もう、許せませんでした。和弥さんを悼む場で、和弥さんを 貶めるなんて。 ──いい加減にして! 和弥さんはあなたに図面を盗まれても、美術館がちゃんとできるように、必死になって協力したんじゃない。 言い放った途端、頭の中が真っ白になり、それからは自分のものとは思えない憎しみに満ちた声が、言葉が、からだの中から溢れ出てきました。何を言ったのかはよく憶えていません。「人殺し」とは言ったような気がします。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 ページ位置:83% 作品を確認(amazon)
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頭に血がのぼる・逆上する・キレる
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......してくれた食事の席で、陽介さんの暴言はますます酷くなっていきました。 ──俺のせいじゃない。あいつが出しゃばるからいけないんだ。死んだのはあいつ自身のせいだ。 もう、許せませんでした。和弥さんを悼む場で、和弥さんを貶めるなんて。 ──いい加減にして! 和弥さんはあなたに図面を盗まれても、美術館がちゃんとできるように、必死になって協力したんじゃない。 言い放った途端、頭の中が真っ白になり、それからは自分のものとは思えない憎しみに満ちた声が、言葉が、からだの中から溢れ出てきました。何を言ったのかはよく憶えていません。「人殺し」とは言ったような気がします。 自分の状態は憶えていないのに、周りの反応は映画のように頭の中に残っているのだから不思議です。 もうやめて! と私にしがみつく夏美さん。 名誉毀損で訴えるぞ、と......
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頭に血がのぼる・逆上する・キレるの表現・描写・類語(怒りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
灰を落としたストーヴのように、そんなとき彼女の顔には一時鮮かな血がのぼった。
梶井基次郎 / 冬の日
心臓の鼓動が止まるほど葉子の心はかっとなった。
有島武郎 / 或る女
有島武郎 / 或る女
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「怒り」カテゴリからランダム5
ティエンは 和やかに食事をする一組の男女の後ろに立ち歯ぎしりをした。サユリは顔を上げて振り返った。背後の歯の音に気づいたかのようだった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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