蒔野は、自分の中にある、洋子に愛されたいという感情を、今はもう疑わなかった。胸の奥に、白昼のように 耿 々 と光が灯っていて、その眩しさをうまくやり過ごすことが出来なかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:16% 作品を確認(amazon)
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......ながら話の続きをしようと誘った。 洋子からは、今度は一日と置かずに、弾むような返事が届いた。「うれしい」という一言が、蒔野を幸福にさせ、同じ気持ちを抱かせた。 蒔野は、自分の中にある、洋子に愛されたいという感情を、今はもう疑わなかった。胸の奥に、白昼のように耿々と光が灯っていて、その眩しさをうまくやり過ごすことが出来なかった。 洋子も、自分を愛しているかもしれない。──彼女の言動に、そうした徴を見出す度に彼は苦しくなり、そうではないのではと思い直す時にも、結局、苦しくなった。そして、......
単語の意味
胸(むね)
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恋愛・恋する・恋心の表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(片思い)冬の間は穴ごもりをして暮す蛇があるように僕の恋もじっと動かぬままに燃えていたのである。
宇野 千代 / 色ざんげ amazon
僕は二十分ばかりそこで彼女と立ち話をしたが、彼女に対して好意を抱いてはいけないという理由はひとつとしてみつけることはできなかった。
村上春樹 / 象の消滅「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
どんなに高級なキャビアやワインもサユリとともに味わうのでなければ彼にとってはジャンクフードと一緒だった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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最初はいい年をして早漏気味に終り、二度目は、私の性的体験の中でもっとも完璧といえるほどの遊戯性、強度、持続、一体感を味わった
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
奈世のいなくなった部屋は、もともとは僕が一人で住んでいたにもかかわらず、妙にがらんとして、彼女のぬけがらがそこらじゅうに落ちている、雑然とした状態だった。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
のどかな家庭生活に荒々しい恋が入り込んでいいものかどうか。ライオンが家畜に適さないのと同様に、恋は狂暴すぎてとてもドメスティックな生活に向いていない。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
片思いの矢印は特定の子たちに集中する。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
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