臍（へそ）のところに朱い舌を出した蛇の文身（いれずみ）

腕のところに二本の白い線が入っていて、私はいつも「江戸時代の罪人の入れ墨のようだな」と思った。

（湯煙ごしに見える入れ墨は、）図柄は弁天さまらしいのだが、どこか山水画のような枯れた印象を受ける。よく見ると、その彫りものには色がはいっていない。墨でアウトラインだけが彫り込まれていて、色づけがなされていないのだ。

ホクロのような青い小さな入れ墨

新聞の青インクが生かわきなので、帯封をするたびに、腕から手がいれずみのように青くなる。

額の所には油汗がにじみ出ていた。触れてみたら氷のようだろうと思われるような青白い冷たさが生（は）えぎわかけて漂っていた。

首の後ろにどろりと熱い血が垂れた気がして、手でぬぐうと透明な汗だった。

前額部に角のような 瘤こぶ が出ている

見るも無残な凸凹のかさぶた

水から引き上げられたゴムボールみたいに顔中汗だらけ