彼は言った。 「おまえ、鳥海人魚じゃないか?」 私もびっくりして、 「はい。」 と答えた。私はその時、自分の名を発音する響きの美しさに酔いしれていた。いや、名前が美しいのではなく、澄んだ低い彼の声が特別だったのだ。心と言葉をひとつにまとめて押すような、深い響きだった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 ページ位置:16% 作品を確認(amazon)
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......くしたので、私は振り向いた。 相手も振り向いたが、それは見たこともない青年だった。溌剌として、明解な瞳の、短い髪の、強く光るような青年だった。びっくりした顔で、彼は言った。「おまえ、鳥海人魚じゃないか?」 私もびっくりして、「はい。」 と答えた。私はその時、自分の名を発音する響きの美しさに酔いしれていた。いや、名前が美しいのではなく、澄んだ低い彼の声が特別だったのだ。心と言葉をひとつにまとめて押すような、深い響きだった。なにかしら、この人、なんなのかしら、と私は思って彼を見ていた。「やっぱり、そうか。」 と言って彼は、思い切り笑顔になった。「あなたは、誰ですか?」 私は言った。......
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声は清明に澄んで明快、耳に心地よく響いて聞く人の心を捕らえて離さない
阿刀田 高 / サン・ジェルマン伯爵考「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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二人の声が木霊のように重なる
福永 武彦 / 草の花 amazon
「なあなあです、みきさん」 俺が言うと、「そやな」とみきさんは笑った。 はじめて使った神去弁は、やわらかく早春の空気に溶けた。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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聞こえもせぬ遠い船の人を呼ぶような、悲しいほど美しい声
川端 康成 / 雪国 amazon
風鈴のようにさわやかな声
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
耳にひびいてくる雲雀(ひばり)のような話し声
三浦 朱門 / 犠牲 amazon
ガラス細工のように美しい結実子の声
朝井 リョウ / 燃えるスカートのあの子「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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