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厚かましいが憎めない。ずるそうだが目の放せない 愛嬌 があった。  ひとりでに体がはしゃいでしまい、生きて動いていることが面白くて嬉しくてたまらないというところは、厚子と同じだ。
向田邦子 / かわうそ「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:52% 作品を確認(amazon)
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かわうそ
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前後の文章を含んだ引用
......つかせて餌の泥鰌入れに近寄る気配を見せると、二頭は先を争って、泥鰌の落ちてくる筒の下で、人間の手のような前肢をすり合せ、キイキイとにぎやかに騒ぎ立て催促する。 厚かましいが憎めない。ずるそうだが目の放せない愛嬌があった。 ひとりでに体がはしゃいでしまい、生きて動いていることが面白くて嬉しくてたまらないというところは、厚子と同じだ。 一軒おいて隣りから、火が出たことがある。 幸い大事には到らなかったが、「火事ですよお。火事ですよお」 寝巻で空のバケツを叩き、隣り近所を起して廻っていた厚子は......
単語の意味
堪らない(たまらない)
愛嬌(あいきょう)
体(からだ)
堪らない・・・気持ちを抑えられない。気持ちを抑えられないくらい、素晴らしく素敵。なんともいえないほど素晴らしい。「仕事のあとのビールは堪らない」
愛嬌・・・ニコニコして、かわいらしいこと。茶目っ気があり魅力的なこと。人に好かれるような言葉や振る舞い。「愛嬌を振りまく」
・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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