風のように飛んで帰ってきました。

時計の秒針と競うように

慌てふためく

いろんな店の品物や、電車や、自動車や人ゴミが走馬燈（まわりどうろう）のように後（うしろ）へ後へと辷（すべ）った……。

一刻を争う

時はどんどん過ぎ去っていく。過去が増えて未来が少なくなっていく。可能性が減って、悔恨が増えていく。

数え切れないほどの春夏秋冬

何もすることがないこの空白の時間を、私はうまく過ごせない。

仕事のない日は途方に暮れる

ただ怖いのは、柳の枝が 陽 にさらされては次の瞬間大風に揺れるように、桜が咲いては散るように、時がたっていくこと。 　西日のさしこむこの部屋に、寝転んでビデオを見ている彼の背に、この空気に別れを告げて夜がやってくること。ただそれだけのことがいちばんかなしい。