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......た。　西道頓堀橋を過ぎ、次が幸橋だというあたりで、流行りの服装に身を固めた数人の若者が一列になって歩いて来た。邦彦とまち子は店舗の陰に寄って道をあけた。その中のひとりがすれ違いざまに、「きれいやなァ」　と叫んだ。すると別の男が、「さくらんぼみたいや」　と奇声をあげて振り向いた。それから一斉に笑いながら通り過ぎて行った。決して若い娘とは見えないまでも、そのさくらんぼという形容は、しかし確かにまち子の中に残っているあるものを捉えているよう......

単語の意味

奇声（きせい）

叫ぶ・号ぶ（さけぶ）

奇声・・・奇妙な声。その場にそぐわない、調子はずれな声。普通の人は恥ずかしくて出さないような、意図的に出す甲高い声。頓狂（とんきょう）な声。変な声。「奇」は、「普通とは違っている」さまをあらわす字。

叫ぶ・号ぶ・・・１．何かを訴えるために、大きな声を出す。大声を発する。大声で言う。
２．世間に向かって強く主張する。強く訴える。