日本語表現インフォ > 人物表現 > 恋愛 > 恋愛・恋する・恋心
恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語
絞り込み候補のタグ:胸が高鳴る・ときめく
慕情がフワフワと空に浮いている雲か霞のように捕捉しがたい状態
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
不断の関心ほど恋にとって豊かな糧はない
大岡 昇平 / 武蔵野夫人 amazon
思慕をしっかり胸に抱きしめて、その暖かさに自足しているような稚純な恋心
円地 文子 / 朱(あけ)を奪うもの amazon
ふところの淋しい恋愛というものは、出来の悪いマッチを擦るようなものだ。いつまでたっても燃え出すことがない。
庄野 潤三 / プールサイド小景・静物 amazon
(遠距離恋愛)「もう私になんか電話しないで。私、長距離電話料金に値するような人間じゃないのよ」
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
鮮やかな色合いの羽をつけたいろんな鳥たちが、枝にとまってはまたどこかに飛び立っていくみたいに、女たちはやってきて、そして離れていった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
(初恋の人への想いが、)長いあいだずっと変わることなく僕の意識の中心にいた。僕という存在にとってのひとつの大事なおもしの役割を果たしていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
彼女を見ているだけで、彼の胸は重く厳しく締めつけられた。ふたつの壁のあいだに挟まれて身動きがとれなくなった人のように、そのまま進むことも退くこともできない。肺の動きが不規則でぎこちなくなり、生ぬるい突風の中に置かれたみたいにひどく息苦しくなった。これまでに味わったことのない奇妙な心持ちだった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
(カメラ越しに少女に見つめられて)牛河はその少女から目をそらせることができなくなっていた。世界全体がそこでいったん動きを止められたみたいだ。風もなく、音は空気を震わせることをやめていた。(《…略…》少女は去ったが)牛河はなぜか床から腰を上げられなかった。身体が痺れたようになっている。ファインダー越しに送り込まれた彼女の鋭い視線が、行動を起こすのに必要とされる力を、牛河の身体からそっくり奪っていったようだ。(《…略…》少女が見えなくなると、)床を這うようにカメラの前を離れ、壁にもたれた。そして身体に正常な力が戻るのを待った。セブンスターを口にくわえ、ライターで火をつけた。煙を深々と吸い込んだ。しかし煙草には味がなかった。力はなかなか回復しなかった。いつまでも手脚に痺れが残っていた。そして気がつくと、彼の中には奇妙なスペースが生じていた。それは純粋な空洞だった。その空間が意味するのはただ欠落であり、おそらくは無だった。牛河は自分自身の内部に生まれたその見覚えのない空洞に腰を下ろしたまま、そこから立ち上がることができなかった。胸に鈍い痛みが感じられたが、正確に表現すればそれは痛みではない。欠落と非欠落との接点に生じる圧力差のようなものだ。彼はその空洞の底に長いあいだ座り込んでいた。壁にもたれ、味のない煙草を吸っていた。そのスペースはさっき出て行った少女があとに残していったものだった。《…略…》少女に、全身を文字通り揺さぶられていることに気づいた。彼女のみじろぎひとつしない深く鋭い視線によって、身体のみならず牛河という存在そのものが根本から揺さぶられているのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
(片思い)冬の間は穴ごもりをして暮す蛇があるように僕の恋もじっと動かぬままに燃えていたのである。
宇野 千代 / 色ざんげ amazon
「樹木か何か揺さぶられているような」自分の心持
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
外に比べたらはるかに薄暗い店内の一角で、彼女のその顔の部分だけが、パッと輝いているようだった。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
恋心の火は火力を調節できないからこそ尊い
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
何日か経った後で、彼女との関わりは日常生活の中に打ちこまれた柔らかなくさびのように鼠(人名)の中にその存在感を膨らませていった。ほんの少しずつ、何かが鼠を突いた。彼の体にしがみつく女の細い腕を思い出すたびに、鼠の心の中に長い間忘れていた優しさのようなものが広がっていくのが感じられた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ふいに長野さんが手を差しだしてきて、手をつなぐのかと思って握ったら、そのまま強く引き寄せられてキスされた。 きっとこういう瞬間の積み重ねを、恋愛と呼ぶのだろう。
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
夏目漱石 / 吾輩は猫である 青空文庫
一寸民子の姿が目に触れれば気が落着くのであった。
伊藤左千夫 / 野菊の墓 青空文庫
僕の胸の中にも小さな恋の卵が幾個 か湧きそめて居ったに違いない。僕の精神状態がいつの間にか変化してきたは、隠すことの出来ない事実である。この日初めて民子を女として思ったのが、僕に邪念の萌芽 ありし何よりの証拠じゃ。 民子が体をくの字にかがめて、茄子をもぎつつあるその横顔を見て、今更のように民子の美しく可愛らしさに気がついた。これまでにも可愛らしいと思わぬことはなかったが、今日はしみじみとその美しさが身にしみた。しなやかに光沢 のある鬢 の毛につつまれた耳たぼ、豊かな頬の白く鮮かな、顎 のくくしめの愛らしさ、頸 のあたり如何にも清げなる、藤色の半襟 や花染の襷 や、それらが悉 く優美に眼にとまった。そうなると恐ろしいもので、物を云うにも思い切った言 は云えなくなる、羞 かしくなる、極りが悪くなる、皆例の卵の作用から起ることであろう。
伊藤左千夫 / 野菊の墓 青空文庫
胸の中に巣食った感情が、化け物になって孵化しそうになる。《…略…》女の子は妄想と現実を絡み合わせて、胸に巣食った発情を処理できずに、体の中に初恋という化け物を育てていく
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
こんな見た目の私にコントロールできないほどの恋愛が宿っている
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
木部は燃えやすい心に葉子を焼くようにかきいだいて、葉子はまた才走った頭に木部の面影を軽く宿して
有島武郎 / 或る女(前編) 青空文庫
胸の深いところにある熱い塊
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
知らぬ間 に木部に対して恋に等しいような強い感情を動かしているのに気がつく
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
恋愛は常にこのように動揺や不安や悲しさの感情を伴うものなのであろうか?
