は）い迫ってくる二種の艦列を認めた。その一方 は青く、他方は赤く、夜目にも著しく夜光虫のように光っていた

（一人乗りの平底舟は、）笹の葉のような軽快なかたち

反古紙（ほごがみ）を貼りつけたような日本の漁船

（転覆）漁船がてんぷくして、鯨の背のような船底を見せている

（船は遠ざかり、）とぶ鳥のかげのようにすぎた。

一見するとアパート風の建物のようで船とも見えなかった。

（軍艦が）白い波頭の上に海鳥のように身体をゆすっている。

何隻かのうす汚れた貨物船がうんざりしたように浮かんでいる

赤い太鼓腹を巾（はば）広く浮かばしている汽船や、積荷最中らしく海の中から片袖（かたそで）をグイと引張られてでもいるように、思いッ切り片側に傾いているのや、黄色い、太い煙突、大きな鈴のようなヴイ、南京虫（ナンキンむし）のように船と船の間をせわしく縫っているランチ、寒々とざわめいている油煙やパン屑（くず）や腐った果物の浮いている何か特別な織物のような波……。風の工合で煙が波とすれずれになびいて、ムッとする石炭の匂いを送った。ウインチのガラガラという音が、時々波を伝って直接（じか）に響いてきた。

錨を上げたり、下したりする度に、コンクリート・ミキサの中に投げ込まれたように、皆は跳（は）ね上り、ぶッつかり合わなければならなかった。

二本のマストは釣竿（つりざお）のようにたわんで、ビュウビュウ泣き出した。

二十年の間も繋（つな）ぎッ放しになって、沈没させることしかどうにもならないヨロヨロな「梅毒患者」のような船

船は後に長く、曠野（こうや）の一本道のような跡をのこして、つき進んだ。

駆逐艦は翼をおさめた灰色の水鳥のように、見えない程に身体をゆすって、浮かんでいた。それは身体全体が「眠り」を貪（むさぼ）っているように見えた。

陶酔したようにたわいもなく波に揺られていた船

模範船の艫から一字を引いて怪火（かいか）のように流れる炭火の火の子とをながめやる。

まっさおな海面に、漁船は陰になりひなたになり、堅い輪郭を描いて、波にもまれながらさびしく漂っている。

大きなクジラのような形の飛行船

船はやがて乗りたての船客の足もとにかすかな不安を与えるほどに速力を早めて走り出した。

窓に近い舷（げん）にざあっとあたって砕けて行く波濤（はとう）が、単調な底力のある震動を船室に与えて、船はかすかに横にかしいだ。

前後左右に大きく傾く甲板の上を、傾くままに身を斜めにしてからく重心を取りながら

絵島丸は、泣きわめく遺族に取り囲まれたうつろな死骸（しがい）のように、がらんと静まり返って、騒々しい桟橋の雑鬧（ざっとう）の間にさびしく横たわっている。

大桟橋（サウスピアー）に停泊している外国船の甲板を、船員が飼っているペルシャ猫が悠々と歩いている

川面を、しずかにすべって来る小舟

中天に冴えて来た月光を含む水煙がほの白く立ち籠（こ）めかかった湖面に一艘（そう）の船の影が宙釣（ちゅうづ）りのように浮び出して来た。

荒く組んだ筏（いかだ）

（夜の小舟）あたりがひっそりとして、ただ舳（へさき）にさかれる水のささやきを聞くのみである。

両河岸（りょうがし）は、霜（しも）が白い。 　灯（とも）さない屋形船（やかた）が一艘（そう）、氷をすべるように、大川を下って行った。

ぼんやりした燈（あか）りを睡（ね）むそうに提げている百噸（トン）あまりの汽船

四国まで一本筋の航路

酒の匂いのする酒荷船

この船は、どこの港へも寄らないで、一直線に大阪へ急いで走っている

紫色の波にゆれて因の島行きのポッポ船が白い水を吐いていた。漠々たる浮世だ。

職工達と逃げたランチの間は 只一筋の白い水煙に消されてしまう。

私は体を延ばして走る船の上から波に手をひたしていた。手を押しやるようにして波が白くはじけている。五本の指に藻（も）がもつれた糸のようにからまって来る。

水面は静かに空の青みを映し、小さな波が風に揺れる絹のパジャマのようにボートの側板をやわらかく叩いている

（船は）ゆっくりと身をよじるように１８０度の方向転換をしている

舟は静かに水の上を 滑った。

彼は今は一人船尾の手すりにもたれながら、推進機にかき廻され、押しやられる水をぼんやり眺めていた。

（真っ暗な夜に）ただマストの高い処に小さな灯が一つ、最初星かと思った程に遠く見えた

うねり に従う船の大きい動揺

（夜に船が）舳へさき の赤と緑の灯り、甲板の黄色く見える電燈、それらを美しい繩でも振るように水に映しながら進んで来る。

帆を張った漁船が四五 艘そう、黒ずんだ 藍色 の海を力強く走っていた。

海は夕暮の陽を受け赤く、ジャンク（帆船）が黒い 染みのように点々と浮んでいました。

舟に波が鈍い音をたててぶつかったほかは海も陸も、死んだように黙っていた。

ポンポン船が 咳込むように進んでいく

川面すれすれのところで、 人魂 のように頼りなげに上下している黄色い 灯

（船の家）水に浮いている家の、いかにも頼りない感触が足元に漂っていた。

舟の家のどこかはかない揺れ具合

舟の家は、真っ暗な川の 縁 にひたひたと打ちつけられている

神戸の海の、そのちょうど水平線のあたりに、一隻 の船が停まっていた。赤と黄色の 灯 は、 空漠くうばく たる闇の中でひどくひそやかに静止していた。