(店内で二人の沈黙が続いて、)音楽が消えると、人々の話し声が奇妙な硬質さを帯びたように感じられた。それは漠然とした硬質さだった。実体が柔らかいのに、存在の状況が硬質なのだ。そばに来るまではとても固そうに見える。でも体に当たると柔らかく砕けてしまう。それは波のように僕の意識を打っていた。ゆっくりとやってきて意識を打ち、そしてひいていった。それが何度も何度も繰り返された。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
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僕は肯いた。そしてたっぷり三十秒ばかり、二人は黙って光線の中で揺れる煙草の煙をあてもなく眺めた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。 「質問はしないで」と彼女は言った。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
「嫌な話ですが、その通りです」 神谷は、ふと言葉を切って、佃たちの反応を待った。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
重藤がふいに黙り込んだ。 途端に、日下の耳に庭のツクツクボウシの鳴き声が戻ってきた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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