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
伸子の眼の前に、佃の顔が浮び上った。だんだんそれは大きくなって来た。佃は、彼の、見馴れた古くさい山高帽を挙げ、伸子を見、近づき、よき微笑を洩した。伸子は、眼を瞑り、熱く、寒く、体じゅうで顫えながら、幻の佃を抱きしめた。彼の頬の感触……彼の唇――柔かい髪を撫でるとき掌につたわる、その手触り、伸子は呻くように彼の名を呟いた。
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
伸子の胸には再び、火の塊りのようなものがこみ上げた。できることなら一飛びに、彼の手許へころがりこみ、このがむしゃらな熱情を、同じように激しい燃える彼の手で捕え、締めつけて欲しい
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
うるせーな、と思いながら、風人の声が自分の中で温度を持ち始めていることに気がつく。
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(好きな人を想う)彼を無意識に疲れさすその面影
岡本かの子 / 巴里祭 青空文庫
日本の女は形式的には男から冷淡にされるけれども、内容的にはたいへん愛される
岡本かの子 / 母子叙情 青空文庫
子供らしい然も激しい情熱
梶井基次郎 / 橡の花――或る私信―― 青空文庫
夢にみるほど恋いこがれて
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
(薄暗いスタジオで女が)まるで闇にぬらぬらと光る美しい彫像のように見えた。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
どうしてもどうしてもさわりたくて、気が狂うほど、もういてもたってもいられなくて、彼女の手に触れることができたらもうなんでもする、神様。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
こうして街を見ていて、行きかう女の顔が、みんな萃(人名)に見える。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
僕は二十分ばかりそこで彼女と立ち話をしたが、彼女に対して好意を抱いてはいけないという理由はひとつとしてみつけることはできなかった。
村上春樹 / 象の消滅「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
何かにじむような熱い気持ちが、じんわりと 湧いてくるのがわかった。それはふたりの間に蒸気のように漂う気配だった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
いつか帰って、君に会おう。そう思うと次の日までやりすごせた。どんどん、君の比重が大きくなってきた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
この恋はとても特殊に白く光っていて (あの日のUFOみたいに)、違う運命にジャンプするために二人で組まなくてはいけない、という感じがした。 後のことはいいから、とにかく今、手をつないで飛ばないと、このめまぐるしく変化する人生とはぐれてしまう。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
こんな、必要以上に切実な気持ちになったことはない。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
いつものように水島のことを考えはじめる。すぐに一種の忘我状態に陥って、水島のこと以外は何ひとつ考えるべきことを思いつけなくなる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
蒔野は、自分の中にある、洋子に愛されたいという感情を、今はもう疑わなかった。胸の奥に、白昼のように 耿 々 と光が灯っていて、その眩しさをうまくやり過ごすことが出来なかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(好きになった人を話題にしない)蒔野は、ほどなく洋子のことを何も言わなくなった。それは、関心を失ったからではなく、彼女への思いの中に、何か気軽には人前に曝せない感情が籠もるようになったかららしかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
洋子は、精神的にも肉体的にも、今は彼の望むことの一切を受け容れたいという衝動に駆られた。彼の中に満たされないものが何も残らないほどに。──それは、洋子が初めて知る、ほとんど隷属に近いような欲望だった。
彼女はまだ彼との愛の圏内にいて
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
彼女は蒔野を愛していた。折々、胸を押し潰されるほどに苦しい恋の衝動も経験していたが、それと同時に、彼女は蒔野のことが、何と言うのか、人間としてすっかり好きになっていた。 彼と向かい合っていると、何も特別なことのない単なる日常会話が、人生の無上の喜びと感じられるような一瞬がしばしば訪れた。それは、ほとんど不可解とさえ思われるほどの、何かしら奇跡的なことだった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
