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自分の前にある人生のショウは、何て退屈だったのだろう。周囲の様子をうかがい、慎重に、考えながら生きてきた。臆病なほどに。守るものなどどこにもないのに。だからパンクするんだ、あんな風に。
中村文則 / 教団X ページ位置:9% 作品を確認(amazon)
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冴えない、ぱっとしない人生
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前後の文章を含んだ引用
......はずだった。『まるで「私」達が、「自分」という座席に座ったこの人生の観客であるかのように』 松尾正太郎はDVDの中でそう言っていた。もしそうなら、と楢崎は思う。自分の前にある人生のショウは、何て退屈だったのだろう。周囲の様子をうかがい、慎重に、考えながら生きてきた。臆病なほどに。守るものなどどこにもないのに。だからパンクするんだ、あんな風に。 無数の空き缶をぼんやり見ている自分に気づく。自分の部屋のテーブルに置かれた、中身が少しだけ残った無数の缶。その凹凸のない缶のアルミの表面に、その表面の無数の集......
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冴えない、ぱっとしない人生の表現・描写・類語(人生のカテゴリ)の一覧 ランダム5
心配などあるわけがない。自分のこんな人生に、守るものもない。
中村文則 / 教団X amazon
年老いて死を迎えようとした時に一体僕に何が残っているのだろうと考えるとひどく怖い。僕を焼いた後には骨ひとつ残りはすまい。《…略…》祖母が死んだ夜、僕がまず最初にしたことは、腕を伸ばして彼女の瞼をそっと閉じてやることだった。僕が瞼を下ろすと同時に、彼女が79年間抱き続けた夢はまるで舗道に落ちた夏の通り雨のように静かに消え去り、後には何ひとつ残らなかった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
自分の前にある人生のショウは、何て退屈だったのだろう。周囲の様子をうかがい、慎重に、考えながら生きてきた。臆病なほどに。守るものなどどこにもないのに。だからパンクするんだ、あんな風に。
中村文則 / 教団X amazon
七十年の生活をふり顧ってみると溜桶の蛆虫が桶の壁を攀じ登っては落ち、攀じ登っては落ちして依然として汚物の中から脱け出られなかった姿の厭しさが考えられる。
中山 義秀 / 厚物咲 (1955年) amazon
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「けっきょく、そうなんですよね、運命なんですよね。原因をさかのぼって考えていけば、最後の最後は、なぜ自分は生まれてきたんだろう、になっちゃうんですよ」
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
年老いて死を迎えようとした時に一体僕に何が残っているのだろうと考えるとひどく怖い。僕を焼いた後には骨ひとつ残りはすまい。《…略…》祖母が死んだ夜、僕がまず最初にしたことは、腕を伸ばして彼女の瞼をそっと閉じてやることだった。僕が瞼を下ろすと同時に、彼女が79年間抱き続けた夢はまるで舗道に落ちた夏の通り雨のように静かに消え去り、後には何ひとつ残らなかった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
齢が遠慮なく自分の体を侵蝕している
大岡 昇平 / 花影 amazon
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