葉子の目にはすべての人が、ことに男が底の底まで見すかせるようだった。葉子はそれまで多くの男をかなり近くまで潜 り込ませて置いて、もう一歩という所で突っ放 した。恋の始めにはいつでも女性が祭り上げられていて、ある機会を絶頂に男性が突然女性を踏みにじるという事を直覚のように知っていた葉子は、どの男に対しても、自分との関係の絶頂がどこにあるかを見ぬいていて、そこに来かかると情け容赦もなくその男を振り捨ててしまった。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:3% 作品を確認(青空文庫)
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魔性の女
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......は趣味の高いそして意志の弱い良人 を全く無視して振る舞ったその母の最も深い隠れた弱点を、拇指 と食指 との間 にちゃんと押えて、一歩もひけを取らなかったのも彼女である。葉子の目にはすべての人が、ことに男が底の底まで見すかせるようだった。葉子はそれまで多くの男をかなり近くまで潜 り込ませて置いて、もう一歩という所で突っ放 した。恋の始めにはいつでも女性が祭り上げられていて、ある機会を絶頂に男性が突然女性を踏みにじるという事を直覚のように知っていた葉子は、どの男に対しても、自分との関係の絶頂がどこにあるかを見ぬいていて、そこに来かかると情け容赦もなくその男を振り捨ててしまった。そうして捨てられた多くの男は、葉子を恨むよりも自分たちの獣性を恥じるように見えた。そして彼らは等しく葉子を見誤っていた事を悔いるように見えた。なぜというと、彼ら......
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何かに寄りすがらなければ生きて行けない女
林芙美子 / 新版 放浪記
ああいう人は男を自分という泥沼の中に引き込んで逃がさない。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
君はまるで麻薬みたいな女だ
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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世の中には、美しい女達もあるものだと思う。まるで人形のようだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
まち子はストローでオレンジジュースを飲んでいた。 妖しい濡れたものが、とりわけきょうに限って強く漂っていた
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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