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茶を売る 老舗 の店が近づいて来、その周辺に絶えずたちこめている粉茶の 匂いの中に入った。それはそのときの気分しだいで、立ち 停 まって改めて吸い込んでみたくなるような芳香であったり、我知らず足を速めて立ち去ろうとさせる寂しい 哀しい匂いの塊であったりしたが、いまの邦彦にはどちらでもない、霧散も揮発も 沈澱 もせず、ただひたすらその一線でゆらめいているぶ厚い匂いの 扉 に思えるのであった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:38% 作品を確認(amazon)
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匂いがする・におう
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前後の文章を含んだ引用
......た。 相変わらずの人の流れであった。邦彦はついぞ感じたことのない、何かに烈しくせきたてられているような焦りと不安に包まれながら、人混みの中を蹣跚と流れて行った。茶を売る老舗の店が近づいて来、その周辺に絶えずたちこめている粉茶の匂いの中に入った。それはそのときの気分しだいで、立ち停まって改めて吸い込んでみたくなるような芳香であったり、我知らず足を速めて立ち去ろうとさせる寂しい哀しい匂いの塊であったりしたが、いまの邦彦にはどちらでもない、霧散も揮発も沈澱もせず、ただひたすらその一線でゆらめいているぶ厚い匂いの扉に思えるのであった。 そこから南に向かえば道頓堀であり、北へ戻れば別の土地であった。自分はこの強烈な粉茶の匂いの扉を通って、無縁の人々のうごめく泥溝のほとりに還って行くしかない、ど......
単語の意味
芳香(ほうこう)
揮発(きはつ)
老舗(しにせ・ろうほ)
立ち込める・立ち籠める(たちこめる)
霧散(むさん)
足・脚・肢(あし)
芳香・・・芳(かぐわ)しい香り。いい匂い。素敵な香り。
揮発・・・常温で液体が気体になること。
老舗・・・先祖代々続いている歴史のあるお店。昔から続く、伝統や格式や信用のある由緒正しいお店。
立ち込める・立ち籠める・・・煙や霧などの気体が、あたり一面を覆う。
霧散・・・霧のように散って、あとかたもなく消えること。雲散霧消(うんさんむしょう)。
足・脚・肢・・・1.動物の胴体の下から左右に分かれて伸びている部分で、歩いたり体を支えるのに用いる部位。とくに、足首から下の部分をさすこともある。
2.台を支える棒状の部分。物の本体を支える、突き出た部分。また、地面に接する部分や、物の下や末端部分。「テーブルの足」
3.歩くこと。走ること。また、その能力。「足が速い選手」
4.行くこと。また、来ること。また、そうするための手段や乗り物。「客の足がとだえる」「足の便がいい」
5. 餅(もち)などの粘り。こし。
6.損失。欠損。借金。また、旅費。
7.その他、足の形や動きから連想されできた表現として、
・食べ物の腐りぐあいや、商品の売れ行き。「足がはやい」
・(脚)漢字を構成する部分で、上下の組み合わせからなる漢字の下側の部分。「照」の「灬(れっか)」、「志」の「心(したごころ)」など。
・雨や雲、風などの動くようす。「細い雨の足」
・(足)過去の相場の動きぐあい。
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