恋が突然、始まるものなのだとしたら、まさしくあの瞬間だったと言うことができる。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「今は何してたの」 お風呂に入ろうとしてた、本を読んでた、テレビを観ていた、洗濯機をまわしてた……そんなことを答えつつも、わたしはいつも、もっとも正直な一言を口に出せずにいた。 あなたのことを考えていた……。 おそらくは、それが恋というものかもしれない。何をやっていても、馬鹿げているほど一人の男のことしか思い出さないのだ。それどころか頭の中がすべて、その男のことで占められてしまうのだ。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
その時わたしは、自分がどれほど野呂という男を愛し、欲しがり、自分だけを見ていてほしいと願っていたか、はっきりと知った。認めた。 理由などどうでもいい。彼はわたしの人生そのものだったのだ。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
嵐を好きになってから私は、恋というものを桜や花火のようだと思わなくなった。 たとえるならそれは、海の底だ。 白い砂地の潮の流れに揺られて、すわったまま私は澄んだ水に透けるはるかな空の青に見とれている。そこではなにもかもが、悲しいくらい、等しい。 目を閉じて走っても、全く違う所を目指したつもりでも、気持ちはいつの間にかくり返しそこへたどり着く。そこはいつもとても静かで、いつも彼の面影に満ちているので、私は目を覚ますことなく、ずっと、そこでそのまま眠っていたくなる。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
ドアが開き、嵐はそう言ってさっと電車を降りた。走り出す電車から、ホームを大またで歩いてゆく彼を残像のように遠く見送って、がっかりしていた。私は彼の声をもっと聞いていたかった。彼の存在感はまるで身内のように親しく、好きな人のように深く心に残った。ちょうどその二つの感情が混ざった淡いときめきが、心の中で電車のリズムに合わせていつまでも揺れた。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
彼女はぼくの属している世界の外縁をひとまわり広げて、大きく息をつかせてくれた。そんなことができるのはすみれだけだった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
手に触れられただけなのに、胸が締めつけられそうで、同時に暖かで穏やかな感覚が広がっていく。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
(別れて)ひとりで道を歩いていると、もう広田さんが恋しかった。別れがたかったんだ、と私は自分の淡い恋のような気持ちを自覚した。
よしもとばなな / 銀の月の下で「まぼろしハワイ」に収録 amazon
(ゲームで)指を握り返したりした。そんな時、 他 の人の場合では、感じない鋭敏さを以て、その握り方の強さを彼は計った。
志賀直哉「暗夜行路 (講談社文庫)」に収録 amazon
彼はその人に 惹きつけられた。普段何気なく美しい人を見る時とは、もっと深い何かで惹きつけられ、彼の胸は波立った。それはそれ程にその人が美しかったと云うのとも 異う。彼は自分ながら 初心者 らしい心持になって、もうその方を見られなかった。そして少し息苦しいような幸福感に捕えられながらその前を通り過ぎた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
決して冷たくできない女というのがいる。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
ティエンは、自分がサユリを愛していることに気付き始めてから、悩める人間としての宿命を背負ってしまった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
どんなに高級なキャビアやワインもサユリとともに味わうのでなければ彼にとってはジャンクフードと一緒だった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
彼はこちらに向けられた視線が熱い鉄板の上に落ちた水滴のように自分の心の中で音を立てるのを感じた。彼女を前にすると、心は、いつも熱を含んで熱くなる。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
自分は疲れているのだ、とティエンは思った。サユリに恋をして以来、彼は常に身も心も彼女のために 毛羽立たせていて、休むことができなかった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
彼女と出会って以来、侵食されて来た自分の心の大きさを感じずにはいられない。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
現われてくれ。顔を見せてくれ。 起きている間、眠っている時でさえ、私のどこかが、だらしなく睦子を求めていた。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
彼の声、彼の仕ぐさ、彼の熱さが昭子の魂の一番感じやすい部分にキンキンと響いて躍動する。心は酔いしれて、この世にこんなすばらしいことがあっていいものか、とさえ思う。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
並んで歩いていると、我知らず心がときめいてくる
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
あと 133 個の表現が登録されています
ログインして全部見る
ログインして全部見る
類似・関連の強い・参考になる表現 |
胸が高鳴る・ときめく(特定の異性に)好奇心・興味を示す |
同じカテゴリの表現一覧
恋愛 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