口上でも読みあげるように料金のシステムを説明した。

要領よく説明する

（我が子に英語を教える）私たちに教えながら、そんな基礎以下のまた以下の英語をもう一度自分の心に刻みつけるような、自分の人生のラインをなぞりなおすような必死さが美しかった。

いかにも企業家らしい説服的な口調で順序よく述べて

事実や時間に食い違いがないように順を追って話す

ボキャブラリーが足りない

弁舌を振るう

出来事を、例の子供のクレヨン画のように、単純な、線の強い描き方で報告をした。

「何考えてる。どうして黙ってる」 「絃には分かってもらえない感覚かもしれないけれど、いま頭の中が空白なの」 「じゃあ、さっき暗い顔になってため息ついていたけれど、何も考えてなかったんだね？」 「さっきまで考えていたんだけど、絃にかれた途端、真っ白になった」 　絃と一緒にいると感情と思考が言葉ではなく音楽で流れて、感情に合わせてメロディが暗くなったり明るくなったりする。演奏がいきなり途切れた今、ホールには何の音もしない。さっきまでは暗いメロディが流れていたのと正直に言ってみたかったが、事実だとしても口に出した途端頭のたがが外れかけているふうに聞こえるのはわかっていたので、彼には言い出せなかった。

（我が子に英語を教える）私たちに教えながら、そんな基礎以下のまた以下の英語をもう一度自分の心に刻みつけるような、自分の人生のラインをなぞりなおすような必死さが美しかった。