わたしには、夫婦というものがうまく理解できないのだ。それは何か、不可思議な気体のように思える。輪郭も色もなく、三角フラスコの透明なガラスと見分けがつかない、はかない気体だ。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:14% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
夫婦
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......すぐ二階堂先生の所へ駆け込むというのに。 姉は妊娠のことを、義兄にどう話したのだろうか。あの二人が、わたしのいない所でどんな会話をしているのかよく分らない。大体わたしには、夫婦というものがうまく理解できないのだ。それは何か、不可思議な気体のように思える。輪郭も色もなく、三角フラスコの透明なガラスと見分けがつかない、はかない気体だ。 姉がオムレツの真ん中にフォークを突き立て、「このオムレツ、胡椒がききすぎてるわ」などとつぶやいている。彼女が料理に文句をつけるのはいつものことなので、わたしは......
単語の意味
不可思議(ふかしぎ)
不可思議・・・1.数の単位のひとつ。10の64乗。古くは、10の19乗。元は仏教用語で「測り知れないもの」という意味。
2.人の理解を超えた、測り知れないもの。言葉では表現できないもの。不思議。異様。
2.人の理解を超えた、測り知れないもの。言葉では表現できないもの。不思議。異様。
ここに意味を表示
夫婦の表現・描写・類語(男性・女性のカテゴリ)の一覧 ランダム5
お雛様のような御夫婦
中 勘助 / 銀の匙 amazon
私は、男女が向かい合っている熱い姿よりも、同じ方向にある何かを、並んで見つめているのを見るのが好きだ。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
押すかさわるかの、いささかの力でピチッとかかってしまう錠のように、圭子は夫の良造とは二十年前何の理窟もなく相寄って一個となり
平林 たい子 / 鬼子母神「筑摩現代文学大系 (41) 平林たい子・円地文子集 地底の歌 こういう女 嘲る 盲中国兵 鬼子母神 私は生きる 花散里 ひもじい月日 くろい紫陽花 男のほね 妖 二世の縁 他」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「男性・女性」カテゴリからランダム5
若い女が牛河の事務所を訪れた。まだ二十歳にもなっていないかもしれない。身体の線がきれいに出た丈の短い白いワンピースを着て、やはり白い艶のあるハイヒールを履き、パールのイヤリングをつけていた。小柄な割に耳たぶが大きかった。身長は一五〇センチを少し超えたくらいだろう。髪はまっすぐで長く、澄んだ大きな目をしていた。見習いの妖精みたいに見えなくもない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
彼女は、どのような景色の中にあっても決して同化してしまわない女だった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
男性・女性 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