（答えを濁す）「どうして」とわたしは小声で聞いた。「何か仕事でもあるの？」 うん、と野呂はわたしから身体を離しながら言った。だが、その「うん」は肯定の「うん」ではなく、何か別の、はっきり口にできない理由を包み隠そうとする時の「うん」だった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置：47% 作品を確認（amazon）
この表現が分類されたカテゴリ
曖昧・ハッキリしない言い方
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ョンに来て、玄関先で靴を脱いでから十分とたっていなかった。わたしは不意打ちをくらった気分になった。得体の知れない不安が襲いかかってきて、身動きが取れなくなった。「どうして」とわたしは小声で聞いた。「何か仕事でもあるの？」 うん、と野呂はわたしから身体を離しながら言った。だが、その「うん」は肯定の「うん」ではなく、何か別の、はっきり口にできない理由を包み隠そうとする時の「うん」だった。「それならそうと、早く言ってくれればよかったのに」とわたしはまたしても小声で言った。なじるような口調にならないよう、必死になって気をつけながら。なじったりしたら......
単語の意味
身体（しんたい）
小声（こごえ）
身体・・・人のからだ。肉体。
小声・・・小さい声。低い調子の声。 ⇔ 大声（おおごえ）。
ここに意味を表示
曖昧・ハッキリしない言い方の表現・描写・類語（声・口調のカテゴリ）の一覧 ランダム５
このカテゴリを全部見る
「声・口調」カテゴリからランダム５
夫があまりに熱心に語るので、聴いているというより、その様子を見守っている風だった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
幾分平生と違う圧えつけた音声
宮本百合子 / 伸子
同じカテゴリの表現一覧
声・口調 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ
感覚表現 大カテゴリ
人物表現 大カテゴリ
